2005年12月28日

ヤマネコノメソウ

ヤマネコノメソウ Chrysosplenium japonicumヤマネコノメソウ Chrysosplenium japonicum


ヤマネコノメソウは、山地の林内などのやや湿り気の多い場所に生えるユキノシタ科ネコノメソウ属の多年草です。草丈は10cm〜20cmほど。まだ浅い春、明るい緑色の丸っこい葉を広げ、全体に水分を多く含んだ瑞々しい姿が見られます。地面を横にはう走出枝のないタイプ。茎には長めの軟毛があります。ネコノメソウという名前、これは、花後に見られる果実が裂開したときに中の種子が見える様子、あるいは裂開する前の果実の様子が猫の目に似ていることからきているそうです。

ヤマネコノメソウの茎生葉は互生。ネコノメソウだと対生です。茎の途中には葉は少なく1枚〜2枚、または見られないことも。上部には輪生状に集まってつきます。根生葉にはより長い柄があります。葉は縦の長さよりも横幅の方が広めの腎円形。幅は1cm〜2cmほどです。縁のギザギザ(鋸歯)は、ギザギザというのには程遠く、先はとがらず丸っこいものです。

花期は3月〜4月。茎の上部の葉が集まったあたりの中心に、小さな花を数個つけます。花には花弁がなく、ガク裂片の先の方は緑色で、付け根の方は黄色っぽいです。裂片の長さは1mmちょっとの小さなもの。このガク裂片は、花の最盛期には平たく開いています。その中に4個〜8個の雄しべがあって、先端の葯の部分は黄色です。

果実はさく果で、熟すとパカッと裂開します。開いた果実のおわんの中には、褐色の小さな種子がたくさん入っています。雨が降ったとき、雨滴がおわんの中に当たってその衝撃で中の種子が弾き飛ばされます。そうやって種子が散布される種子散布様式を「雨滴散布」といいます。その後、水の流れで流されたりもするのでしょうかね。ネコノメソウの仲間は、チョロチョロ水が滴るような場所によく生えているし、種子散布の様式と関係ありそうですね。でも、ヤマネコノメソウの場合は、やや乾燥したところにも生えますから、どうなんでしょうね。

今回の写真はまだ芽生えたばかりのようでした。種子から芽生えるのは、春や秋なのかと思っていたので、こんな真冬に芽生えが見られて、ちょっとビックリ。この日は粉雪もちらついていたんですよ。秋に芽生えたものがそのまま成長せずにこんな小さな状態のままだったものなのか、つい最近芽生えたものなのかはよくわかりませんけれど。ちょっと密集して芽生えていたので、どうやら種子は広い範囲には散布されなかったようですね。

【和名】ヤマネコノメソウ [山猫の目草]
【学名】Chrysosplenium japonicum
【科名】ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE
【撮影日】2005/12/24
【撮影地】東京都八王子市

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2005年11月19日

野の草:小さな芽生え

草刈も終了し、この間まで残っていた夏草たちの名残りももうなくなって、秋の花たちもほとんどが終わりを告げています。すっかり枯れ草色になった風景の中、おなじみの草たちの小さな芽生えが新たに少しずつ緑色の絨毯を広げています。中にはこのところの冷え込みのせいなのか、赤紫色を帯びてあたりの景色になじむかのように、すでに冬色を呈しているものも見られます。

ノゲシ Sonchus oleraceus【和名】ノゲシ
【学名】Sonchus oleraceus
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
オニノゲシ
ノゲシの幼い時期の目印は、この微妙な色合いの根生葉。

アメリカフウロ Geranium carolinianum【和名】アメリカフウロ
【学名】Geranium carolinianum
【科名】フウロソウ科 GERANIACEAE
アメリカフウロ
ついこの間までは、ゲンノショウコのお御輿の季節だったのに。

カタバミ Oxalis corniculata【和名】カタバミ
【学名】Oxalis corniculata
【科名】カタバミ科 OXALIDACEAE
カタバミ
そういえば、秋の草刈後のまだ暖かかったころ、パーッと一斉に咲いていました。ほとんど一年中、どこかで咲いて、また新しく芽生えて。それを繰り返しているのでしょうね。

オオイヌノフグリ Veronica persica【和名】オオイヌノフグリ
【学名】Veronica persica
【科名】ゴマノハグサ科 SCROPHULARIACEAE
オオイヌノフグリ
日当たりのよい場所ではもう結構な大きさになっています。きっとどこかで咲いているのもあるんでしょうね。

コモチマンネングサ Sedum bulbiferum【和名】コモチマンネングサ
【学名】Sedum bulbiferum
【科名】ベンケイソウ科 CRASSULACEAE
コモチマンネングサ
コハコベなどの越冬中の様子とどこか似ているんですよね。

オニタビラコ Youngia japonica【和名】オニタビラコ
【学名】Youngia japonica
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
オニタビラコ
まだ小さなロゼット。近くではまだ今も開花中の個体も見られます。

ヤエムグラ Galium spurium var. echinospermon【和名】ヤエムグラ
【学名】Galium spurium var. echinospermon
【科名】アカネ科 RUBIACEAE
ヤエムグラ
幼いヤエムグラ。越冬中の姿が結構好きなんです。コンクリートの壁の隙間で、ヒメオドリコソウとヤエムグラばかりが目立つ季節も、もうそろそろ。


暖かな春までは、これから幾度となく訪れる寒波を乗り越えなければならないわけで。そろそろ、この小さな芽生えたちにとっても厳しい季節となりますね。

【撮影日】2005/11/19、2005/11/01、2005/10/31
【撮影地】東京都日野市

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2005年07月26日

ゴウシュウアリタソウ

ゴウシュウアリタソウ Chenopodium pumilio


ゴウシュウアリタソウは、オーストラリア原産の一年草です。日本で最初に認識されたのは1940年代のことで、その確認は1930年代に採られた標本をもとに行われたそうです。道ばたや、荒れ地、畑などの日当たりがよく乾燥した場所で見られます。夏の高温期によくふえ、畑地ではしばしば困った雑草となっているといいます。

