2005年02月15日

アキノキリンソウ

アキノキリンソウ Solidago virga-aurea subsp. asiatica


アキノキリンソウは、北海道、本州、四国、九州の山野に生える多年草です。日当たりのよい場所を好むようですが、明るめの林床なら、それなりに花もつけます。北アメリカ原産の帰化植物「セイタカアワダチソウ (背高泡立草)」も同じアキノキリンソウ属の植物です。

花期は8月〜11月。草丈は30cm〜50cmほどで、大きいものでは80cmくらいまでなります。花序の形には変異があって、上部にかたまってつく場合と、縦に長くまばらにつく場合があります。パッと見た感じだけでは、高山型の「ミヤマアキノキリンソウ」との区別が難しいこともあります。そこで、花の細かい部分を見て区別することもありますが、それもなかなか容易ではないかもしれません。

花(頭花)は黄色で、直径は1cmちょっと、いわゆる花びらのある「舌状花」と中央部の「筒状花」があります。花の下の部分は筒状になっていて、黄緑色をしています。この部分を「総苞」といって、いくつかの「総苞片」とよばれるものが並んでいます。キク科植物では、よくこの総苞片の形状が分類形質となるので、キク科の花を見たら花びらの下も見るようにするといいと思います。

そこで、その総苞片で見分ける場合、アキノキリンソウでは「4列で先がとがらない」、ミヤマアキノキリンソウでは「3列で先がとがる」という点などで区別します。

花が終わった後、種子ができて銀色に輝く冠毛(綿毛)が目立つころには、すでに根もとには新しい葉ができています。その葉はそのままロゼット状となって越冬します。写真に写っているのがその越冬中の根生葉です。写したのが曇りの日だったので、葉の色もより暗めになっていますが、実物もかなり濃く暗めの緑色でした。全体的に白っぽい毛がたくさん生えていて、葉柄や葉裏の主脈の部分には特に密生していました。

アキノキリンソウ Solidago virga-aurea subsp. asiatica


茎は細長いものですが、丈夫にできているようで、越冬中も、かなり長い期間立ち枯れた状態で茎が残っています。じつは今回も、立ち枯れた茎を見て、きっとそうだと近づいてみたら、根元に根生葉がありました。しかし、この根生葉は、だいたい花が咲く前には枯れてしまいます。背の高くなった株では茎の下部の葉から枯れ上がっていることも多いです。

伸びてきた茎につく葉(茎葉)はもっと細長くて長さ8cmぐらい。付け根の方は細くなって葉柄に流れる感じになります。いいかえると、葉柄の部分にはごく幅の細いものですが、翼のようなものがあるんです。

【和名】アキノキリンソウ [秋の麒麟草]
【別名】アワダチソウ 
【学名】Solidago virga-aurea subsp. asiatica
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/02/13
【撮影地】東京都多摩市

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ミヤマアキノキリンソウ
セイタカアワダチソウ

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2005年02月11日

コウゾリナ

コウゾリナ Picris hieracioides subsp. japonica


コウゾリナは日本の各地に分布し、道ばたや空き地などに生育する越年草です。秋に芽生えたものが、ロゼット状の葉を広げて越冬します。早春のころはまだ茎があまり伸びずロゼット状に葉がつきますが、主な花期となる5月〜6月には草丈80cmほどになります。

キク科の植物には、筒状花と舌状花のある花をつけるものも多いですが、コウゾリナはすべて舌状花で、筒状花はありません。つまり、コウゾリナの1つ1つの「小花」全部に、いわゆる「花びら」に見えるものがついているということです。花の色は黄色で、キク科植物に多い色ですが、花だけでなく全体を見たときに他のものとは明らかに違うので、比較的はやく見分けられるようになると思います。全体に淡い褐色か赤褐色の剛毛があって、剛毛の先はかぎ状になっています。

初夏〜夏の初め、他の草たちもグングン生長してくるころ、コウゾリナもかなり茎を伸ばし、越冬したロゼット葉や下の方の葉は枯れていきます。葉にも剛毛が多く特に縁や裏の葉脈にたくさん見られます。もう触るとザラザラです。茎や葉の中央に走る葉脈(主脈)や縁の剛毛などは、特に赤褐色になることが多いのですが、越冬中のロゼット葉でもその特徴が出ています。ロゼット葉だけでは、なかなか種類がわからないときもありますが、これはわかりやすい方かもしれません。

