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もうずいぶんと前の話。西日本の住人だったわたしは、あるとき着のみ着のまま北陸を訪れて、今までに見たことのない美しいアザミに出会いました。その名はカガノアザミ。日本海側に見られるそのアザミは、少し湿り気のある林縁や里山的風景の中に生きていました。淡い桃色の頭花には細長い花梗があって、頭花は下向きに点頭します。総苞片は瓦状にほとんどピッタリとはりつき、そこには腺体があって触ると粘着します。クモ毛はなかったなぁ。
葉の表面には光沢があって羽状に浅裂〜中裂。葉のつき方、花のつき方、どこをとってもバランスのよいその草姿は、走らせる車の窓からでもよくわかりました。そのカガノアザミを見てしまったおかげで、その後しばらくの間はアザミ漬けの毎日。ほかの植物はもはや目に入らなかったほど夢中になっていました。思い返すと、とてつもなく懐かしい気持ちがこみ上げてきます。わたしは愚かでした。そういう幸せな日々を壊して、別れを告げなければならなかったのは若さゆえのこと。
それに引き換え手に入れたものは。。。会いたいのに会えないと、その分だけ想いはつのるものなのですね。今もなお、いつかまたあのころのようにと願いながらも、別の時間を過ごさなければならないもどかしさ。大事なものを遠くに置いてきてしまったまま、いったいどこへ向かっているのだろうかと思う今日この頃。
載っけた写真は、午後の光を浴びたフジアザミ。本文の内容と合ってない。カガノアザミにはもう長いことお目にかかってないものだから。当時はデジカメはなくてリバーサルで撮っていたけれど。あぁ。もうどこへ行ったのやら。それでも、記憶の中のアザミはいつも、さわやかに秋風に揺れて、林の縁を静かに照らしています。その花が心の中の一番ってことは、出会ったときからずっと変わってないんだよね。
■心に残る花への手紙:Flower Blog Ring 第一回TB企画





なぜだか読んでて、中島みゆきの「アザミ嬢のララバイ」の曲が浮かんできました。
TBさせていただきましたよ〜♪
こんばんは。見せて頂きましたよ〜。
北陸 加賀。あこがれの地ですよ。雅やかな良いものがありそうだなぁ。
ついでに検索して、
カガノアザミの写真も見てきました。
まぁ、地味な花。(^^)
写真のフジアザミとは全然印象違うじゃないですか。
でも、楚々として、
さわやかに秋風に揺れて居るのが似合いそうなアザミですね。
そっか…そっくりさんだらけで見分けるのがあんなに大変な
アザミにはまってたんだ〜。
すごい人だよ。
私も 何の花にするか、そろそろ決めなくちゃ。
若い頃って、夢中になり過ぎて、幸せを噛みしめることができなかったりして。
蛇足ですが、僕も2種類ほど、教えていただいた思い出のアザミがあります。自分自身では、アザミはアザミの仲間ってしちゃいますが(^_^;
へへっ!恥ずかしい〜。ちょっと暗かったかな。過去のことを引きずっているお話でしたが、ここに出しちゃったら、なんだか気持ちが楽になっちゃいました。九州のアザミも結構いいですよ。ノアザミ以外は、こっちにいては絶対見られないものばかり。秋ですからね。見てみたいですね。
加賀。霊峰白山。犀川に手取川。景色も空気もよかったなぁ。どっさり降る冬の雪も結構好きでした。
ハクサンアザミやサワアザミ。そうそう、フジアザミもちょっと標高をあげた崩壊地にあったんですよ〜。細かいところはとりあえず、おいとくとすれば、アザミって分布域が限られるものも多いので、種類が絞り込めるので、それなりにたどり着けたりしますよ。まあ、近年、記載されたものはまだ図鑑に載ってないかったりしますけれどね。
そうそう。そのころカーステから流れていた音楽、今でもそれを聞くと、あの頃がよみがえります。そしてふとした瞬間に、そのとき見た景色が断片的に次々出てくるんですよね〜。
happyislandさんの近くのアザミ。そうですね。ナンブ、ダキバヒメ、アオモリ、ミネなどかな。う〜ん、魅力的。。。
TBさせていただきました。直接お花に関することじゃないので、合わないと思われたら削除されてかまいません(^^;)
ではでは。
ふおう。「アザミ姫」読ませていただきました。そっか、ノヤマ国は繁栄したのかぁ。めでたし、めでたし。ハナバナ王国の方は滅亡しちゃったのかな。何かすみません。つまんないコメントで。
「つまんないコメント」だなんて、いえいえ。読んでいただけただけで光栄です。
TB失礼しました。
ハナバナ王国の未来は、読者の想像にってことで。。。物語の創作ができるなんてすごいなぁ。TB、どうもありがとうございました!