根もとの方からよく分枝して地面をはうように広がります。そして、しばしば斜め上にのびるか、まっすぐ立ち上がることもあります。茎には短い毛が多く、腺毛も混じっています。茎の長さは15cm〜30cmほど。

ゴウシュウアリタソウ Chenopodium pumilio


葉は互生。長さ1cm〜2.5cmの楕円形で、縁には3対〜4対の波状の鋸歯(ギザギザ)があります。ギザギザの深さは浅いこともあれば、深いこともあります。小さいけれど分厚くしまった感じの葉です。裏面には柄のある腺点があり、脈上の毛は多細胞。独特のちょっと嫌なにおいがあります。

花期は7月〜10月。葉の脇(葉腋)に小さな花がかたまってつきます。かたまりは直径4mm。ガク片は5つ、ここにも多細胞の毛や腺点があります。このガク片は果実の時期まで残って、果実を包み込みます。

【和名】ゴウシュウアリタソウ [豪州有田草]
【別名】コアリタソウ、ゴウシュウアカザ
【学名】Chenopodium pumilio (Chenopodium carinatum)
【科名】アカザ科 CHENOPODIACEAE
【撮影日】2005/07/16
【撮影地】東京都日野市

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2005年06月27日

ノボロギク

ノボロギク Senecio vulgaris


ノボロギクは、ヨーロッパ原産の一年草です。日本に入って生きたのは明治初期だとか。今では、道ばたや土手、田畑などにふつうに生育しています。草丈は30cm〜40cmほど。よく枝分かれします。一年草といわれていますが、年何回も発生するようで、暖かい地域なら一年中花が見られます。

葉は互生。縁はギザギザと羽状に裂けます。表面は濃いめの緑色。やや肉厚な感じで、光沢があります。特に葉脈上に毛が多くはえています。

ノボロギク Senecio vulgarisノボロギク Senecio vulgaris


「ボロギク」というのは、山地の木陰に生える「サワギク (Nemosenecio nikoensis)」の別名で、ノボロギクは「野に生えるボロギク」という意味だといわれています。ただし、サワギクの花には「舌状花」がありますが、ノボロギクの小花はほとんどの場合、すべてが「筒状花」です。つまり、花びらがありません。咲いていても蕾のような状態です。

花色は黄色という点は同じでも花は特に似ていません。似ているのは、果実の記事の白い「冠毛」がボワボワとほおける点です。この「冠毛がほおける」という点が共通で、別の属ながら同じように「ボロギク」という名前がついているものに、「ベニバナボロギク (Crassocephalum crepidioides)」、「ダンドボロギク (Erechtites hieraciifolius)」などがあります。ベニバナボロギクはアフリカ原産、ダンドボロギクは北アメリカ原産。両方とも、小花は筒状花ばかり。

また、名前の由来については、特に「サワギク」に似ているからというわけではなく、ノボロギクそのものの冠毛のほおけるようすからきているともいわれています。

ノボロギクの小花を包んでいる筒状の部分、「総苞」は、長さ1cm程度。そのつけ根のところにはさらに「小苞」がいくらかあります。その小苞は細く先のとがった線形で、先端は黒っぽくなっています。小苞の長さは長短まちまち。

【和名】ノボロギク [野襤褸菊]
【学名】Senecio vulgaris
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/06/24
【撮影地】東京都日野市

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2005年06月20日

カラスノゴマ

カラスノゴマ Corchoropsis tomentosa


カラスノゴマは、本州、四国、九州に分布し、道ばたや畑などに生育する一年草です。茎はまっすぐ伸びて、草丈は30cm〜80cmくらいになります。シナノキ科カラスノゴマ属に分類されています。シナノキ科といえば木本が多いのですが、カラスノゴマは草本です。茎や葉など、全体に細かい「星状毛」が生えています。

葉は互生。卵形で、長さは5cm内外。両面に毛がありますが、特に裏面には密生して白っぽく見えます。

カラスノゴマ Corchoropsis tomentosa
2005/06/20 芽生え
カラスノゴマ Corchoropsis tomentosa
2004/10/07 若い果実


花期は8月〜9月。葉の脇(葉腋)に1つずつつ、下向き加減に開きます。花弁は5枚で、比較的鮮やかな黄色。花の直径は1.5cmほどです。「放射相称」で、プロペラのようなつき方です。ガク片は細長い線形で後に反り返ります。このガクにも星状毛がはえています。雄しべの数には、ややばらつきがあって、10本〜15本。さらに、通常の雄しべよりも長く突き出た「仮雄しべ」も5本くらい。

果実は「さく果」で、長さは3cmくらいの細長い棒状。果実はほぼ上向き。果実にも星状毛があります。その毛の様子や、やや湾曲したところなどは、イモムシみたい。熟すと3つに裂けます。名前は、種子の色や形が「ゴマ」に似ているところからきているそうです。ただし、カラスノゴマは、食用にはならないとか。

【和名】カラスノゴマ [烏の胡麻]
【学名】Corchoropsis tomentosa
【科名】シナノキ科 TILIACEAE
【撮影日】2005/06/20、2004/10/07
【撮影地】東京都日野市

