2006年01月04日

ジュウガツザクラ

ジュウガツザクラ Cerasus ’Autumnalis’ジュウガツザクラ Cerasus ’Autumnalis’


ジュウガツザクラは、コヒガンザクラ系の八重咲きの園芸品種で、春と秋に二回花を咲かせるバラ科サクラ属の落葉小高木です。桜といえばやっぱり春のイメージが強く、実際、多くの桜の開花は春ですよね。秋にこの桜の花を見ると、おや異常気象の影響でこんな時期に咲いてしまったのかと思ってしまうくらいですよね。でも、ジュウガツザクラの場合は秋にも花が咲くのはふつうのことで、間違って咲いてしまったわけではないんですよね。ちなみに、コヒガンザクラは、エドヒガンとマメザクラの雑種といわれています。花は春、3月〜4月です。

ということで、春と秋2度花が見られるジュウガツザクラですけれど、花はやっぱり春3月〜4月に咲く花のほうが大きくて、たくさん咲きます。秋は10月ごろから咲き始めて、冬の間もちらほら咲きつづけますが、花が小さくちょっとまばらな感じです。春の花は葉の展開よりも少し早く咲きはじめます。一方、秋から冬の花のころは、まだ葉が残っていることもあります。

樹皮は濃い灰褐色。葉は互生。長さ5cm〜10cmくらいの長楕円形。質は厚めです。先はとがり、縁のギザギザは先の鋭い「重鋸歯」です。葉柄の部分や葉の裏には毛がたくさんあります。ふつうポチポチの「腺体」は葉の付け根に1対あります。

ジュウガツザクラ Cerasus ’Autumnalis’


花弁は多少、枚数の違いがあるようですが、八重咲きで、だいたい10枚以上あります。同じころ、フユザクラの花も見られますが、そちらは一重です。ジュウガツザクラの花色は、淡い紅色〜ほとんど白色。直径は1.5cm〜3cmほど。雌しべは1本、弁化せずにちゃんとあって、たくさんある雄しべよりも長めです。八重咲きですが、いくらか果実ができます。

花柄は短く枝にくっつくような感じで、1輪〜数輪が1房に散形状につきます。ガク筒はツボ状で、長さ8mmくらい。小花柄の部分とともに細かな毛が多いです。

【一般名】ジュウガツザクラ [十月桜]
【学名】Cerasus ’Autumnalis’(Prunus×subhirtella ’Autumnalis’)
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/11/27
【撮影地】東京都新宿区

■当ブログ内関連記事
サトザクラ (ヤエザクラ)

■Trackback People : ツリーウォッチング

posted by hanaboro at 18:21| 東京 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月04日

キヅタ

キヅタ Hedera rhombea


キヅタは、北海道の一部、本州、四国、九州に分布し、山野の林内などに生える常緑のつる性の植物です。茎からはひげのような「気根」が密に出て、それによって他の樹木などに付着して這い登っていきます。ウコギ科キヅタ属(Hedera)の植物で、園芸植物としておなじみの「アイビー(フイリセイヨウキヅタ Hedera helix ’Argenteo-variegata’)」と同じ仲間です。キヅタは大きく成長して、花期のころに花の近くに見られるような葉は切れ込みがありませんが、若い茎につく葉などは先が3つ〜5つに裂けて、アイビーみたいです。

葉は互生。楕円形〜卵形で、先はとがっています。時にひし形っぽくて、長さは5cm前後。縁にはギザギザ(鋸歯)はなく、全縁です。革質で厚く、色は濃いめで、表面には光沢があります。斜めに並行して走る葉脈がよく目立ちます。花期には花序の下の部分に集まってついているような感じになります。

花期は10月〜11月。球形の「散形花序」を出してたくさんの花をつけます。花序の直径は3cmくらいで、柄の部分には褐色の鱗状の毛が見られます。同じくらいの時期に花を咲かせる「ヤツデ」も、属は違いますが同じウコギ科で花序が球形ですね。球形の花序では、軸の先から放射状に出た柄の先に花がついています。花色は黄緑色。1つ1つの花には小さな5つの花弁があります。

果実は球形で、直径は7mmくらい、熟すと黒くなります。冬枯れの野山で、すっかり葉を落とした落葉樹に絡まる常緑のキヅタ。そんな光景が目に付く季節も間近に迫ってきているのだなと感じます。

【和名】キヅタ [木蔦]
【別名】フユヅタ
【学名】Hedera rhombea
【科名】ウコギ科 ARALIACEAE
【撮影日】2005/11/02
【撮影地】東京都日野市

■Trackback People : 蔓(ツル)植物

posted by hanaboro at 20:25| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月15日

ニチニチソウ

ニチニチソウ Catharanthus roseus


ニチニチソウは、主にマダガスカルなどの熱帯原産のキョウチクトウ科Catharanthus属(ニチニチソウ属)の多年草です。原産地では茎が木質化しますが、日本では耐寒性がないために、ふつう春まき一年草として栽培されています。日本に入ってきたのは江戸時代の中ごろのことだそうです。

はじめは、Vinca属(ツルニチニチソウ属)に分類されていたのですが、後にCatharanthus属に変更されました。しかし、まだVinca属に分類する見解もあるそうです。日本で流通する場合、最初に命名されたときの属名「ビンカ」と呼ばれることが多く、「カタランサス」なんてという名前で呼ばれていることは、ないのではないでしょうか。

ちなみに、最初の学名は「Vinca rosea L.」で、最後にある「L.」はこの学名の命名者「リンネ」のことです。リンネ(Carl von Linne 1707-78)は、スウェーデンの博物学者で、生き物の学名を、「属名」と「種小名」の2つのラテン語で表す「二名法」によって生物の分類体系をつくり、「分類学の父」と呼ばれています。

ニチニチソウ Catharanthus roseusニチニチソウ Catharanthus roseus


よく枝分かれして、草丈は20cm〜50cm。矮性種だと20cm〜30cm、高性種の場合だと50cmくらい、匍匐性のタイプもあります。真夏の暑さと強い日差し、そして乾燥に強く、ひと夏中、次々と咲き続ける夏花壇の代表花。1つ1つの花は数日で終わって、特にしおれてなくても落ちてしまいますが、新しい花へと日々咲き変わっていくことから、「日日草」と呼ばれているそうです。

