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カスマグサは、本州、四国、九州、沖縄に分布し、道ばたなどの日当たりのよい草地に生えるつる性の越年草です。マメ科ソラマメ属(スズメノエンドウ属)の植物で、学名の「Vicia」は「vincire:巻きつく」からきているといいます。実際に、カスマグサにも巻きひげがあってそれで他につかまって伸びます。
「カスマグサ」という名前は変わっていますが、これは、同じ属の「カラスノエンドウ (Vicia sativa subsp. nigra)」と「スズメノエンドウ (Vicia hirsuta)」の中間的な形をしているところから、両者の頭文字をとって、「カ+ス+間+草」とつけられたといいます。全体的な大きさや花の大きさは、確かに2種の中間に入る大きさではありますが、花は小さくどちらかといえば、目立たないし「スズメノエンドウ」よりかな。
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葉はたくさんの小さい葉(小葉)からなる羽状複葉で、てっぺんの小葉(頂小葉)がなく、巻きひげ状になっています。これで、そこらじゅう巻きついて、どこからどこまでが1個体なんだろうかと思ってしまうくらいです。小葉は8枚〜14枚くらい。
カラスノエンドウは、3種の中では、特別に大きく目立つ花なので見分けるのは簡単です。では、スズメノエンドウと比べるとどうなのかと。これも、花の色や実の形がちがうので意外に簡単に見分けられます。カスマグサは赤紫色の花を1個〜3個のつけるのですが、スズメノエンドウの方はより小さくて、白っぽいような青紫っぽいような色の花を3個〜7個つけます。したがってできる果実(豆果)の数も違ってきます。
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カスマグサは花が2つずつ咲くことが多いので、豆果も長い柄の先に2つついていることが多いですが1個のこともよくあります。豆果は下向きにぶら下がるようにつき、毛はなく、長さは1cm〜1.5cm。中にはふつう4個の種子が入っています。スズメノエンドウの豆果は、長さ1cmあるかどうかで、短い毛がたくさん生えています。中の種子は2個です。
ちなみに、カスマグサの種小名「tetrasperma」は、「4つの種子の」という意味です。
*3種の違い(数のみに注目した場合)*
小葉の数 | 花数(果実数) | 種子数 | |
カラスノエンドウ | 8個〜16個 | 葉腋に1個〜3個 | 3個〜6個 |
カスマグサ | 8個〜12個 | 長い柄の先に1個〜3個 | 4個 |
スズメノエンドウ | 12個〜14個 | 長い柄の先に3個〜7個 | 2個 |
特に小葉の数などは、変異の幅が大きいもので、種間で重なり合うので、これだけでは区別しかねるかもしれません。そういうときは、ほかの形質と合わせて、総合的に見てみてみます。一度わかってしまえば、この3種、比較的簡単に見分けがつくようになるでしょう。
【和名】カスマグサ [かす間草]
【学名】Vicia tetrasperma
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE
【撮影日】2005/04/28
【撮影地】東京都日野市
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三宅
ヒメオドリコソウ、大ウケしました(爆)。情景が目に浮かびましたです。
あとこちらのカスマグサの解説をお借りしますm(__)m。
どんな人が名づけたんだろうとおもうと、なんか笑えてきます。
意外と牧野博士だったりして(爆)
"カラスでもないし、スズメでもないし・・・足して二で割って、カスマでいいかぁ"なーんて・・・(笑)
よく見たら、確かに私が愛用している雑草の図鑑にも説明は出ていました。
しかし、なんともいい加減なネーミング。植物って多いけど、変なのが。
最近知ったので面白かったのは、「ナンジャモンジャゴケ」と「奇想天外」。
こんにちは!
そうですね〜。自分には、そんな名前は到底思いつかなかったと思うので、まあ、そういうネーミングも、たまにはいいのかなぁなんて。河原や土手なんかでは3種が混じって生えていることも多いですから、ぜひ発見して、見比べてみてくださいね!
こんにちは!
ヒメオドリコソウ、ご高評いただいて、嬉しいです。足腰が痛いのをちょっと我慢した甲斐がありました。うははっ。
TBはどうぞお気になさらずに。送ってくださって、どうもありがとうございます。せっかくですので、お受け取りさせていただきたいなぁ〜。もしかしたら、こちらで調節可能かもしれませんので、後ほど、ちょっといじらせていただくかもしれませんです。不都合なときは、遠慮なくおっしゃってくださいまし。
こちらにも、コメントくださって、どうもありがとうございます。
和名の命名者、誰でしょうね。学名は「Vicia tetrasperma (L.) Schreb.」となっているので、最初の命名者は「L.」つまり、リンネで、後に「Schreb.」という人が分類しなおしているようですね。いずれも外国の人なので、「カスマグサ」の名前をつけた人とは、関係ないでしょう。本当のところは、どうなのかわかりませんが、牧野富太郎さんかもしれないし、松村仁三さんかも。
ネーミングって、おもしろいものですね。それを聞いた人の反応も様々ですし。
こんにちは!
うほほっ。本当、奇妙なネーミングの植物多いですね。もう、その名前を使うの、どうしようかと思ってしまうものもありますもん。
うはははっ!「ナンジャモンジャゴケ」と「奇想天外」。この辺は、名づけた人の気持ちがあらわれているようで、おもしろいですね〜。
ご愛用の雑草図鑑って、どんなのですか?新しくて内容充実の図鑑ほしいなぁと思う今日この頃なんです。
以下です。
http://www.zennokyo.co.jp/books/syoseki/kote/zas_0.html
出版社。
http://www.zennokyo.co.jp/index.html
この出版社はいろいろマニアックは図鑑を出していて好きです。
ただ、上に紹介した本は、hanaboroさんにはあまり役に立たないかもしれません。
今買おうか迷っているのは、以下。
http://www.zennokyo.co.jp/books/index.html
値段が・・・。コンパクトサイズですが、紙質の関係か、ずしりと重いです。
うちのブロガリってまだβ版のためか、タグがむき出しで送信されてしまうんですよね・・・。
おうおう!雑草シリーズ。好きです。根生葉の写真なんて、花に比べれば、めったにお目にかかれなかったりするので、そういう図鑑は貴重品だと思います。
最後にご紹介いただいた図鑑。ずしりと重いのは、げげげっですけど、ほしいですね〜。
(ページがそうとは知らずにフレームだったので)
正しくは、以下です。
http://www.zennokyo.co.jp/books/syoseki/kusa/kika.html
重いといっても、もちろん持ち運びはできます。
タグがドドンっとっやってきていましたので、タグのみはずさせてもらいましたです。これで、調節可能なこともわかりましたし、また何かの折には、どうぞスパッと送っていただいて大丈夫です。
ブロガリ。正式版リリース時にはしっかり対応してくれるのでしょうから、もうちょっとの辛抱なのかな。
どうもどうも。
さきほど、混沌さんのところにお伺いしたところでした。
なるほどぉ。
今回の帰化植物図鑑は、写真で掲載されているという点で、とっつきやすかったです。帰化植物だけの図鑑ですからね。持ち歩いたことはないです。
図版を用いた図鑑の方が細かい特徴がわかりやすい場面もあるのですが、はじめて見る実物と、イメージが合わなくて、まったく何もわからないところから調べるのは大変です。図鑑で調べるとき、最初はやっぱり絵合わせが主ですから、写真で載ってる図鑑がいいなあと思ったり。