名前の由来には、いくつか説があるようですね。剛毛の様子をカミソリ(剃刀)に見たてて、カミソリナ(剃刀菜)と呼ばれていたものがコウゾリナになったという説と、ひげを剃った後のざらざらした感じから、カオソリナ(顔剃菜)と呼ばれていたものがコウゾリナになったという説があるようです。

剛毛があるのでどうなんだろうかと思いますが、花が咲く前、春にできた下の方の若い葉は、結構風味があって山菜として利用されているようです。ただし、越冬したロゼット葉は硬いので、避けたほうがよさそうですね。

当ブログ内の前回の記事「コウゾリナ」では学名を「Picris hieracioides」としていたのですが、改めて下記のサイトで調べさせていただくと、これでは不十分でした。
米倉浩司・梶田忠 (2003) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://ginkgo.bg.s.u-tokyo.ac.jp/bgplants/ylist_main.html(2005年2月11日).

こちらによると、「Picris hieracioides subsp. japonica」が標準となっていて、「Picris hieracioides var. glabrescens」、「Picris hieracioides var. japonica」「Picris japonica」は異名(シノニム synonym)として扱われています。

ちなみに、属名の「Picris」は食べたときに苦味があるということで、苦いという意味の「picros」からきているのだそうです。

【和名】コウゾリナ [顔剃菜、剃刀菜]
【学名】Picris hieracioides subsp. japonica
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事→コウゾリナ
綿毛の時期のぼんやりした全体像の写真が見られます。

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2005年02月08日

セイヨウノコギリソウ

セイヨウノコギリソウ Achillea millefolium


セイヨウノコギリソウは、キク科ノコギリソウ属(Achillea)の多年草です。同じ属の植物は北半球の主に温帯地域に100種ほどが知られていて、日本にも、エゾノコギリソウ (Achillea ptarmica var. macrocephala)やノコギリソウ (Achillea alpina)など数種が分布しています。

この仲間の花(頭花)は、茎の先の散房花序にたくさんつきます。1つ1つの花はさらにたくさんの小さな花(小花)が集まってできた集合花です。その小花は縁に1列〜2列に並ぶ舌状花(花びらに見える部分)と中心部の多数の筒状花からできています。縁の舌状花は雌花ですが、筒状花は両性花です。ちなみに「散房花序」というのは、花序の中心となる茎(花軸)のより下につく花の柄が長くなってより上部の花の柄が短くなるため、花がほぼ同じ高さについて平らに見える花序のことです。

セイヨウノコギリソウは花色も豊富で、白、ピンク、赤、黄色など華やかな品種がそろっています。草丈は30cm〜1mほどです。葉は地上付近でロゼット状についているものには柄がありますが、上部の茎につく葉には柄がなくなります。

葉は互生してつき、切れ込んだ部分をぬきに見たときの輪郭は細長い楕円形〜細長い披針形。長さは8cm内外、幅は1cm程度。何といっても、そのクシの歯状の深い切れ込みと切れ込んだ1つ1つの裂片の鋭いギザギザ(鋸歯)が大きな特徴ですね。「ノコギリソウ」という名前は、そんな葉の様子を鋸の歯に見立ててつけられています。クシの歯状の葉は、実際の鋸の形とは違っていますけど、日本の野生種の1つ「エゾノコギリソウ」はクシの歯状にならず、縁に鋸歯があるだけなので、鋸のイメージに近いかもしれませんね。

セイヨウノコギリソウは、花や葉も見所があって観賞用やハーブとしての栽培のほか、法面の緑化としても用いられているそうです。ただ、寒さにも強く種子で増えるほか、茎の根もとの方からは走出枝を出して増えるので、群生していることもあります。現在、日本各地で野生化し道ばたや草地などで見られます。

現在、こちら関東では、地面近くにロゼット状に葉を広げて越冬中です。越冬中の葉は、緑色のものもあれば、写真のように赤く色づいたものも見られます。根生葉の裂片はさらに小さな裂片に分かれていてそれにまた小さな鋸歯がある感じで、何だか海藻を見ているようでした。

【和名】セイヨウノコギリソウ [西洋鋸草]
【別名】アキレア、ヤロー
【学名】Achillea millefolium
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

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2005年02月07日

ナズナ

ナズナ Capsella bursa-pastoris


ナズナは、日本全土に分布し、田畑や道ばたなどで見られる越年草です。草丈は、10cmから大きいものでは40cmくらいにまでなります。春の七草の1つで、「ペンペングサ」という名前でもおなじみです。