葉は対生。細長い楕円形。色はふつうは濃いめの緑色で、表面には光沢があります。縁にはギザギザ(鋸歯)はなく全縁です。主な葉脈が白っぽくて目立ちます。

花期は7月〜10月。茎の先や上部の葉の脇(葉腋)に花をつけます。花冠の直径は2cm〜4cmくらい。先が5つに裂けていて、5弁花に見えますが、下部は細長い筒状になっています。ガクは茎に近いところにあって、先は5つに裂けて、裂片は細長く先がとがっています。小さいし、付け根の方なのであまり目につくものではないかもしれません。

花色は、白、ピンク、赤、濃い赤紫などです。薄いピンクや白色に中心の目の部分が赤っぽい濃い色というタイプもよく見かけます。しかも、矮性で、花弁が大きく丸くて隙間なく重なり合っている品種、最近多いですね。蕾のときはパラソルをたたんだようになっていて、開くと花冠裂片は一方向に少しずれて重なるらせん状(回旋状)です。花筒の部分は蕾のころはまだ短いですが、開花するころにはかなり長〜くなっています。

【和名】ニチニチソウ [日日草]
【別名】ビンカ、ニチニチカ [日日花]
【英名】Rose periwinkle
【学名】Catharanthus roseus (Vinca rosea)
【科名】キョウチクトウ科 APOCYNACEAE
【撮影日】2005/08/17
【撮影地】東京都日野市

この写真を写させてもらった花壇では、もう、ニチニチソウの姿はなく、小菊の苗に植え替えられていました。季節の変わり目は、どことなく淋しさが漂うものですね。撮影しているときは、炎天下でめまいがしそうだったのに。

■当ブログ内関連記事
ツルニチニチソウ

■Trackback People : ガーデニング

posted by hanaboro at 20:13| 東京 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月24日

オニシオガマ

オニシオガマ Pedicularis nipponica


オニシオガマは、本州中部以北の日本海側に分布し、山地帯〜亜高山帯の湿地や湿り気の多い場所に生える多年草です。ゴマノハグサ科シオガマギク属(Pedicularis)の植物で、同属は北半球に500種ほど知られています。茎は太くてほとんど分枝せず、まっすぐにのび、草丈は30cm〜1m。茎、葉、花序、苞、ガクなど全体に白い毛が密生しています。

葉は5枚くらいが根もとの方に集まってつき、茎の上部につく葉は小さくて対生します。根元のほうの葉は、長さ10cm〜30cmほど、幅10cm前後で、羽状に全裂して、裂片はさらに深く切れ込み、縁には細かいギザギザ(鋸歯)があります。一見、シダ植物のような葉です。茎葉は上部ほど小さくなり、羽状に裂けるという感じではなく、苞のような状態になります。

花期は8月〜9月。茎の上部の花序にややまばらに花をつけます。花序は長さ10cm〜20cm、最初短く次第にのびて、大きな個体では最終的には25cmくらいになります。花冠は上唇と下唇のある「二唇形」で、長さは3.5cm〜4cmと大型です。色は紅紫色。上唇は少し湾曲した舟形、先端はヨツバシオガマのような長いくちばしではありません。下唇は3つに裂け、裂片は丸いです。ガクの先は5つに裂けます。写真はまだ、花茎が伸びてきているところで、ずんぐりと太くて節間がつまっています。蕾もまだ見えていません。

関東〜東海の太平洋側の山地帯には、近縁の「ハンカイシオガマ (Pedicularis gloriosa)」が分布していますが、こちらは林内〜林縁に生育し、茎は細長く大きな個体ではよく枝分かれします。

【和名】オニシオガマ [鬼塩竈]
【学名】Pedicularis nipponica
【科名】ゴマノハグサ科 SCROPHULARIACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県檜枝岐村

■Trackback People : 野草people

posted by hanaboro at 17:34| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月09日

コヤブタバコ

コヤブタバコ Carpesium cernuum
2004/09/15 花
コヤブタバコ Carpesium cernuum
2005/08/03 蕾


コヤブタバコは、日本全土に分布し、山野の林の縁などに生育する一年草〜越年草です。草丈は50cm〜1mくらい。よく枝分かれします。特に根生葉のころ観察すると、茎の下部の方には白い軟毛が密生しているのがわかります。根生葉は長さ10cm前後で、花の咲くころには枯れてしまいます。

茎のやや下の方につく葉は、さじ状の楕円形で付け根の方が徐々に細くなって、そのまま翼状になった葉柄に流れるかたちになります。縁の鋸歯(ギザギザ)は波打つような状態で不規則。中部から上部にかけてつく葉には鋸歯が目立たず、先のとがったやや幅の狭い楕円形をしています。根生葉も茎につく葉も両面に白い毛があります。

コヤブタバコ Carpesium cernuumコヤブタバコ Carpesium cernuum
2005/04/26 根生葉

花期は7月〜9月。茎の先と枝分かれした枝の先に1つずつ、緑白色の頭花をつけます。頭花は直径1.5cm程度で、下向きにつきます。頭花のつけ根(頭花が下向きなのでぱっと見たところは上)には線形〜披針形の「苞葉」がたくさんあります。苞葉の長さは2cm〜5cm。さらに頭花を包んだ状態の幅の広い釣鐘形の「総苞」があって、長さは7mm〜8mm。総苞にある3列に並んだ「総苞片」のうち、特に一番外側にある「総苞外片」は緑色の葉状になって幅が広く外側に反り返ります。一番内側にある「総苞内片」はちょっと革質で白っぽくて反り返らず、筒状花(管状花)を包んだ状態になります。

コヤブタバコは、キク科の植物で1つの花に見えている「頭花」の部分には、たくさんの「小花」が集まっています。花びらに見えるはずの「舌状花」はなく、すべて「筒状花」からできています。この筒状花には2つのタイプがあって、中心部分には両性の筒状花、周辺部には雌性の筒状花があります。

果実の時期には総苞片などはなくなって、「花床」という部分から、円柱形の「そう果」がたくさんぶら下がるような状態になります。長さは5mmくらいで、そう果の先には円形の管のようになった部分があって、口が開いている感じです。そこから粘液が出ているので、ベタベタします。これによって、動物の体や衣服にくっついて運ばれます。

【和名】コヤブタバコ [小薮煙草]
【学名】Carpesium cernuum
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/08/03、2005/04/26、2004/09/15
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事
ヤブタバコ
サジガンクビソウ

■Trackback People : 野草people

posted by hanaboro at 11:07| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月03日

