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コブナグサは、北海道、本州、四国、九州に分布し、道端や田の周辺などのやや湿り気のある草地に多い一年草です。イネ科コブナグサ属(Arthraxon)に分類されています。草丈は多くの場合、20cm程度と小さいですが、よく枝分かれして、しばしば30cm〜50cmくらいに達します。時おり草刈が行われるような公園の脇などの草地によく群生しています。
葉はちょっと幅の狭い卵形で、先はとがっています。逆に付け根の方は丸っこくなって茎を抱きこみます。その丸っこくなっている形を「心形」といいます。長さ2cm〜5cmくらい、幅は1cm〜2cm程度。葉の縁や「葉鞘」の部分には、長めの毛が生えていて、それがよく目立ちます。縁にギザギザはありませんがウネウネと波打っています。ちなみに、「コブナグサ」という名前は、この葉の形を魚の「フナ」に見立てたものだそうです。コブナといえば、童謡の「ふるさと」を思い出しますね。
花期は9月〜11月。茎の先や葉の脇から、放射状に花序の枝を出します。枝の数は数本〜十数本くらい。花序が開いた様子は、小さな花火や子供のころあや取りで作ったホウキを思い出しますが、雨上がりなんかに見ると花序が閉じていて、同じものに見えなかったりします。
小穂は5mm前後。色はちょっとさえない感じの淡い白っぽい緑色または褐色です。その小穂のつけ根のあたりにはごくごく小さな突起があるのだそうですが、ルーペで見てもよくわかりません。その突起というのは、柄のある小穂が退化したためにとげのような突起が残ったものだと考えられたいます。ふつうだと2つ対になっているはずのものが、柄のない方だけ残って節に1つずつ小穂がついているように見えているといいます。
日本以外にも広くアジアに分布するコブナグサは、いろいろと変異が多くて、芒はあったりなかったり。種内の分類群もいくつか認められています。しかし、このちょっと地味なイネ科の植物、八丈島ではあの「黄八丈」の染料に用いられているそうなんですよね。
【和名】コブナグサ [小鮒草]
【別名】カリヤス [刈安]
【学名】Arthraxon hispidus
【科名】イネ科 GRAMINEAE (POACEAE)
【撮影日】2005/10/13
【撮影地】東京都日野市
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