花は3月〜6月、白色で直径は3mmぐらい。この小さい花が終わった後には独特の果実ができます。果実は逆さにした三角形の平べったいもので、先はちょっとへこんでいます。長さは6mmぐらい。このように短い果実を「短角果」といいます。これに対して、「アブラナ」などの果実は長くて「長角果」といいます。また、「ペンペングサ」という別名は、この果実の形を三味線のバチに見立てて、その音からきています。

秋に芽生えたものは根生葉をロゼット状に広げて越冬します。この根生葉の形がちょっとつかみどころがないのですけれど、多くの場合、羽状に深く裂けた形になっています。この形は時期や個体によっていろいろと変化するので、なかなか微妙なものです。芽生えて初めのころに出る葉はあまり切れ込んでいない個体でも、徐々に切れ込みのある根生葉を出すものもあれば、比較的最初から切れ込みが深いものもあるようです。また、春が近づいて暖かくなって茎が上に伸び始めるころには、逆に切れ込みが少ない葉が出てきたりします。さらに伸びてきた茎につく葉はほとんど裂けなくなります。

まとめると、「越冬中の根生葉は、放射状に地面にへばりついて羽状に裂けていることが多いが、羽状にならずヘラ状のものもある」という感じでしょうか。

ナズナ Capsella bursa-pastorisナズナ Capsella bursa-pastoris


上の小さい2枚の写真は、一番上の大きい写真を部分的に切り取ったものです。冬に見られる根生葉はこんなふうに羽状に切れ込んだ裂片の1つずつが細長くて、全体として魚の骨のような形に見えるものもよくあります。同じような場所にあって花がよく似ている「タネツケバナ」との違いは、果実がない場合は、この根生葉または茎につく葉でわかることもあると思います。ちなみに一番上の写真で、左隣に写っているのは「キュウリグサ」の根生葉です。

学名は、「Capsella bursa-pastoris (L.) Medik.」です。「Capsella」はナズナ属で、小さな袋という意味です。おそらく果実の形からきているのでしょうね。「bursa-pastoris」は、「bursa」がかくしポケットまたは嚢(のう)、「pastoris」は牧畜に適した、あるいは牧者、牧師という意味です。推測ですが、牧畜に携わる人の何かの入れ物と果実の形が似ているということだと思います。学名の後についている「(L.) Medik.」は、学名を命名したりその後学名を組み替えたりした人の名前が続いています。いずれも外国の人ですが、名前をつけるとき、やはりその果実の形に注目していたようです。

【和名】ナズナ [薺]
【別名】ペンペングサ
【学名】Capsella bursa-pastoris
【科名】アブラナ科 CRUCIFERAE
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

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2005年02月05日

ナガミヒナゲシ

ナガミヒナゲシ Papaver dubium


ナガミヒナゲシは、もともとはヨーロッパ原産の越年草ですが、アメリカやアジアに帰化しいるといいます。日本での最初の発見は1961年のことで、東京で見つかったのだそうです。草丈は20cmから60cmになり、全体に開出した毛におおわれています。ただ、茎の上部の毛は伏せた状態になっていることが多いようですね。茎につく葉は両面ともに毛がたくさん生えていて、羽状に深く裂け(1〜2回羽状深裂して)、柄はなく、互生しています。

「互生」というのは、葉が茎に互い違いについていることで、言いかえると、1つの節に葉が1枚ずつついていることをいいます。これに対して「対生」というのは、茎の1つの節に2枚の葉が向き合ってついていることいいます。

花期は4月〜5月、蕾のついた花茎は初めキューッと折れ曲がって蕾を下に向けた状態で伸びてきます。高さ20cmぐらいに伸び開花が近づくと上を向いて、花は真上を向いて開きます。開く前の蕾は毛がたくさん生えたガクに包まれていますが、開花するとガクは落ちてなくなってしまいます。花の直径は3cm〜6cm。4枚の花弁は微妙なオレンジ色のようなサーモンピンクのような色です。結構華やかな花なので、園芸的に栽培されることもあります。また、かなり小さな個体でも花をつけることができるため、生育環境によって大小さまざまな個体が見られます。なかなか生命力がありそうですね。