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2005年06月16日

ミズヒキ

ミズヒキ Persicaria filiformis


ミズヒキは、日本全土に分布し、山野の林内などに生える多年草です。草丈は50cm〜80cm。伏した粗い毛がたくさん生えています。

茎葉は、長さ5cm〜15cmくらいの卵形。先の方はとがり気味。質は薄いのですが、表にも裏にもたくさん毛が生えていてフサフサします。しばしば、葉の中央付近にはV字型の茶褐色の模様が入ります。タデ科の植物にはよく見られる模様です。葉の付け根のあたりの茎には、褐色の薄い膜のような「葉鞘(ようしょう)」があります。この部分は筒状で、粗い毛がたくさんあります。

より大型で毛が少なく葉の先が尾状にとがるタイプは、「シンミズヒキ (Persicaria neofiliformis)」という別種にされているようです。

ミズヒキ Persicaria filiformis


花期は8月〜10月。ヒョロ〜ッと細長〜い穂状の花序に、ごく小さな花をポツポツポツッとつけます。花序の長さは30cm前後。直径4mmくらいのちっちゃな花は、花序にダイレクトについているように見えますが、一応、短い花柄があります。花柄は途中でほぼ垂直に折れ曲がって花は横向きに開きます。

花被は4つにさけ、1つ1つの花被片は卵形で長さは2mmくらいです。ふつうは上の3つの花被片は赤く下の1枚が白っぽい。それによって、花序を上から見ると赤く、下から見ると白く見えることから、紅白の水引にたとえて、名前は「ミズヒキ」というそうです。

その小さな花の中に雄しべは5本、雌しべの花柱は2本。果実は、褐色で光沢があり、花被に包まれて状態になっています。さらに残った2本の花柱の先は、カギ状に曲がります。昆虫の触覚のような舌のような形状です。ミズヒキの果実は、このカギ状になった部分で動物の体などにくっつく、いわゆる「ひっつき虫」の1つ。

【和名】ミズヒキ [水引]
【学名】Persicaria filiformis (Polygonum filiforme)
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2005/06/12
【撮影地】神奈川県津久井町

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2005年06月15日

アオミズ

アオミズ Pilea mongolica


アオミズは、日本国内では、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の湿り気の多いやや暗めの場所に多く生える一年草です。日本以外では、朝鮮半島、中国、シベリア東部などに生育しています。イラクサ科ミズ属の植物で、草丈は30cmくらいにはなります。全体に水分が多くて、柔らかく瑞々しい。茎は薄い緑色。山菜としても利用されます。

葉は対生。5cm前後の葉柄があります。葉は少しひし形になりかけたような卵形。長さは5cm程度。縁には粗いギザギザ(鋸歯)があって、3本の葉脈が目立ちます。表面は深緑色で、光沢がありますが、同時にシワシワした感じもあります。一見、無毛のようですが、両面にまばらに短い毛があります。

花期は7月〜10月。葉の脇(葉腋)からでた「集散花序」に雄花と雌花が混じって咲きます。緑色っぽい目立たない花が葉腋からモジャモジャっと出てくるのですが、派手な花びらがあるわけでもなく、とても地味なものです。雄花の方には白い2枚の花被片があり、雄しべは2本。雌花の花被は3つに裂け、雌しべは1本。

青さがとりえのようなこの植物が一番輝くとき、それはいつなのだろう。青々とした若葉のころ?それとも、果実ができて無事に次世代を残す役目を果たせたとき?それとも。。。

【和名】アオミズ [青みず]
【学名】Pilea mongolica
【科名】イラクサ科 URTICACEAE
【撮影日】2005/06/12
【撮影地】神奈川県津久井町

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2005年06月08日

フクオウソウ

フクオウソウ Prenanthes acerifolia


フクオウソウは、本州、四国、九州に分布し、山地の林内、林縁などに生育する多年草です。草丈は30cm〜1mくらい。フクオウソウという名前は、三重県の「福王山」からきているのだそうです。

茎や葉の裏面など、全体に腺毛が生え、しばしば、茎の基部からでた柄の先に「珠芽(むかご)」ができます。

上に伸びた茎につく「茎葉または(茎生葉)」はほとんどつかず、下の方に集まってつくか根元から出る「根生葉」です。長さは5cm〜10cmくらい、翼のある長めの柄があります。葉は3つ〜7つに切れ込みますが、切れ込みの度合いなどはいろいろと変異があります。アサガオのような形から、モミジのような形、ほとんど切れ込まない卵形などさまざまです。

葉の形は、ちょっとだけ「コウモリソウ属 (Cacalia)」の葉を思い起こさせますが、フクオウソウは「フクオウソウ属 (Prenanthes)」に分類されています。

フクオウソウ Prenanthes acerifolia


花期は8月〜9月。長く伸びた茎の円錐花序にたくさんつき、花は下向きに開きます。キク科の植物なので1つの「頭花」は多数の「小花」が集まってできています。フクオウソウの小花は、図鑑では「9個〜13個」となっています。その小花のうち、ふつう花びらに見えている「舌状花」は、なかなか渋い色です。白っぽいような紫色っぽいような色で、黒っぽい筋模様が入っています。「総苞」の部分は長さ1cm、ちょっとくすんだ感じの緑色、腺毛が生えています。頭花の直径は1.5cmくらい。

果実(そう果)の冠毛は剛毛です。

【和名】フクオウソウ [福王草]
【学名】Prenanthes acerifolia
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/06/05
【撮影地】山梨県塩山市

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2005年06月07日

タニタデ

タニタデ Circaea erubescens


タニタデは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の湿り気の多い林内や沢沿いなどに生える多年草です。草丈は20cm〜50cm。葉柄や茎が赤っぽい。生長した個体ではしばしば節の周辺の赤みが強くなる傾向。

葉は対生。長さ5cm前後の先のとがった長卵形。縁には、ウネウネと波を打ったような不規則な感じの低いギザギザ(鋸歯)があります。葉柄は茎の上部で新しく出た葉は短いですが、下部の葉は長めの印象です。まだ若い苗のころの歯には赤褐色の模様が入っています。この模様のある葉が何なのかしばらくわからずに、数年過ぎたことがありました。

