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サツキヒナノウスツボは、本州関東西部、中部地方にポツポツと隔離分布しているゴマノハグサ科ゴマノハグサ属の多年草です。あるところでは、猛烈に珍しいというわけではないのですが、かといって、どこにでもあるというわけではなく、花は咲いても地味なので、あまり目につく植物ではないかもしれません。草丈は40cm〜80cm。茎や花序にはちょっと長めの軟毛があります。
花期は4月〜5月。葉の脇(葉腋)からヒョロリと細長い花序を出して先の方に1個〜3個の花をつけます。花(花冠)は長さ1cm程度。「ヒナノウスツボ (Scrophularia duplicato-serrata)」よりちょっとだけ大きめ。
ゴマノハグサ属の植物の花冠は小さなつぼ型で、先端は5つに裂けています。大きく上下に分かれていて上は上唇、下を下唇といいます。そして、上唇は少し大きめで2つに裂け、下唇は3つに裂けます。サツキヒナノウスツボの上唇は暗紫褐色、下唇は黄緑色。下唇の3つの裂片はつぼ型の花を囲むように両脇に1片ずつ、下に1片が配置しています。そのうち下の1片は後に反り返ります。
本来は「5」を基本とした5数性なので、雄しべも5本あるはずですが、1本は退化して「仮雄しべ」になっています。子房は2つの部屋(2室)にわかれていて、それぞれの部屋には種子のもととなる胚珠がたくさんあります。
ガクは5つに裂けますが先は丸くなっています。ヒナノウスツボはこのガク裂片の先がとがり、果実になったときには小さな茄子のへたのようです。よく似た種のヒナノウスツボは、花期が7月〜9月と遅めで、花は茎頂に出る円錐花序につきます。
葉は対生。幅の狭い卵状楕円形で、長さは10cm内外。先の方は細長く伸びます。縁にはギザギザ(鋸歯)があり、質は薄めです。葉柄の部分には少し翼があります。
【和名】サツキヒナノウスツボ [五月雛の臼壺]
【学名】Scrophularia musashiensis
【科名】ゴマノハグサ科 SCROPHULARIACEAE
【撮影日】2004/05/30
【撮影地】東京都八王子市
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少し古い記事ですが、トラバさせていただきますm(__)m。
我が家ではヒナノウスツボが昨年未発芽だった残留種子から2株発芽成長しています。
ヒナノウスツボは、花序に粘毛があるのですが、サツキヒナノウスツボは粘りませんか?
こんにちは!
長い時間かかって、未発芽の種子から芽生えてきたものって、嬉しさも格別なものでしょうね。
サツキヒナノウスツボも花柄の途中半分ぐらいまでのところには、毛が密生しています。未確認なんですが、腺毛ではないかとにらんでいます。だとすると粘るはずですね。でも、ただの軟毛の可能性もありますよね〜。
実は、この写真は昨年のもので、まだ、今シーズンは出会っていないのです。チャンスがあったら、その点に気をつけてチェックしたいです!