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ウスベニチチコグサは、アメリカ原産の一年草または越年草です。日本国内では、1930年代には採集されていたものの、その後、長い間、同じ属の帰化植物でよく似た「チチコグサモドキ」や「タチチチコグサ」と混同されてきたそうです。そして、ウスベニチチコグサとして整理されたのは1980年代の終わりごろのことだとか。それ以来、関東〜九州にかけて広く見られることがわかったといいます。現在では、かなりふつうに見られるとのことですが、筆者が認識できたのはこれが初めてです。この仲間(キク科ハハコグサ属)の帰化種で、こちらの近辺でよく見かけるのは、圧倒的に多いのが「ウラジロチチコグサ (Gnaphalium spicatum)」で、次いで「チチコグサモドキ (Gnaphalium pensylvanicum)」かな。
と思っておりましたが、その後、あちこちでウスベニチチコグサもあることがわかりました。比較的多い方といえるかもしれません。(追記 2005/05/25)
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ウスベニチチコグサは、写真の場所で見られたものは、開花しているもので草丈20cm。根生葉の状態のものは5cm程度です。図鑑では草丈20cm〜50cm。茎は根もとの方で地面に沿うように横に枝分かれします。そして何茎か直立して株立ち状になります。この仲間は、みんな茎や葉に白い綿毛を密生して白っぽいのですが、「ウスベニチチコグサ」はその中にあっても、かなり白い方。全体に白い軟毛が密生しています。
葉は長さ3cm〜5cmくらいの細長いヘラ形、縁のギザギザ(鋸歯)は不明瞭。分厚く質がかため。葉はあまり平開しないようで、巻き気味、多肉質っぽい印象さえある。茎にまとわりつくような状態で、葉は横方向への広がりがあまりない感じ。
キク科の植物ですが、花びらに見える「舌状花」はなく、頭花は「筒状花」のみです。頭花は長さ5mm程度で、茎の先に集まって咲きます。枝分かれはしないはず。「タチチチコグサ」の方は、上部の数か所の葉腋から短い枝が出ます。ウスベニチチコグサの筒状花の色は、「紅色」だそうで、その名前がついているようですが、今回のものは、薄い褐色だったなぁ〜。もうちょっと時間がたてば、紅色になるのだろうか。。。
【和名】ウスベニチチコグサ
【学名】Gnaphalium purpureum
【英名】purple cudweed
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/04/29
【撮影地】東京都日野市
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帰化植物が増えてゆくのはどう考えればいいのか。在来種がその分どこかへ追いやられるのか。でも、日本の植物は多くは古いか新しいかの違いこそあれ大概外来種。たまによくわからなくなります(^_^;
三宅
こんにちは。
ウスベニチチコグサ。整理されたのは、1980年代のようです。恐らくそのとき標本データなどで調査したのだと思いますが、その時点では1930年代には、すでに日本に入ってきていたことがわかっているようですよ。
帰化種が増えていくことは、やはり、ウエルカムな状態ではないと言わざるを得ないですね〜。ただし、在来種が帰化植物によって、どこかに追いやられてしまっているとは限らないと思います。
何を持って大概外来種とされるのかよくわからないのですが。その定義によっても、何と比べるかによっても古いか新しいかの見方も違うと思います。極端な話、第何期なんていう地質年代を考えたようなレベルの古さまで入れると、それこそ何を持って在来種とするのかもわからなくなってしまいますよ。
それに、それぞれの植物の持つ歴史がすべて解明されているなんてこともないですし。いつ入ってきたかを推定するのにも、その種類が、それより前にはここになかったということの根拠も必要ですが、それを現場でずっと目撃してきた人はいないわけですよね。史前帰化植物のことにしても、種類によっては見解が分かれるのではないでしょうか。
ある説によれば、日本で野生状態で知られるシダ植物と種子植物の数が7000種類の内2900種類が日本の固有種だともいわれています。国外にも分布する種類を含めると、もう少し種類数は多いのではないでしょうか。
植物と付き合い、いろいろなことを学んだりすると、複雑な気持ちになることがあるかもしれません。でも、それを深くつっこんでプロフェッショナルにやるつもりが特にないのであれば、アンテナを張りつつもおおらかな感じでいいんじゃないかと思います。