花期は7月〜9月。茎の先の総状花序にパラパラと小さな花が咲きます。下向きで淡い紅色〜白色。花弁の長さはガクの半分くらいの長さ。2枚の花弁の先は浅く3つに裂けます。図鑑では3つに裂けるとあるのですが、ちょっとギザギザとなって大きくわけると2つのこともあるような。2枚のガク片は淡い白緑色で後に反り返ります。雄しべは2本で、長く突き出します。

果実は長さ3mmくらいの小さなもの。こん棒のような形をしていて、カギ状の毛が密生しています。動物の体などにくっついて運ばれやすい果実になっています。中には種子が2つ。その果実がちらほら見え始めているころ、特に線香花火のようでかわいいもの。その果実はこの仲間の特徴で、より大型の「ウシタキソウ」、「ミズタマソウ」、小型の「ミヤマタニタデ」などがあります。

【和名】タニタデ [谷蓼]
【学名】Circaea erubescens
【科名】アカバナ科 ONAGRACEAE
【撮影日】2005/06/05
【撮影地】山梨県塩山市

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2005年05月30日

キツリフネ

キツリフネ Impatiens noli-tangere


キツリフネは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の沢沿いや湿り気の多い林内などに生える一年草です。草丈は50cm前後。葉は互生。長さ5cm内外の楕円形で、縁のギザギザ(鋸歯)は粗く、ウネウネとした波状。

花期は6月〜9月。葉の脇(葉腋)から花序が垂れ下がって、花はそこからさらに細い花柄で吊り下げられたような状態で咲きます。色はやや淡い黄色。「ツリフネソウ (Impatiens textori
)」の場合、花の後ろ側に伸びるシッポのような「距」の先がクルッと巻いているのですが、キツリフネの距は、下向きに垂れ下がります。その距のついているふくらんだ袋状の部分は、3枚のガク片のうちの1つです。残りの2つのガク片は小さい。花弁も3枚ありますが、そのうち下の2枚がくっついて大きくなっています。

キツリフネは、開花初期のころ、通常の「開放花」に先がけて長さ2mm〜3mmの小さな「閉鎖花」もつけます。閉鎖花の方は、花が開かずに結実します。閉鎖花によってまず、確実に種子を作っておこうという堅実さを持っていたのですね。小さな個体では、より閉鎖花をつける確率が高く、花粉を運んでくれる昆虫がこなくても、少ない資源で確実に種子を残すようにと、うまくできていますね。

さらに開放花は、雄しべが雌しべより先に成熟する「雄性先熟」で、成熟する時期をずらすことで、自家受精をさける仕組みを持っています。開放花を咲かせるからには、遺伝的な多様性が高くなるように他家受精によって種子を作り出そうということのようです。

果実は「さく果」で、熟すとちょっと触っただけでも、パンッと弾けて中の種子が飛び散ります。それが、この仲間、ツリフネソウ属の学名「Impatiens (耐えられない)」の由来ともなっています。

キツリフネ Impatiens noli-tangere
まだ子葉が残っている。

葉は互生しますが、「子葉」は丸くて先が少しへこんだ形で2枚対生。子葉つまり双葉ですから、まあ、対生しているのはふつうのことですが、雰囲気は同じ属で、小学校などの教材としてもおなじみの「ホウセンカ (Impatiens balsamina)」にちょっと似ています。でも、生えているのがやや陰湿なところだし、ホウセンカよりはもっときゃしゃな感じ。もうしばらくは、子葉が残っているかもしれませんが、生長とともに子葉はなくなってしまいます。子葉の観察は幼殖物ならではのこと。今のうち。。。

【和名】キツリフネ [黄釣舟]
【学名】Impatiens noli-tangere
【科名】ツリフネソウ科 BALSAMINACEAE
【撮影日】2005/05/29
【撮影地】神奈川県藤野町

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2005年05月20日

エノキグサ

エノキグサ Acalypha australis
2005/05/16

エノキグサは、日本全土に分布し、道ばたや畑に生える一年草です。日本以外にもアジア東部に分布しています。草丈は30cm〜50cmまでなります。茎はまっすぐ伸び、途中で枝分かれします。茎や葉には軟毛が生えています。

葉は互生。茎の下部の方の葉には長い柄がありますが、新しく出たばかりのころは柄が短く茎の先端に葉が集まったようになっています。葉は長い楕円形で、先はとがり気味、長さは5cm内外。縁にはあまり鋭くないギザギザ(鋸歯)があります。

葉は特に開き始めのころ、平たく開くというよりは2つに折りたたまれたように受け気味に開きます。茎の先の新しい葉が出てくるあたりや、葉の付け根部分、茎などが少し茶色っぽいような黄色っぽいような何とも地味な色を帯びていて、でも何だか光沢があって。日本にはこれに似た草はほかにあるのだろうかと思います。名前は、その葉の形がニレ科の落葉高木「エノキ (榎 Celtis sinensis)」の葉に似ているところからきています。

エノキグサ Acalypha australis
2004/10/07

花期は8月〜10月。葉の脇(葉腋)から花序が出てきます。トウダイグサ科の植物の中でも花は地味な方ですが、とても個性的です。花序の上の方には雄花がたくさんついて、下の方には雌花がつきます。小さな雄花は、開花するとふつうは花弁にあたる「花被」が、4つに裂けて中には雄しべ8本があります。雄しべの先にある「葯」は白色で、開花すると赤茶色の花序に白いプツプツがあって、それとわかります。