ブタクサ

ブタクサ Ambrosia artemisiifolia


ブタクサは、北アメリカ原産の一年草です。温帯を中心に世界的に広く帰化しています。日本に入ってきたのは明治のことで、最初に確認されたのは関東だったそうです。その後、昭和になって各地に広がり、現在では全国的に見られるようになっています。道ばたや空き地などにごくふつうに生えています。キク科ブタクサ属の植物で、花粉が風によって運ばれ受粉する「風媒花」。オオブタクサ(クワモドキ)とともに夏〜秋の花粉症の原因の1つとなることが知られています。

茎はよく枝分かれして、草丈は30cm〜1m、大きいものでは1.5mほどにまでなります。茎には長めの白い軟毛が密生しています。

葉の質は薄く柔らかい。羽状に深く細かく裂けます。ヨモギの葉に似ているところもあります。ちなみに、学名の種小名「artemisiifolia」には、「ヨモギ属(Artemisia)みたいな葉の」という意味があります。葉は下部では「対生」ですが、上部では「互生」します。つまり、生育途中で葉のつき方(葉序)が対生から互生に変化するわけです。同じキク科の「キクイモ」でも同様葉のつき方が変化します。

ブタクサ Ambrosia artemisiifoliaブタクサ Ambrosia artemisiifolia


花期は7月〜10月。雄花(雄頭花)と雌花(雌頭花)があって同じ株につく「雌雄同株」ですが、つく位置が違っています。茎の先からのびた花穂につくのは雄頭花で下向きに多数、雌頭花はその花穂の下の苞葉の脇に数個、かくれるようについています。雄頭花は総苞片がくっついてお皿を逆さにしたような形になっています。中には15個前後の「筒状花」が入っていて、雄しべは5本ずつ。直径は3mm〜4mm。雌花序の総苞はつぼ形で先端からは雌しべの花柱がのび出ています。果実は先のとがった「偽果」で、長さは5mmくらい、まわりには6個程度の突起があります。

ブタクサ(豚草)という名前は、英名の「Hog-weed」を訳したものです。

【和名】ブタクサ [豚草]
【英名】Hog-weed、Rag weed
【学名】Ambrosia artemisiifolia
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/06/28、2005/08/03
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事
オオブタクサ(クワクサ)

■Trackback People : 帰化植物

posted by hanaboro at 20:28| 東京 ☀| Comment(7) | TrackBack(1) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アメリカフヨウ

アメリカフヨウ Hibiscus moscheutos


アメリカフヨウは、北アメリカ南東部原産のアオイ科ハイビスカス属(フヨウ属)の多年草です。同属の植物は世界的に見ると、熱帯〜亜熱帯の地域に200種以上が知られています。四国や九州南部沖縄などに自生する「フヨウ (Hibiscus mutabilis)」とは同じ属。ただし、原産地では様々な変異が見られるため、分類学的な見解もいろいろ分かれているそうです。また、日本でふつう「アメリカフヨウ」と呼ばれているものは、原種の「Hibiscus moscheutos」をもとにして、「ソコベニアオイ (Hibiscus militaris)」や「モミジアオイ (Hibiscus coccineus)」などを交配してつくられた園芸品種です。写真はその園芸品種の1つ、色は濃い紅色のものです。

冬には地上部が枯れてしまいますが、地下の根は越冬して翌年また芽吹いて花を咲かせます。やや乾燥した場所でも栽培されますが、もともとの生育地が湿地なので、湿った場所や少し根が水につかるような場所でも生育可能だそうです。

高さは1m〜1.8mくらいになります。茎は下部から「そう生」して、株立ち状になります。葉や茎、ガク片などには毛が生えています。葉は互生。楕円形で先がとがり、縁にはギザギザ(鋸歯)があります。フヨウはふつう3つか5つに裂けますが、アメリカフヨウはほとんど裂けないタイプが多いと思います。基部もフヨウほど深い心形ではないです。

花期は7月〜8月。花は朝開き夕方には閉じてしまう一日花。茎の先や上部の葉の脇(葉腋)に毎日次々と開花していきます。花は直径20cmを超え、大きく豪華、とても存在感があります。色は赤、桃色、白色などいかにもハイビスカス属らしい花色。中心が濃い色になるタイプが多いです。

花弁は5枚、幅の広いふくよかな花弁で、互いに重なり合って全体として真ん丸に見えるものが多いです。同属の他の種でも見られるように、花の中央には非常にユニークで、ブラシ状の突き出たものがあります。これは、雄しべと雌しべの集まりで、多数の雄しべが集まって筒状になり、雌しべを包んだ状態になっています。雌しべは雄しべより長く突き出て、先端には5つの柱頭があります。

【和名】アメリカフヨウ [亜米利加芙蓉]
【別名】クサフヨウ [草芙蓉]
【学名】Hibiscus moscheutos
【科名】アオイ科 MALVACEAE
【撮影日】2005/07/20
【撮影地】東京都調布市

■当ブログ内関連記事
ハイビスカス
フヨウ
ムクゲ

■Trackback People : ガーデニング

posted by hanaboro at 17:29| 東京 🌁| Comment(11) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月30日

ユウスゲ

ユウスゲ Hemerocallis citrina var. vespertina


ユウスゲは、本州、四国、九州に分布し、山地の草地に生える多年草です。というふうに図鑑では、だいたい山地の草原に生えるようなことが書かれているのですが、日本海側の海岸近くの草地でもよく見かけました。夕日を浴びた日本海の波の音とレモンイエローのユウスゲの花。ちょっと贅沢な夏の夕涼みです。

葉は40cm〜60cmくらいですが、花茎がそれより高く伸びて、高さは1m〜1.5mくらいになります。葉は2列に互いに組み合わさったような状態で、そう生します。線形で幅は1cm前後の細長いもの。ユリ科ワスレグサ属(キスゲ属 Hemerocallis)の植物で、世界的に見ると、同属の植物は30種ほど、日本には5種ほどで、例えば、「ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)」や「ヤブカンゾウ」、「ノカンゾウ」などがあります。

ユウスゲ Hemerocallis citrina var. vespertina


花期は7月〜9月。長くのびた花茎の上部の花序は二又状に分岐します。花茎には葉はありませんが、上部には長さ2cm〜3cm程度の「苞」があります。その苞の脇から枝を伸ばして花序となり次々に花を咲かせます。花には芳香があります。