花にはたくさんの雄しべがあり、黒っぽい色をしています。花の中央には円筒形の子房が見えていて、子房の上の部分には傘の骨の部分のようなものがあります。それは柱頭で放射状の円盤のようになっています。この特徴は他のケシ属(Papaver)の植物、例えば、「ヒナゲシ (Papaver rhoeas)」や「アイスランドポピー (Papaver nudicaule)」などにも共通です。

果実は2cm〜3cmの楕円形。アイスランドポピーなどの果実はずんぐりした感じですが、それと比べるとナガミヒナゲシの果実は細長い形です。その果実の形から、「ナガミヒナゲシ」という名前がついています。

ナガミヒナゲシ Papaver dubiumナガミヒナゲシ Papaver dubium


果実には小さな種子がたくさんできて、その種子は秋に芽生えます。ロゼット葉で越冬します。都市部の道路脇などをよく見ると小さな葉をロゼット状に広げています。葉の表面には毛が生えているんですが、それがツンツンと立っていておもしろい。葉の切れ込み方もなかなかユニークなものです。ちょっと分厚めの葉で、多肉質っぽい雰囲気もあったりして、葉の縁や柄の部分は赤みを帯びていました。

【和名】ナガミヒナゲシ [長実雛罌粟]
【英名】field poppy
【学名】Papaver dubium
【科名】ケシ科 PAPAVERACEAE
【撮影日】2005/02/05
【撮影地】東京都日野市

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セイヨウジュウニヒトエ

セイヨウジュウニヒトエ Ajuga reptans


セイヨウキランソウは、シソ科キランソウ属(Ajuga)の植物で、一般に「アジュガ」または「ジュウニヒトエ」などといわれています。同じ属の仲間(アジュガの仲間)はヨーロッパからアジアにかけて40種ほどが知られていて、日本にも数種が分布しています。しかも、本州や四国の丘陵地などでは「ジュウニヒトエ (Ajuga nipponensis)」という種が見られます。日本の野生種のジュウニヒトエは、葉の表面の光沢はやや少なく全体が白い毛でおおわれていて、花は薄紫色か白色です。また人家近くでよく見られる「キランソウ (Ajuga decumbens)」は花茎は立ち上がりませんが、濃い紫色で花はアジュガとよく似ています。

花期は4月〜6月、花茎が立ち上がったときの高さは、15cm〜20cmほどです。花の基部は筒状にくっついたシソ科の植物によく見られる唇形花で、2つに裂けた上唇と大きくて3つに裂けた下唇にわかれています。こういうふうに上下に2つに分かれている形を「ニ唇形」といいます。群生したところで、穂状の花序に多数の花が咲いている様子はなかなか壮観です。

花色は青、紫、白、ピンクなどです。花色の違う品種のほかに、斑入りや緑葉、銅葉、紫葉などいろいろと葉色の美しい品種もあります。丈夫な性質で、耐暑性、耐寒性ともにすぐれていることや、日当たりのよい場所でも、日陰でも生育し走出枝(ランナー)を出してグングン増えるので、グランドカバーとしてよく植えられています。ただし、どちらかといえば日陰の方が葉の色がいいし、日当たりだと乾燥しすぎてよくしおれていますよね〜。

セイヨウジュウニヒトエ Ajuga reptans


寒い地域だともう少し地上部は少ないあるいは出ていないのかもしれないですが、こちら関東の雪の少ないいところでは、地面にロゼット状に葉を広げて越冬している姿がよく見られます。園芸的な取り扱いは、常緑宿根草となっていますね。写真のものは濃い紫色の葉で表面はかなり光沢があります。冬なので、葉の色は特に濃いめに出ていると思いますが、それにしても独特の光沢。葉脈や葉の根もとの方は紫紅色。ツルッした葉に見えますが、表面には短毛がたくさん生えていました。

写真は2枚とも立春の日に撮影したものですが、中央付近の新芽はすでに動き出しています。この株のある場所はそれほど日当たりのいい場所でもなく、冬でもポカポカという感じではなかったのですが、それでも、もうすでに春を感じ取っているように見えました。

ちなみに学名の「reptans」は「匍匐性の」という意味です。

【和名】セイヨウジュウニヒトエ [西洋十二単]
【別名】アジュガ、ツルジュウニヒトエ、ヨウシュジュウニヒトエ、
セイヨウキランソウ、ジュウニヒトエ
【学名】Ajuga reptans
【科名】シソ科 LABIATAE (LAMIACEAE)
【撮影日】2005/02/04
【撮影地】東京都日野市