雌花の方は花序の下の方で、編み笠のような形の「総苞」に包まれています。それで、別名は、「アミガサソウ」です。雌花には、細かく裂けてモシャモシャとした柱頭があります。雌花の方の花被は3つに裂けます。子房の部分には小さな突起や毛がたくさんあります。受粉の仕方がまた変わっていて、小さい雄花が、そのまま雌花のあるところに落ちてきて受粉します。雌花や総苞は雄花をキャッチするために、そんな状態になっているということなんでしょうけど、まったく不思議な形です。

ただ、雄花がたくさんついているさらに上の部分、つまり花序のてっぺんなんですが、そこにも編み笠のようなものがついています。雄花が全部なくなったあともそれは雄花の花序が枯れるまでしばらく残っているみたいなんです。

果実(さく果)は、球形で直径3mm。種子は3つできます。1つの雌花にある子房が「隔壁」でしきられた3つの部屋(室)からできていて、それぞれの室に1つずつ後に種子になる「胚珠」があるので、種子が3つできます。子房の部分の小さい突起や毛は果実になっても残っています。

一番上の写真は、まだ幼い個体で、丸い円形の子葉も残っています。これで丈は2cmくらいです。

【和名】エノキグサ [榎草]
【別名】アミガサソウ[編み笠草]
【学名】Acalypha australis
【科名】トウダイグサ科 EUPHORUBIACEAE
【撮影日】2005/05/16
【撮影地】東京都日野市

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2005年05月16日

ヒメスイバ

ヒメスイバ Rumex acetosella


ヒメスイバは、ヨーロッパ原産の多年草です。日本に入ってきたのは明治の中ごろのことだったとか。日本以外にも世界中に広く帰化しているといいます。現在では日本各地の道ばたや人家周辺の草地や荒れ地などにふつうに見られます。地下茎を横に伸ばして増えるので、生育している場所では、だいたい群生しています。

草丈は20cm〜50cmほど。おなじみの「スイバ」よりは全体に小型です。それで、名前は「ヒメスイバ」です。

葉はほこ形で、長さ2cm〜7cm。付け根の方は少し耳状に横に張り出します。根生葉はヒョロリと長い葉柄がありますが、茎の上部の葉にはほとんど柄がなく、茎を抱きこむようについている場合もあります。茎葉は互生です。

花期は5月〜8月。茎の先の花序に小さい花をたくさんつけます。特に、花被片の外側は赤く染まることが多く、蕾は真っ赤のことがあります。群生していると、その辺りが赤く染まって見えるので、小さくても意外に目につくかもしれません。果実も赤くなります。

雄花と雌花が別々の個体につく雌雄異株。花被片は6枚。スイバの場合は、花が終わった後の果実には翼ができます。その翼は雌花の「内花被片」だった部分で、果実のころには大きくなって翼になります。しかし、ヒメスイバの場合は、果実のころになっても雌花の内花被片は大きくならないのです。

【和名】ヒメスイバ [姫酸い葉]
【学名】Rumex acetosella
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2005/05/14
【撮影地】東京都日野市

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2005年05月11日

カラスビシャク

カラスビシャク Pinellia ternata
2005/05/08

カラスビシャクは、日本全土に分布し、田畑や人里周辺の草地に生える多年草です。花は緑色なので、一見目立たないですが、その姿を一度見ると忘れられないとてもユニークな形をしています。すごく細身で、竿のようなものが長〜くのびた独特のスタイルです。その糸状の竿のようなものは、花序からのびている付属体です。

葉には長い柄があり、3つの小さい葉(小葉)からなっていて、それが2枚〜3枚、根もとから出てきます。1つの小葉の長さは5cm〜10cmくらいの長い楕円形、先端はとがっています。葉柄の長さは10cmくらいです。

上の写真のまだ小さい個体は、丈が3cmくらいです。下の写真はすでに開花しているものの葉です。幅が狭く見えていますが、これは小葉が2つにちょっと折りたたまれたような状態で、それを真上から見ているので狭く見えています。本来はもう少し幅が広いです。

カラスビシャク Pinellia ternata
2004/04/26

同じサトイモ科ハンゲ属の植物で、よく似た種に「オオハンゲ (Pinellia tripartita)」がありますが、こちらは主に西日本の林内に生育しています。葉柄にムカゴはなく全体に大きめで、葉は3つに深く裂けていますが、単葉です。また、葉と花茎の高さは同じくらいで、花序の付属体が黒っぽくならないところなどが違っています。

花期は5月〜8月。花茎は高さ20cm〜40cm。葉よりも高くなります。「ミズバショウ」や「マムシグサ」などと同じように、花序は「仏炎苞(ぶつえんほう)」という総苞葉(特殊化した葉)に包まれています。花は仏炎苞の中の「肉穂花序(にくすいかじょ)」と呼ばれる軸の部分が多肉になる花序にたくさんつきます。ハンゲ属の肉穂花序は下部の方で仏炎苞とくっつきます。

カラスビシャク Pinellia ternata
2005/05/16

花には雄花と雌花があって、雄花は花序の上部で仏炎苞とくっついていない部分にあります。雌花の方は花序が仏炎苞とくっついた部分にあります。これらの花には花披、つまりガクや花弁に当たるものがなく、雌花は子房がむきだしになっています。

カラスビシャクは栄養繁殖もさかんです。地下部には球茎があって、たくさん子球ができて繁殖します。さらに葉柄の下部の方や小葉の付け根にはムカゴ(珠芽)ができ、それによっても増えていきます。畑地のやっかいな雑草となっている所以です。

【和名】カラスビシャク [烏柄杓]
【別名】ハンゲ [半夏]
【学名】Pinellia ternata
【科名】サトイモ科 ARACEAE
【撮影日】2005/05/16、2005/05/08、2004/04/26
【撮影地】東京都あきる野市、日野市