花は斜め上向きに開き、花披片は淡い黄色で6つ、付け根の方はくっついて筒状になります。花被裂片は長さ7cmくらい。そして花筒の部分(花被筒)は長さ3cmほどで、まるで花柄のように見えていますが、本来の花柄は花筒部より付け根の方にあって、少し細くごく短いものです。

花の中央からは雄しべや雌しべが伸びていますが、先の方は上向きに曲がっています。雄しべは6本。雌しべは1本で、雄しべより少し長く突き出しています。花の内部では、雌しべは花筒部の中を通って底の子房に到達しますが、雄しべは花筒部の上部で外側にくっつきます。子房の位置は花筒の奥底ですが、花被片との上下の位置関係からすると、子房の方が上にある「子房上位」です。花被が全部落ちてしまったのを見ると、それがわかるかもしれません。果実は長さ2cmほどの幅の広い楕円形の「さく果」です。

花は夕方開いて翌朝にはしぼんでしまう一日花。夕方に花が開き、葉が細長いところがカヤツリグサ科スゲ属のようだから、「ユウスゲ」という名前がつけられたといいます。

【和名】ユウスゲ [夕菅]
【別名】キスゲ
【学名】Hemerocallis citrina var. vespertina
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2004/07/04
【撮影地】東京都日野市

■Trackback People : 野草people

posted by hanaboro at 18:47| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月29日

スズサイコ

スズサイコ Vincetoxicum pycnostelma
夕方、開きかけの花

スズサイコは、北海道、本州、四国、九州に分布し、日当たりのよい山野の草地に生える多年草です。草丈は40cm〜1mくらい。茎は細長く直立します。スズサイコという名前は、蕾が鈴に似て、全形がセリ科の「柴胡(ミシマサイコ)」に似ていることからきているそうです。

葉は対生。細長い線形〜披針形で、長さは10cm内外、幅は5mm〜1.5cm。先はとがっています。また、特に葉の長さが12cm〜17cmと長く、幅も1.5cm〜2.5cmと広いタイプを「ヒロハスズサイコ (Vincetoxicum pycnostelma f. latifolium)」といいます。葉の付け根のあたりを見るとは対生した葉が両方から茎を抱きこむような状態になっていますが、短い葉柄らしきものも見られます。

スズサイコ Vincetoxicum pycnostelma
まだ開花するまでには生長していない蕾

花期は7月〜8月。茎の先や上部の葉の脇(葉腋)からごく細い柄のある花序が出て、垂れ下がるような状態になります。といっても垂れ下がらないこともありますけど。花は直径1cm程度。花冠は黄みがかった緑褐色〜濃い赤褐色で、なかなか渋い色合いです。花冠の裂片は5つで、長さ7mm〜8mmの三角形。開くと星型になりますが、縁が外側に巻いて裂片が細く見えます。ガク片は花が咲いているうちは目立たないものですが、5つあり先のとがった三角形をしています。

花の中央部には雄しべが雌しべにくっついた「ずい柱」があります。そしてそのまわりには肉質の「副花冠」があります。副花冠というのは、花冠そのものではないのですが、花冠の一部や葯が変形してできた付属物のことをいいます。スズサイコの副花冠は直立して、長さは中央のずい柱とほとんど同じか少し短い程度です。

花の開閉はやや気まぐれなところもありますが、基本的には、夕方ごろ開花して翌朝、日が差し始めると花を閉じてしまいます。1つの花の寿命は数日なので、一度閉じた花はまた夕方日が落ちるころに開花し始めます。そのためしっかりと花開いた状態をみるには、夕暮れ時か早朝ということになります。今回の写真は夕方、日が沈みかけのときでしたが、一番上の写真のようにまだ開きかけという感じでした。

果実は「袋果」で、細長い円錐形というか紡錘形というか、横から平面的に見れば披針形です。長さは5cm〜8cm。園芸的に栽培されている「ブルースター」の果実と形は似ていますが、ブルースターの方は果実が上を向いてつきますが、スズサイコは下にぶら下がります。

【和名】スズサイコ [鈴柴胡]
【学名】Vincetoxicum pycnostelma (Cynanchum paniculatum)
【科名】ガガイモ科 ASCLEPIADACEAE
【撮影日】2004/07/04
【撮影地】山梨県牧丘町

■当ブログ内関連記事
ブルースター
イケマ

■Trackback People : 野草people

posted by hanaboro at 20:58| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月27日

オニユリ

オニユリ Lilium lancifolium
2005/07/25

オニユリは、北海道、本州、四国、九州に分布し、野原や田んぼ、人里周辺などに生える多年草です。花が美しく古くからよく栽培されるほか、野生状態のものも多く見られますが、本来の自生のものかどうかはよくわかっていないようです。「鱗茎」をいわゆる百合根として食用にするため古い時代に渡来したといわれています。

草丈は1m〜2mほど、茎の色は黒紫色で、白いクモ毛があります。地下の「鱗茎」は、直径5cm〜8cmの卵球形。葉は互生。長さ5cm〜15cmくらいの被針形で、先はとがっています。葉柄はなく、葉の脇に「珠芽(ムカゴ)」をつけることが大きな特徴。葉は両面無毛で光沢があります。

また、珠芽は、地上茎の「腋芽」が養分を蓄えて大きくなったもので、地面に落ちて生長できれば、新たな個体になります。オニユリの珠芽は、葉のもととなったものが肉質となった「鱗芽」。これに対して、茎が球状に肥大してできた珠芽は「肉芽」といって、「ヤマノイモ」の珠芽がそれです。

オニユリ Lilium lancifolium
2005/07/05
オニユリ Lilium lancifolium
2005/06/24


花期は7月〜8月。茎の上部の総状花序に、斜め下向きに数個〜多いときで20個くらいの花をつけます。「花被片」は6つ、橙赤色で後に強く反り返り、黒褐色の隆起した斑点がたくさん散らばっています。1つ1つの花被片は長さ7cm〜10cmありますが、反り返っているため花の直径としては、10cmちょっとくらいです。内側の花被片がやや幅広め。

ユリ属は、基本的に2倍体が多いといわれていますが、オニユリの多くは3倍体です。つまり種子ができないわけです。そのかわりに葉の脇(葉腋)に黒紫色の「珠芽」をつけ、それによって繁殖します。日本に生育するユリの中で珠芽をつけるのは、このオニユリだけ。ただし、壱岐、対馬や朝鮮半島南部に生育するオニユリは2倍体で、花期がやや早めなのだそうです。また、よく似た「コオニユリ」は、2倍体で種子ができ、珠芽はできないし、より葉が細く全体にスレンダー。

