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コハコベは、ヨーロッパ原産の一年草です。荒れ地や農耕地などよく土壌がかく乱される場所に生育します。日本で最初に気づかれたのは1922年のことだったそうです。渡来したのがいつのころなのかは定かではないようです。ふつう「ハコベ」と呼ばれているうちの1種で、もう1種は「ミドリハコベ (Stellaria neglecta)」といいます。ミドリハコベの方もより古い時代に農耕とともに日本に入っていきたものといわれています。そのため、春の七草の「はこべら」は「ミドリハコベ」ではないかとも。
ミドリハコベよりも全体に小型で、他の草などがほとんどないような場所では、根もとからよく分岐した茎は地面をはうように伸びます。他の草などが多い場所などでは茎の上部は立ち上がっています。茎は若い時期にはもちろん短いのですが、果実が目立つようになってくると、茎の長さは30cm〜50cmくらいにはなります。
葉は卵形で先はとがっています。長さは1cmほどです。縁のギザギザ(鋸歯)はなく全縁です。茎の上部の葉には柄がありませんが、下部の葉には柄があります。芽生えのころには特に葉柄が確認できます。
年間を通して芽生え、開花し、実を結んでいるので、真冬の時期には花は少なくなりますが、ほぼ一年中、その姿は見られます。生活史の短い一年草です。花は直径4mm程度、白色の5弁花です。花弁は2つに深く裂けているので、10枚あるように見えます。ガク片には毛が生えています。
雄しべは1本〜7本。雌しべの花柱は3本。花の後、花茎は一旦、下を向くのですが、果実が裂開するころになると再び上を向いてきます。果実は「さく果」で、熟すと6つに裂けます。果実が熟してころに、コハコベの茎や何やらに触れると、果実が弾け飛んで、パラパラと音がします。果実の中に入っている種子は腎円形で半円形の突起があります。突起の先がとがらないのが特徴です。
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ミドリハコベはコハコベよりも大型で、茎はより立ち上がります。雄しべは5本〜10本。種子の突起は円錐形で、先がとがっています。より青々とした印象。コハコベの方はより茎が赤みを帯びる傾向があります。生育地はあまり土壌がかく乱されない場所です。そして夏には芽生えず、秋に発芽して春に開花する一回繁殖型です。
種子の突起は、肉眼で見ている分にはどちらにもプツプツが見える程度なので、違いがよくわからないかもしれません。種子の突起の観察にはルーペが必要です。ミドリハコベの種子の突起はもっとイガイガした感じになります。
【和名】コハコベ [小繁縷]
【学名】Stellaria media
【科名】ナデシコ科 CARYOPHYLLACEAE
【撮影日】2005/05/12
【撮影地】東京都日野市
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