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2005年04月26日

ネコハギ

ネコハギ Lespedeza pilosa


ネコハギは、国内では本州、四国、九州に分布し、日当たりのよいやや乾いた草地などに生える多年草です。上にはほとんどのびず、茎は地面をはうようにのびます。根もとの近くではよく枝分かれしますが上部ではそれほど分枝せず、1本の茎がかなり長〜くのびます。茎や葉の両面など、全体に毛が密生していて毛むくじゃら。ガクや果実の部分にも毛があります。茎の毛は特に長くて目立ちます。

名前は、全体に黄色っぽい毛がたくさん生えていることから、「イヌハギ」に対してつけられたという説や、全体に柔らかい毛が生えているのを猫の毛に見立てたものという説があります。

1つの葉は、3つの小さい葉(小葉)からできている「3出複葉」で、毛のたくさん生えた「クローバー」のような感じです。1つの小葉は幅の広めの卵形、長さ1cm〜2cm、幅も1cm内外です。その3出複葉が互生します。

ネコハギ Lespedeza pilosa


花期は7月〜9月。葉の脇(葉腋)に1つ〜5つくらいつきます。マメ科の植物なので、花は「フジ」や「カラスノエンドウ」などと同じように「蝶形花」ですが、色は白色。正面を向いて一番大きくて目立つ「旗弁」という花弁に紅紫色の斑点があって、それがちょうど花の中心部に見えるので、よいアクセントになります。ガクは5つに深く裂けます。

花の後には、長さ3mm程度の平べったくて丸くい、小さな果実(豆果)ができます。ネコハギはふつうに咲く花(開放花)のほかに、「閉鎖花」もつけます。これは、花が開かずに結実する花で、閉鎖花によってできる果実は、開放花によってできるものよりも小さいのだそうです。果実の先には花柱が残っていて、1本ピッと立っていて、その様子は、同じハギ属の「メドハギ」にも似ています。

【和名】ネコハギ [猫萩]
【学名】Lespedeza pilosa
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE
【撮影日】2005/04/26
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月25日

コアカザ

コアカザ Chenopodium ficifolium


コアカザは、ヨーロッパ〜シベリア西部原産の一年草です。「アカザ」と同様に、世界中に分布を広げているといいます。日本にも、かなり古い時代に入ってきたといわれています。現在では全国的に田畑や道ばた、荒れ地などにふつうに見られます。特に、土壌があまりかたくないようなところで発生しているのを見かけます。種子で繁殖しますが、芽生えるのはふつう春です。

コアカザは、「シロザ (Chenopodium album)」や「アカザ (Chenopodium album var. centrorubrum)」に比べると葉が細く、やや小型。茎がよく枝分かれして、特に若いときには、地面に近いあたりで横に広がる感じがあります。しかし、茎が横に寝て伸びるわけではなく、直立してきます。高さ30〜60cm。葉は、長さ5cm程度で、形はちょっとまちまちなところもありますが、だいたい、細い三角形っぽい形〜細長い楕円形です。付け根の近くで、3つに裂けていることが多いですが、縁には波のようにウネウネとした、不ぞろいの切れ込みがあります。

コアカザ Chenopodium ficifolium


葉は互生。1枚目の写真では、少し切れ込みが見られるのですが、2枚目の方ではまだ、葉の切れ込みがありません。芽生えてすぐの双葉や最初の数枚の本葉は、切れ込みのないただ細長いだけのものが出てくることもあるようですね。特に葉の裏は、粉のようなものがたくさんついていて白っぽく見えます。

花期は5月〜6月。ふつう、「シロザ」や「アカザ」は、秋に開花していることが多いですが、コアカザは初夏のころから夏に開花します。枝先に円錐形の花序を出して、薄い緑色の花をたくさんつけます。花は花序に密集してつくので、団子状になります。花にも粉状のツブツブがたくさんついているので、白っぽくいです。花のあとの果実は五角形。種子は黒くてごく小さいものです。

【和名】コアカザ [小藜]
【学名】Chenopodium ficifolium
【科名】アカザ科 CHENOPOIDACEAE
【撮影日】2005/04/19
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月23日

ヤブガラシ

ヤブガラシ Cayratia japonica


ヤブガラシは、日本全土に分布し、道ばたや荒れ地の藪などにふつうに生えるつる性の多年草です。地下茎をのばしてふえ、巻きひげで他のものにからみつきグングンツルを伸ばして、非常に旺盛に繁茂します。その様子は、藪をも枯らしてしまいそうなほどだということで、「ヤブガラシ」という名前がつけられています。

葉は5つの小さい葉(小葉)からなっていて、鳥の足のような形に見える「鳥足状複葉」です。5枚の小葉のうちてっぺんにある「頂小葉」が特に大きくて長さは5cm〜8cmくらいで、やや細長い卵形です。縁には少し粗めのギザギザ(鋸歯)があります。

晩春のころ、赤茶色のヤブガラシの芽が、あちこちでニョキニョキと出てきます。毛はなくツルットした茎や若い葉には独特の光沢があって、ちょっとギトギトした感じもあります。この姿を見ると、早くも夏に気持ちが飛んでしまいます。

ヤブガラシ Cayratia japonica


花期は6月〜8月。ヤブガラシは、「2出集散花序」という花のつき方をします。「集散花序」では、まず茎頂に花がついて、そこでその茎の生長がとまって、その花の下の腋芽が新しく伸びてきて、またその先に花がついてというのを繰り返して次々に花を咲かせます。2出集散花序では、対生している葉の脇から新しい枝が伸びてきます。ヤブガラシの場合は、葉があるという感じではないですが、二又、二又に分岐していきます。

直径5mmほどの小さなものです。花弁は黄緑色で4枚。雄しべも4本。中央のオレンジ色をした部分は「花盤」といいます。花弁やガクがついている茎の先端の部分を「花床」または、「花托」といいますが、ヤブガラシの場合は、その一部がよく発達して円盤状になっていて、それを「花盤」といいます。花盤には蜜がたまっていて、ミツバチやチョウ、アリなどの昆虫がよく訪れます。