雄しべは6本、先の花粉の部分は濃い赤紫色。雌しべは1本で先の柱頭は太く、花の中をのぞくと基部には緑色の子房が見えています。柱頭には花粉がついていたりするのですが、不稔なんですよね〜。

【和名】オニユリ [鬼百合]
【学名】Lilium lancifolium
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2005/07/25、2005/07/05、2005/06/24
【撮影地】東京都日野市

■おまけのオニユリ写真(JPEG画像のみ別窓 45KB、2004/09/15撮影)

■当ブログ内関連記事
ヤマユリ
テッポウユリ

■Trackback People : 身近な生き物

posted by hanaboro at 15:28| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月26日

ミソハギ

ミソハギ Lythrum ancepsミソハギ Lythrum anceps


ミソハギは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の湿ったところに生える多年草です。ミソハギ科ミソハギ属の植物で、草丈は50cm〜1mくらい。茎は無毛で瑞々しい印象。地下の根茎は横に広がります。

葉はきれいに十字に対生します。長さ5cm内外の披針形で、ほとんど柄はありませんが、つけ根はあまり茎を抱かないという特徴があります。よく似た「エゾミソハギ (Lythrum salicaria)」はふつう茎を抱くので、チェックポイントの1つ。

ミソハギ Lythrum anceps


花期は7月〜8月。茎の先の花序に穂状にたくさんの花をつけます。花は直径1.5cmくらいの鮮やかな紅紫色。花弁の数は4枚〜6枚。長さ5mm〜8mmくらいの筒状のガクは、先が6つに裂けています。裂けたガク片は三角形で花弁にはりつくような状態になります。まだ、蕾の状態のガクを見ると、星のような形になっていて、ガク片よりも針状で横に突き出したものが目立ちます。これは、ガク片とガク片の間にある「付属片」です。

雄しべは12本、長いものと短かいものが6本ずつ。雌しべの花柱にも長、中、短の3型あります。そして、雄しべと雌しべの長さが同じにならないように長さの違う雄しべと雌しべがうまく組み合わさっています。同じ個体につく花は同じ組み合わせになっていて、違う組み合わせをもつ別の個体とでなければ受粉できない仕組みになっています。このような花を「異形花柱花」または「異形ずい花」といいます。

雌しべ→中雄しべ短雄しべ
雌しべ→長雄しべ短雄しべ
雌しべ→長雄しべ中雄しべ


よく似たエゾミソハギは、ガクに毛があり、ガク片とガク片の間の付属片が、ミソハギのように横に広がらず直立します。

【和名】ミソハギ [禊萩、溝萩]
【学名】Lythrum anceps
【科名】ミソハギ科 LYTHRACEAE
【撮影日】2005/07/25
【撮影地】東京都日野市

■Trackback People : 野草people

posted by hanaboro at 21:13| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ハナトラノオ

ハナトラノオ Physostegia virginiana
2005/07/25

ハナトラノオは、アメリカ北東部原産の多年草です。日本に入ってきたのは、明治のことだったとか。長い花穂に次々に花を咲かせ、たくさん群生して咲く様子は見栄えがよいので、観賞用によく栽培されています。また、それが逃げ出して人家周辺ではしばしば野生化しています。しかも、地下茎でよくふえるため群生しています。草丈は40cm〜1.2mくらい。シソ科の植物なのでふつうのことなのですが、茎はしっかりと四角形になっています。あまり枝分かれはしないのですが、上部のほうで花穂は数本出ます。

ハナトラノオ Physostegia virginiana
2005/07/25
まだ短い花穂
ハナトラノオ Physostegia virginiana
2004/12/08
枯れた花穂


葉は十字に対生するので、遠めにも規則正しい葉の並びに見えます。細長い披針形で先はとがり、縁には先のとがったギザギザ(鋸歯)があります。葉柄はありません。質はちょっと厚めで、表面には光沢があります。

ハナトラノオ Physostegia virginiana
2004/12/08

花期は7月〜10月。茎の先の花穂にたくさんの花をつけます。花穂の長さは10cm前後、シッポのような状態になるので、「トラノオ」とつけられています。ただし、トラノオという名前のつく植物は、多岐にわたっていて、分けられている分類群も様々です。例えば、「オカトラノオ」はサクラソウ科、「イブキトラノオ」はタデ科、「ルリトラノオ」はゴマノハグサ科です。

花は桃紫色〜白色。長さ3cmくらいの「唇形花」。これが4列になって花穂を咲きあがっていくので、非常に立体的。花穂が見え始めた蕾の段階から、その4列で角ばった花穂の片りんが。ガクは先が5つに裂けます。

【和名】ハナトラノオ [花虎の尾]
【別名】カクトラノオ [角虎の尾]、フィソステギア、ライオンズヘッド
【学名】Physostegia virginiana
【科名】シソ科 LABIATAE (LAMIACEAE)
【撮影日】2005/07/25、2004/12/08
【撮影地】東京都日野市

■Trackback People : ガーデニング

posted by hanaboro at 13:41| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月25日

ノブドウ

ノブドウ Ampelopsis glandulosa var. heterophylla


ノブドウは、アジア東北部に分布し、日本でも北海道〜沖縄まで広く見られ、山地、丘陵、ちょっとした草むらなどに生育しています。茎の基部は太く木質化した落葉つる植物。先が2つに分かれる「巻きひげ」は葉と対生して出ますが、葉は互生です。若い茎には粗い毛がたくさん生えています。

葉はほぼ円形〜掌状。多くの場合、3つか5つに裂けていて、幅は5cm〜10cm以上にもなります。つけ根は丸く湾入する心形。縁には鋸歯があります。葉の形にはいろいろ変異が多いのですが、特に深く切れ込むタイプを「キレハノブドウ (Ampelopsis glandulosa var. heterophylla f. citrulloides)」といいます。裏面は淡い緑色で、脈上に粗い毛があります。また、葉が無毛のタイプは「テリハノブドウ (Ampelopsis glandulosa var. hancei)」といい、本州南部〜沖縄に見られるといいます。若い葉の裏を見たとき白色か褐色のクモ毛が密生していたら、ブドウ属の「エビヅル (Vitis ficifolia)」の方のあたりの可能性が高いでしょう。

ノブドウ Ampelopsis glandulosa var. heterophyllaノブドウ Ampelopsis glandulosa var. heterophylla


