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ヤブタバコはの本全土に分布し、山野の林内や林縁に生える一年草または越年草です。草丈は、30cm〜1mくらい。上の方へ伸びるというよりは、ある程度の高さになると、そこから上には生長せず、たくさんの茎を横に長く伸ばします。横幅があるので、実際の草丈よりもかなりの大物に見えます。
根生葉は幅の広い楕円形〜長楕円形。とても大きくて、ビロンビロンとだだっ広い感じ。葉脈が葉の裏面に向かってくぼんでいるので、表面はシワシワに見えます。名前は、その葉が「タバコ」の葉に似ていて、藪に多いことからきています。この根生葉は、花が咲くころにはほとんど枯れています。上部の葉は、大きさがちょっと不ぞろいで、ところどころ大きな葉もついていますが、根生葉よりは小さめの長楕円形です。
今回の写真を撮影した場所では、ヤブタバコ属の植物が3種生育しています。そのうち「ヤブタバコ」と「コヤブタバコ (Carpesium cernuum)」がとても近い位置に生えていて、花を見れば明らかですが根生葉ではどうなのかと。もう1種の「サジガンクビソウ (Carpesium glossophyllum)」は色が濃く青っぽい緑色で、形も違うのではっきりわかります。それで、残った2種を比べると、ヤブタバコの方がちょっとしっかりめで、毛は生えているけれど遠めには目立たず、コヤブタバコの方は明らかに白い軟毛が多くて柔からそうに見える。これでよいですかね。。。
その筒状花の中にも2つのタイプがあって、外側には雌花。内側には両性花があります。このうち果実ができるのは両性花の方です。果実は円柱形、綿毛(冠毛)はありませんが、粘液が分泌されるので、それによって動物の体などにくっついて運ばれます。
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花期は8月〜10月。花(頭花)は直径1cmほど、ほとんど柄はなく、花のもとの部分には小さな苞葉が数枚あります。キク科の植物なので、1つの花は小さな花(小花)がたくさん集まってできた「集合花」です。でも、ヤブタバコの場合は、花びらに見える「舌状花」はなく、すべて「筒状花」です。筒状花の部分は一応黄色いのですが、緑色の総苞に包まれているし、下向きに咲くので、目立つ花ではありません。
よく似たコヤブタバコは、葉はヤブタバコより小さめですが、花は反対に大きめで直径1.5cmくらい、花数はヤブタバコほど大量ではないです。
花は、横にのびた枝の葉の脇にたくさん下向きに並ぶので、上から見ているだけだと、花が咲いているのかよく見えないこともあります。下からのぞいてビックリ。なんてこともあるかもしれません。大きな個体では、これでもかってくらい花がつきます。
【和名】ヤブタバコ [藪煙草]
【学名】Carpesium abrotanoides
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/04/26
【撮影地】東京都日野市
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一気に冬将軍到来で寒〜くなりましたね。
九州でもここ2・3日は雪がちらついていますよ。
ヤブタバコ拝見しました。 4月のこの時点でヤブタバコと見抜くとは! hanaboroさんの観察眼はさすがですね〜。
こちらでも、秋になるとこれでもかっって花をつけたヤブタバコに出会いますよ。
TBまたさせて頂きました。
こんにちは〜!本当、ここ数日寒いですね。こちらは太平洋側なので、日中は日向に出れば暖かなんですが、日が当たらないと途端にブルブルしてきます。雪はこの間の日曜日にちょこっとだけ降ってました。
そうですよね。ヤブタバコの花の数、すごいですよね。観察眼なら、なかなかさんこそ流石じゃないですか。その葉っぱも何にもない果実の様子だけで、ヤブタバコって見抜いておられて。わたしのなんて、確か去年ここら辺にはヤブタバコがあったからきっとそうだ!くらいのものなんですよ。
私の方こそ、確かここら辺にはヤブタバコが咲いていたよなぁ・・の世界です。 はっきりわからないことも多くって、確実にその植物が生えていた場所に後日また行ってみることもよくあります。
なんだろう・・と推理してる間はなんだか楽しいですよね。
話は変わりますが、
一度hanaboroさんにお聞きしてみたいことがあったのですが、首都大に牧野博士の記念館?のようなのがあるのをご存じでしょうか?
ふふっ!そうなんですよね。やっぱり花がある時期が一番わかりやすいですよね。すぐいける場所なら、後日というのも可能だから、助かりますけどね。せっかく遠くまでいったのに、肝心のところを見てきてないよっていうときは、もう涙が出そうです。そんなこんなで、ちゃんと名前がわかるまで数年を要することも多いんです。推理、わたしもそれを楽しめるゆとりを持たなくっちゃ。
首都大学東京(前東京都立大学)には、「牧野標本館」があります。牧野富太郎さんが記載(命名)された植物のタイプ標本も多数収められています。現在そのデータベースがWEB上でも公開されています。
そのほか国内外のさまざまな植物の標本が収蔵されていますが、ここで見られるのは、ほぼ標本だけですよ。なにか調査研究する目的がない場合は、へぇ〜っていう状態になっちゃうかもしれません。牧野さん命名の生きた植物をご覧になりたいのなら、高知県の植物園の方がよいですよ。
実は、まだ東京都立大だった時に校内を歩いたことがあって、標本館があるのに気がつきました。
でも、夕方だったのですでに閉館していてどんなものが展示してあるんだろう?とずっと気になっていました。 WEB上で公開されているページ見たことありますよ、あれがそうだったんですかぁ!!
あ〜これで、すっきりしました。
数年来わからなかった花の名前がやっとわかった感じです。
hanaboroさんにお尋ねして良かった、ありがとうございました。
高知はまだ行ったことがありませんが、行った折りには植物園にぜひ訪問したいです。
えとですね。そのデータベースなんですが、他の大学にもあるんですよね。それで、検索上位に出てくるのはひょっとしたら他大学の方かもしれません。あちこちあって迷い子になりそうです。
高知の植物園、わたしが行ったのはもう10年以上前のことなんです。そのころはとてものんびりしていました。近年、すっごく充実したと聞いています。行ってみたいですね。