花は朝開花して、はじめは雌しべは短くて機能せず、雄しべだけが花粉を出して機能しています。その後、花弁や雄しべは午後には散ってしまって、花盤と雌しべだけが残ります。そうすると、雌しべが成熟して長く伸びてきます。花盤の色はしだいに淡い紅色に変化します。小さく地味な花ですが、意外にも自家受精を避ける仕組みを発達させていたり、花色も移り変わるなど、劇的な変化を見せる花でもあります。

他家受精に成功すれば果実ができ、秋には熟して黒っぽい球形の果実になります。

【和名】ヤブガラシ [藪枯らし]
【別名】ビンボウカズラ
【学名】Cayratia japonica
【科名】ブドウ科 VITACEAE
【撮影日】2005/04/21
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月16日

オオバノトンボソウ

オオバノトンボソウ Platanthera minor


オオバノトンボソウは、本州、四国、九州に分布し、丘陵や山地の林内に生える多年草です。ラン科ツレサギソウ属の植物で、同じ属のほかの種類が、深山や湿地などに生えるものが多い中で、オオバノトンボソウは丘陵地や低い山の林に見られます。「キンラン」や「ギンラン」があるような明るめの場所よりも、どちらかというと暗めの林内に多いです。というのも、花期には樹木の新葉の展開もとっくに終わっているので、さらにその印象が強くなります。

一般的な図鑑では「オオバノトンボソウ」で登場していることが多いのですが、「ノヤマトンボ」となっていることもあります。
米倉浩司・梶田忠 (2003) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://ginkgo.bg.s.u-tokyo.ac.jp/bgplants/ylist_main.html(2005年4月16日).
によると、和名は「ノヤマトンボ」となっていて、「オオバノトンボソウ」、「ノヤマトンボソウ」は別名となっています。

草丈は、花茎が伸びた状態で30cmくらいから大きいもので50cmほど。葉は互生で、初めのころに出る地面に近い葉は大きく長さは10cm前後ですが、上に伸びた茎につく葉は上にいくにしたがって小さくなります。長い楕円形の葉はつけ根の部分で、茎を抱きこむようについています。写真は4月中旬、まだ葉を広げ始めた段階で葉は上を向いていますが、そのうちに、楕円形の大きめの2枚くらいはベロッと横に広がってきます。花期には葉の色は濃くなりますが、今はまだ、若々しい黄緑色。

4月に葉を広げはじめてから、しばらくの間は、花茎は出てくるものの背の低めの状態が続きます。開花期の6月〜7月の梅雨の時期、ようやく花茎も高く伸びてきます。そのころは、もう何度も雨に打たれたはずで、背丈の低いものの宿命のように、葉や花茎が泥まみれになっていることもあります。

その花の形もさることながら、必見なのは、その花茎です。花の大きさのわりにはずいぶんとしっかりした茎なんです。角ばったように隆起した筋があって、その様子を稜があるといったり、翼状になっているといったりします。茎の上部につく葉の裏側を見ると、葉の主脈が茎の稜につながっているのがわかります。

何とかその花茎が見られるのはこちら→前回の記事

花期が梅雨のさなかで、うっそうとした林内で淡い黄緑色の花を咲かせるオオバノトンボソウ。人目に止まることも少ないのかもしれない。この花を撮影するには、藪蚊に数箇所くらいは刺される覚悟が必要です。4月半ばの今ならまだ、蚊に刺されずに、蚋にたかられずに瑞々しい葉を撮影できるかもしれません。

【和名】オオバノトンボソウ [大葉の蜻蛉草]
【別名】ノヤマトンボ、ノヤマノトンボソウ
【学名】Platanthera minor
【科名】ラン科 ORCHIDACEAE
【撮影日】2005/04/15
【撮影地】東京都日野市

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オオバノトンボソウ

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2005年04月15日

オカトラノオ

オカトラノオ Lysimachia clethroides


オカトラノオは、北海道、本州、四国、九州に分布し、丘陵や山地の日当たりのよい草地に生える多年草です。高さは50cm〜1mほどになります。サクラソウ科オカトラノオ属(Lyshimachia)の植物で、「コナスビ」と同じ属に分類されています。そういえば、「ごまのはぐさのこまごまことのは」さんで紹介されている「クサレダマ」も同じ属の植物ですね。

地下茎を伸ばして増えるので、株立ちになっていたり、群生していることもあります。茎には少し短い毛がありますがまばらです。特に茎の下のほうや、葉柄の付け根のあたりなどは、よく赤みを帯びています。若いうちは葉の縁も赤みを帯びています。

葉は互生。長さ10cm前後、幅2cm〜5cmの長い楕円形で、先は少しとがっています。縁のギザギザ(鋸歯)はなく滑らかです。写真では、まだ、芽が出たばかりの小さなもので、草丈は5cmに満たないものでしたが、今のところ周囲に他の芽は見当たりませんでした。種子から芽生えたにしては大きいような気がするけれど。

花期は6月〜7月。茎の先の20cm〜30cmの総状花序を出して、白い小さな花をたくさんつけます。名前は、花序の様子をトラの尻尾に見立ててつけられたものです。緩やかに垂れ下がって先端の方が少し上に立ち上がる独特で、とても優美な曲線を描きます。花はその花序の下のほうから咲き進みます。

花(花冠)の直径は1cmくらい。深く5つに裂けているので、花びらが5枚あるように見えます。花序全体の姿も美しいのですが、1つ1つの花をじっくり見ても、よく整っていてきれいなものです。