花期は7月〜8月。「集散花序」が葉と対生します。花は淡い黄緑色の小さなもので、多数咲きます。1つ1つの花は直径3mm、花弁は5枚あります。小さな花の中に5本の雄しべと1本の雌しべがあります。花にはちょっと肉質で盃形の「花盤 (かばん)」があって雌しべを取り囲むような状態になっています。「ヤブガラシ」のような色の変化はないですが、同じように、花盤からは花蜜が出ています。ノブドウもヤブガラシもブドウ科の植物ですが、ヤブガラシの花弁は4枚、ノブドウは5枚です。

果実は液果で、ふつうは5mm〜8mmくらいの球形。虫えいになっていることも多くて、大小混じっていることもあります。秋に熟すころには色がカラフルに変化していきます。淡い緑色から紫色、水色などになります。その様子はマーブルチョコのようですが、食用にはならないそうです。

【和名】ノブドウ [野葡萄]
【学名】Ampelopsis glandulosa var. heterophylla
【科名】ブドウ科 VITACEAE
【撮影日】2005/07/25
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事
ヤブガラシ

■Trackback People : 蔓(ツル)植物

posted by hanaboro at 19:56| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月19日

オオアザミ

オオアザミ Silybum marianum


オオアザミは、ヨーロッパ南部〜アフリカ原産の一年草〜二年草です。草丈は60cm〜1.5mくらい、大きいものでは2mほどに達することもあります。花や葉は同じキク科のアザミ属に似ていますが、別属の「オオアザミ属」に分類されています。

観賞用や食用として栽培されるほか、オーストラリア、ニュージーランド、南米、北米などに帰化しているといいます。日本に入ってきたのは江戸時代のことだったとか。現在は本州で時折、帰化していることがあるそうです。若い葉や根は食べられるそうです。また、7月ごろに成熟する果実には、肝機能を改善する有効成分が含まれているとか。

根生葉はかなり大きくて、長さは40cmくらい、幅は10cm以上になり、短い柄があります。そして地面に広がって、大きなロゼット状になります。葉の縁は浅めにいくつか大きな波状に裂けて、その裂片の先には長く鋭いトゲがあります。上部につく茎葉には柄がなく、付け根は耳状にはりだして茎を抱きます。表面には光沢があって、葉脈に沿って白い斑模様が入っています。

オオアザミ Silybum marianum


花期は5月〜6月。茎の先に直径5cmくらいの頭花を1つずつつけます。オオアザミの頭花は、すべて「筒状花」からできていて、「舌状花」はありません。色は多くは紅紫色、時に白色です。

紅紫色の筒状花の下に見える「総苞」は直径5cmくらいで、そこにある「総苞片」が目を引きます。1つ1つの総苞片は幅が1.5cm以上、大きく長くて斜め上向きに突き出しています。総苞片の縁には細かいとげが多く、さらにその先端には長いトゲがあって、ゴツゴツした雰囲気をかもしています。

別名の「マリアアザミ」は、聖母マリアにミルクを捧げる娘が、この植物のトゲに触れて驚き、ミルクをこぼしたために葉に白い模様ができたという伝説によるものだそうです。

【和名】オオアザミ [大薊]
【別名】マリアアザミ
【英名】Milk thistle、St. Mary's thistle
【学名】Silybum marianum
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2004/04/22
【撮影地】東京都小平市(植栽)

■Trackback People : Herbal life

posted by hanaboro at 14:58| 東京 🌁| Comment(14) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月16日

ザクロソウ

ザクロソウ Mollugo pentaphylla


ザクロソウは、本州、四国、九州に分布し、畑や道ばたなどに生える一年草です。茎に毛はなく、草丈は10cm〜25cm程度ほど。ツルナ科ザクロソウ属の植物です。名前は、ザクロ科の落葉小高木「ザクロ」に似ているところからきているそうです。

葉は長さ1cm〜3cmの細長い線形〜披針形で、少し分厚くちょっと多肉植物の雰囲気、表面には光沢があります。茎の下部の葉は3枚〜5枚が偽輪生しますが、上部の方では2枚対生します。ちなみに「偽輪生」というは節間がつまって輪生しているように見える場合をいいます。

ザクロソウ Mollugo pentaphyllaザクロソウ Mollugo pentaphylla


花期は7月〜10月。茎の上部の「集散花序」に、まばらに小さな花をつけます。花弁はなく、直径は3mmくらい。一見、花弁のように見えるのはガク片です。ガク片は淡い黄緑色で、5つあります。雄しべは3本〜5本。中央には丸っこくずんぐりとした「子房」があって、先端の花柱は3つあります。果実は直径2mmほどの球形。

【和名】ザクロソウ [柘榴草]
【学名】Mollugo pentaphylla
【科名】ツルナ科 AIZOACEAE
【撮影日】2005/07/16
【撮影地】東京都日野市

■Trackback People : 野草people

posted by hanaboro at 18:42| 東京 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月05日

ワルナスビ

ワルナスビ Solanum carolinense


ワルナスビは、北アメリカ原産の多年草で、世界各地で帰化しているそうです。ナス科ナス属の植物。地下茎をのばしてふえるので、しばしば群生しています。根茎の切れ端でも生育可能ということで、畑に侵入した場合、とてもやっかいな雑草になっています。さらに、茎や葉、花序などにトゲが多いこともあって、始末におえない害草ということから、「ワルナスビ(悪茄子)」となったと名づけられたそうです。日本で最初に確認されたのは、昭和初期、千葉県でのことだったそうです。現在では各地の道ばたなどに見られます。

草丈は40cm〜70cm程度。茎は節ごとにちょっとカクッと曲がります。茎には直角に出た鋭いトゲがあります。茎は緑色、または紫色、トゲは黄褐色。さらに、茎や葉には「星状毛」が密生しています。葉柄や葉の両面の中央脈上にもトゲがあります。表面のトゲは少なく短めですが、裏面のトゲは鋭く数も多めです。小さい写真の右側はワルナスビの葉ですが、この個体の場合、表面のトゲは1枚につき小さなものが1つか2つでした。ちょうど、ショウリョウバッタがいるあたりにあるのですが。