その1つ1つの花をよく見ると、5つの花冠の裂片にはそれぞれ雄しべが1本ずつ向き合うようについています。これはサクラソウ科の植物の特徴の1つで、ほかの科の植物だと雄しべが花冠裂片と互生していることが多いです。オカトラノオは、雄しべが花冠裂片と対生している様子を観察しやすいと思います。

よく似た「ノジトラノオ (Lysimachia barystachys)」はの茎には褐色の毛が多く葉が細身です。ちなみに、ノジトラノオは、環境省の絶滅のおそれのある野生生物の種をとりまとめた「レッドデータブック」に掲載されています。また、湿地に生える「ヌマトラノオ (Lysimachia fortunei)」は花序が直立します。

【和名】オカトラノオ [岡虎の尾]
【学名】Lysimachia clethroides
【科名】サクラソウ科 PRIMULACEAE
【撮影日】2005/04/15
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事
コナスビ

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ごまのはぐさのこまごまことのは」さんの記事
→「くされだま 草連玉 サクラソウ科
「クサレダマ」ってすごい響きがありますが、さて、その名前の由来は?

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チゴユリ

チゴユリ Disporum smilacinum


チゴユリは、本州、四国、九州に分布し、丘陵や山地の明るい林に生える多年草です。早春の花がだいたい終わって、次に林床に花開く代表的な植物。草丈は20cmから大きいもので30cmくらいですが、だいたい小さめです。名前は、その小さなかわいらしい姿を小さな子どもにたとえて、「チゴユリ(稚児百合)」と呼ばれています。

ふつうはほとんど枝分かれしないのですが、ときどき枝分かれすることもあります。葉は5枚程度つきます。種子での繁殖のほかに、地下茎を長く伸ばして増えるので、特に明るい場所では群生していることも多いです。

葉は楕円形で先はとがって、付け根の方には丸みがあります。長さは5cm前後、幅は2cm〜3cmくらい。質はちょっと薄めで、若い時期はとても柔らかそう。平行に入る3本の葉脈がよく目立ちます。芽吹きから花の時期は特にとても瑞々しい黄緑色です。その後、濃い緑色になります。

チゴユリ Disporum smilacinumチゴユリ Disporum smilacinum


花期は4月〜5月。茎の先に1個か2個の花をやや垂れ下がるようにつけます。茎の上部が斜めにちょっと弧を描くような感じで伸びるので、花がかくれてよく見えないこともあります。

花びら(花被片)は、白色〜クリーム色で長さ1cm程度、先のとがった披針形。花被片6枚、雄しべ6本。雌しべの柱頭の先は3つにわかれています。花の後にできる果実は、熟すと黒っぽい藍色になります。できる種子の数は少なく、発芽したその年は、地上部を出さずに過ごすのだそうです。二年目になってようやく、地上に本葉を2枚出すのだとか。栄養繁殖でなく、種子で新しい個体を増やすのはたやすいことではないのですね。

ユリ科の植物には、チゴユリと同じような場所に生えて、よく似た葉を出して、晩春〜初夏のころに咲く植物がいいろいろあります。その中でもチゴユリは花が咲くのが早い方。その後、ホウチャクソウ、ミヤマナルコユリ、アマドコロ、ナルコユリなどがどんどん咲いていきます。花が咲けば、それぞれ個性があるのでわかりやすくなりますが、小さい葉っぱの時期は、もうよくわかりませんね。今回のものは、全体に小さくて、もうすでに、蕾が見えかけていたので、チゴユリだとわかりました。

【和名】チゴユリ [稚児百合]
【学名】Disporum smilacinum
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2005/04/15
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月13日

ジシバリ

ジシバリ Ixeris stolonifera


ジシバリは、日本全土に分布し、「オオジシバリ」よりも乾燥に耐えるようで、道ばたや石垣の隙間、日当たりのよい草地や水田の周辺などに生える多年草です。茎は細長く、地面をはって伸びます。ちなみに、学名の種小名「stlonifera」は、「走出枝や匍匐する茎のある」という意味です。

名前は、細い茎が地面をはって、茎のところどころから根をだして増える様子が、地面を縛るように見えることからきています。同属でよく似た「オオジシバリ」はそのジシバリによく似ていて、花や葉など全体に大きいので、そう呼ばれています。総苞や果実の長さもオオジシバリの方がひとまわり大きめです。またジシバリは、別名「イワニガナ」ともいうので、まるで高山植物のようですけれど、これは、少しの土壌があれば生育できるので、岩の間などにも生えているところからきています。

葉は質が薄くて、色は明るめの緑色ですが、しばしば、紫褐色の縁取りがあったり、少し斑点があったりします。長い葉柄があります。

ふつう、ジシバリの葉は丸くて小さいので、細長い楕円形やヘラ形になるオオジシバリと区別できます。ただし、両者とも葉の大小は変異もありますし、羽状に切れ込みが入っていることもあったりして、わかりづらいときもあります。今回の写真のものは、羽状に切れ込んでいますが、オオジシバリだともう少し葉身が長くなるはずなので、ジシバリとしています。ふつうは、全縁の円形〜卵状楕円形のことが多いと思います。

花期は4月〜7月。長さ10cm前後の花茎を伸ばし、しばしば上の方で枝分かれして、1個〜3個の花をつけます。花(頭花)は黄色で、直径2cmほどのタンポポのように上向きに咲きます。ただし、タンポポのように花びらに見える舌状花の数はたくさんではありません。花が終わって果実が熟すころには、冠毛が広がって綿毛になり、少し平べったい紡錘形の果実の先は、細長くくちばしのようになります。

【和名】ジシバリ [地縛り]
【別名】イワニガナ [岩苦菜]、ヒメジシバリ
【学名】Ixeris stolonifera
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2004/04/21
【撮影地】東京都八王子市

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ハマニガナ

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