葉は互生。長さ10cm前後の長楕円形で、縁には大きな波状の鋸歯があります。鋸歯は不規則に3つか4つほどあって、ウネウネとした輪郭です。

ワルナスビ Solanum carolinenseワルナスビ Solanum carolinense


花期は6月〜10月。花がつく枝は、茎の節と節の間から出て、比較的太くてしっかりしたものです。その枝に数個の花が咲きます。

花冠は5つに裂け、ほぼ平開して星形に見えます。直径は2cm〜2.5cmくらい。色は白色〜淡い紫色。中央に見える雄しべの「葯」は黄色です。それも、黄色く太いバナナのような葯。ふつうの「雄しべ」のイメージだと、長い「花糸」の部分があって、葯はその先端についていて花糸よりは長さが短い印象ですが、ワルナスビの葯は花糸よりも長くて、花糸の部分は外からはほとんどわからないくらいです。一番中央にある雌しべの花柱は、細くて長い場合と短い場合があります。ガク片の先はとがって、外から見える方には毛が目立ちます。

果実は「液果」で、直径1.5cmほどの球形。ガク片は果実の時期まで残っています。熟すと黄色〜オレンジ色になります。

【和名】ワルナスビ [悪茄子]
【別名】オニナスビ、ノハラナスビ
【学名】Solanum carolinense
【科名】ナス科 SOLANACEAE
【撮影日】2005/07/05
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事
アメリカイヌホオズキ

■Trackback People : 帰化植物

posted by hanaboro at 20:25| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(1) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月04日

ヒメヒオウギズイセン

ヒメヒオウギズイセン Crocosmia x crocosmiflora


ヒメヒオウギズイセンは、南アフリカ原産のアヤメ科クロコスミア属の種が、ヨーロッパで園芸品種として改良されたものだそうです。各国でよく栽培されるほか、逃げ出したものが野生化しているそうです。日本に入ってきたのは、明治の中ごろのことで、やはり観賞用にもたらされました。そのときの名は「モントブレチア」だったといいます。そして、現在では、花壇などでよく栽培されるほか、各地で野生化しています。

名前に「水仙」とついていますが、いわゆる「スイセン (Narcissus tazetta )」とはまったく別の植物です。ヒメヒオウギズイセンはアヤメ科、スイセンはヒガンバナ科またはユリ科に分類されています。

草丈は50cm〜80cmくらいまでなる多年草です。地下部には繊維におおわれた「球茎」があります。葉は先のとがった長い剣状。数枚が根もとから「束生」します。根もとの方を見ると、互い違いに出た葉が向き合って互いに抱き合うようについています。

ヒメヒオウギズイセン Crocosmia x crocosmiflora


花期は6月〜8月。細長い花茎をのばして、途中で数本、分岐します。分岐した花茎にも穂状にたくさん花をつけます。特に蕾のときは花序が丸く弧を描き、南京玉簾のような状態です。花色は橙色〜朱赤色、真夏の灼熱のイメージの色、情熱的な色。直径は3cmくらい。花には柄がありません。花被片は6枚ですが、根もとの方の半分はくっついて筒状になっています。花被片の先は、ほぼ平らに開きますが、横向きからややうつむき加減に咲きます。

花の中をのぞくと、花被片の筒になる入り口あたりには、花被片よりも濃い色の斑紋がみえます。雄しべは3本で、先端の「葯」は黄色です。そして一番長く突き出ているのは雌しべで、先は3つに分かれています。

ちなみに、属の学名「クロコスミア (Crocosmia)」には、「サフランの香り」という意味があります。乾燥させた花を湯に入れるとサフランに似た香りがするのだそうです。

【和名】ヒメヒオウギズイセン [姫檜扇水仙]
【別名】モントブレチア(Montbretia)、クロコスミア、ヒメヒオオギズイセン
【学名】Crocosmia x crocosmiflora (Montbretia crocosmaeflora )
【科名】アヤメ科 IRIDACEAE
【撮影日】2005/07/02
【撮影地】東京都日野市

■Trackback
私のお気に入り」さんの記事→「モントブレチアと野の花達
色鮮やかに咲く「ヒメヒオウギズイセン (モントブレチア)」。そのお写真や栽培方法が紹介されています。ほかの野の花たちの可憐な姿も必見。

■Trackback People : 帰化植物

posted by hanaboro at 20:47| 東京 ☔| Comment(2) | TrackBack(3) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月29日

ホソバノキリンソウ

ホソバノキリンソウ Phedimus aizoon var. aizoon


ホソバノキリンソウは、北海道、本州中部以北の山地の草原や林内などに生育する多年草です。日本以外にも朝鮮半島やシベリアなどに分布しています。草丈は30cm〜50cmくらい。

ベンケイソウ科Phedimus属に分類されていますが、以前はマンネングサ属(Sedum)に分類されていました。一般的な図鑑では、Sedum属になっているのではないでしょうか。「Sedum属」をこれまで、「キリンソウ属」と表記されていたことも多かったと思いますが、Sedum属は「マンネングサ属」といった方が無難なのかもしれません。

肥大した太い地下茎から出てくる茎は、1本〜数本でまっすぐに伸び、ふつうは基部ではほとんど分岐しません。「キリンソウ (Phedimus aizoon var. floribundus)」とよく似ています。開花中なら雄しべの長さを見れば区別できるのですが、葉だけではなかなか大変です。キリンソウの場合は、茎が数本株立ちになり、しばしば基部で分岐して斜上します。葉は倒卵形、先にはやや丸みがあります。鋸歯はあまり鋭くなくそろった感じで少なめ。

葉は互生し、多肉質。全体に水分が多く厚ぼったい感じがします。基本的には全体緑色ですが、茎や葉の付け根のあたりはやや赤茶色を帯びることがあります。さらに上部の葉の表面の色はやや薄め。葉は倒披針形〜幅の狭い長楕円形、長さは3cm〜8cm。先は少しとがり気味。先がややシャープな鋸歯はちょっとふぞろいで多め。

ただし、葉の先が丸いか鋭いか、鋸歯の入り方にはかなり変異が多くて、また生育時期によっても変わります。同じ個体でも下部の方の葉は先が丸くて、鋸歯が先端や基部まで入っていないことがあったり、逆に花の近くの葉でも先が丸くて鋸歯が鈍いこともあって、なかなか難しいところがあります。

ホソバノキリンソウ Phedimus aizoon var. aizoon


花期は6月〜8月。茎の先の集散花序にたくさんの花をつけます。キリンソウよりは花が密につきます。花は黄色の5弁花、直径は1cm内外。長さ5mm程度の先のとがった披針形の花弁が5つで、シャープな星型なります。雄しべは10本。花弁よりはかなり短くなっています。キリンソウの場合も雄しべは花弁より短いですが、ホソバノキリンソウよりは長めです。

ガク片は5つ。花の中央には雌しべも5つ。膨らんだ「子房」が目立ちます。この部分は後に果実になります。果実は「袋果」で5つ、斜めに開くようにつきます。花は「5」が基本の5数性なので、花も果実のできた様子も星型に見えます。

【和名】ホソバノキリンソウ [細葉の麒麟草、細葉の黄輪草]
【学名】Phedimus aizoon var. aizoon (Sedum aizoon var. aizoon)
【科名】ベンケイソウ科 CRASSULACEAE
【撮影日】2004/07/04
【撮影地】山梨県牧丘町

■Trackback People : 野草people

posted by hanaboro at 20:12| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ヤエクチナシ

ヤエクチナシ Gardenia jasminoides


ヤエクチナシ(オオヤエクチナシ)は、アカネ科クチナシ属の植物で、「クチナシ」の園芸品種です。クチナシは、国内では本州の東海以西、四国、九州、沖縄などの暖かい地域に生育する常緑低木です。中国にも分布しています。高さは1m〜2mほど。庭や公園にもよく植えられています。

ヤエクチナシは、クチナシがアメリカで改良されたものだそうで、セイヨウヤエザキクチナシともいいます。さらには、「ガーデニア」という名前でも呼ばれています。大輪でバラのように幾重にも花びらを重ねて、新鮮なうちはとても見栄えがするので、人気がある様子。開く直前の蕾は白と緑が混じりあい、傘を開く前のような感じ。

クチナシといえば、香りや花のほかに、冬に黄色っぽい朱色に熟し、染料や薬用に使われる果実の形も特徴的。5つ〜7つの「稜」があります。しかし、このヤエクチナシは果実ができにくいので、観賞用に植えられます。ガク片だけなら花の時期でも観察できます。ガク片は5本〜7本あって、細長く先がとがっています。クチナシの場合は、このガク片が果実が熟すころまでずっと残って、果実の上にツンツンと突き出て、果実がとてもユニークなものに見えます。

ヤエクチナシ Gardenia jasminoidesヤエクチナシ Gardenia jasminoides


花期は6月〜8月。甘ったるくて強い香りをもち、香水の原料にも利用されます。ちなみに、学名の種小名「jasminoides」には「ジャスミンに似た」という意味があります。花の直径は10cmを越えているくらい。枝先の葉の脇(葉腋)につきます。

葉は対生。長い楕円形で表面に光沢があってテカテカしています。長さは5cm〜15cmくらい。縁のギザギザ(鋸歯)はありません。側脈がくぼんでいるので、表面はボコボコと波打つ独特なもの。

八重咲き種は、他にも全体に小型の「コクチナシ (Gardenia jasminoides var. radicans)」があります。子どものころに住んでいた家には、コクチナシがありました。毎年、「オオスカシバ」の幼虫に丸坊主にされた後、開花していました。それは何ともバランスの悪い状態で。

【和名】ヤエクチナシ [八重梔子]
【別名】オオヤエクチナシ、セイヨウヤエザキクチナシ、ガーデニア
【学名】Gardenia jasminoides 'Fortuneana' ('Flore-pleno')
【科名】アカネ科 RUBIACEAE
【撮影日】2005/06/28
【撮影地】東京都日野市

当ブログ内関連記事
ヤエクチナシ
激しく枯れて、花びらは茶色。真夏の陽射しの中ですっかり乾燥してしまった姿。

■Trackback People : ツリーウォッチング

posted by hanaboro at 14:27| 東京 🌁| Comment(5) | TrackBack(0) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月22日

シュロソウ

シュロソウ Veratrum maackii var. reymondianum


シュロソウは、北海道、本州に分布し、丘陵地〜山地の林内や草原に生育する多年草です。草丈は50cm〜1m。ユリ科シュロソウ属の植物ですが、この仲間、学名や和名がいろいろとややこしい。シュロソウ、ホソバシュロソウ、アオヤギソウ、タカネアオヤギソウ、ムラサキタカネアオヤギソウなどが同じ種の中の変種や品種とされていて、花の色や草丈、葉の幅などによって区別されています。でも、それらの区別はなかなか大変です。

さらに困ったことに、「シュロソウ」という和名が「オオシュロソウ」の別名かその反対になっていたり、オオシュロソウとは別変種となっていたりします。前者の場合の学名は「Veratrum maackii var. japonicum」、後者の場合は「Veratrum maackii var. reymondianum」。筆者は今のところこれらをしっかり把握できていないので、今回は、オオシュロソウとシュロソウを区別しないことにします。

北海道と本州中部以北に生育し、花(花被片)が黄緑色の「アオヤギソウ (Veratrum maackii var. maackioides f. virescens)」に似ていますが、シュロソウの花被片の色は濃い紫褐色。

同じように花被片の色が濃い紫褐色の「ホソバシュロソウ (Veratrum maackii var. maackii)」とは、花柄の長さと葉の幅によって区別されます。シュロソウの花柄は4mm〜7mm、ホソバシュロソウの花柄は10mm〜17mm。葉の幅が3cm以下。

葉は長楕円形〜線状の披針形。長さは20cm〜30cm。葉の付け根の方は鞘状になって茎を抱いています。名前は、その葉鞘がシュロ毛状の繊維となって、葉が枯れた後も残っていることからきているといいます。葉はほとんどが茎の下部に集まってつきます。

シュロソウ Veratrum maackii var. reymondianum


花期は7月〜8月。花は茎の先の細長い円錐花序にたくさん咲きます。花には「両性花」と「雄花」があって、同じ花序に両方のタイプの花がつきます。これは、シュロソウ属の特徴の1つとなっています。雄花は子房と柱頭を欠いています。それに対して、両性花の方は雌しべの方が雄しべより長くなっています。

花は直径1cmくらいで、濃い紫褐色。花披片は6枚。花序には縮れた毛が密生しています。果実はさく果で、長さ1cm〜1.5cm。楕円形で3本の縦に溝が走っています。

ちなみに、夏の亜高山で存在感を発揮する「コバイケイソウ」もシュロソウ属です。

【和名】シュロソウ [棕櫚草]
【別名】オオシュロソウ
【学名】Veratrum maackiivar. japonicum
【科名】ユリ科 LILIACEAE (シュロソウ科)
【撮影日】2004/07/03
【撮影地】東京都八王子市

■Trackback People : 野草people

posted by hanaboro at 19:06| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(3) | 蕾図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。