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2005年02月03日

スズメノヤリ

スズメノヤリ Luzula capitata


スズメノヤリは、北海道、本州、四国、九州に分布し、草丈の低い草地にふつうに見られる多年草です。ときどき草が刈り取られる田畑のあぜや芝生に多く見られます。

上に伸びた茎の先に花がつき、花の時期には草丈10cm〜20cmになります。花のつく茎にも葉がつきますが、小さめで数も2〜3枚です。多くの葉が根生葉です。根生葉というのは、「根出葉」または、「ロゼット」ということもありますが、地面近くの根もとのほとんど節間のない茎から出ている葉のことです。ダイコンやタンポポの葉などがそれにあたります。

スズメノヤリの根生葉は、長さ5cm〜15cmほど、幅は数mmで細長い線形です。写真を見てもらうとわかると思いますが、そういう細長い葉の形を「線形」とか「広線形」といいます。スズメノヤリの場合、縁に白くて長い毛が生えているのが特徴です。越冬中の根生葉は色が紫褐色になっていましたが、長い毛は健在でした。このような長い毛は伸びる茎につく葉(茎葉)にも生えます。

葉の基部はさやのようになって、茎を取り囲みます。このさやの部分のことを「葉鞘(ようしょう)」といいますが、葉鞘が完全に筒のようになって茎を取り囲むというのも、スズメノヤリの仲間(Luzula)の特徴です。といっても今回の写真では、そんなことは何にもわかりませんけどね。。。

花は4月〜5月、茎の先にたくさん集まってつきます。これを「頭花」といったりします。頭花の下にはふつう1対の苞葉がぺロッぺロッとついていて、これにも長い毛があります。イグサ科の植物で、いわゆる派手な花びらはありませんが、花びらまたは、ガクや花弁に当たる「花被片(かひへん)」というのがあります。花被片は茶褐色で長さは2mm〜3mmです。雌しべの先にある3個の柱頭や6本ある雄しべの葯(花粉のあるところ)が黄色いので、パッと見たときに花の塊が茶褐色のような黄色っぽいような感じに見えます。

スズメノヤリの花には、雌の時期(雌性期)と雄の時期(雄性期)があります。雌しべの方が先に成熟しますが、受精前はまだ花被片が閉じていて、先端の方からチョロチョロッと柱頭がはみ出しているような状態です。花被片は受精後に開いてきて、今度は雄しべが成熟します。このように時期がずれることで、同じ花同士の受粉が避けられるわけですね。数mmしかないような花なのによくこんな仕組みをもっているものだな〜と改めて思うのでした。

名前は、たくさんの花が集まってできている部分の形を大名行列の毛槍に見立ててつけられています。「スズメ」というのは、小さいという意味で使われています。

【和名】スズメノヤリ [雀の槍]
【別名】スズメノヒエ
【学名】Luzula capitata
【科名】イグサ科 JUNCACEAE
【撮影日】2005/01/27
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月31日

コモチマンネングサ

コモチマンネングサ Sedum bulbiferum


コモチマンネングサは、本州、四国、九州、沖縄に分布し、道ばたや田畑のあぜなどに見られる多年草です。草丈は数cm〜20cmくらいです。同じ属で黄色の5弁花をつけるマンネングサの仲間には「ツルマンネングサ (Sedum sarmentosum)」「マルバマンネングサ (Sedum makinoi)」「メキシコマンネングサ (Sedum mexicanum)」など他にも数種ありますが、花はどれもよく似ています。コモチマンネングサの大きな特徴はなんと言っても葉の脇に珠芽(むかご)をつけることです。それで、名前もコモチマンネングサといいます。珠芽にはだいたい2対〜3対の葉があって、花が終わったころ地に落ちて、夏を越し、さらに冬も越します。種子はできないので、繁殖はもっぱら珠芽による栄養繁殖ということになります。

花は5月〜6月。直径1cm弱ぐらいの黄色い5弁の花で、ガク片は5枚、雄しべは10本です。尖ったような形の雌しべも5本あって根もとの方でくっついています。珠芽が落ちてすぐ増え、暖かくなるとグングン伸びてきてしまうので、畑や庭では嫌がられる存在ですが、星を散りばめたような花はそれなりに見所もあるのではないでしょうか。

コモチマンネングサは、生長した姿なら、それとわかりやすいと思います。上部の葉は互生し茎の上部になるにつれて、葉は小さくなります。上部の葉の形は細長いヘラ状です。

珠芽が少しだけ生長したぐらいの幼植物の段階では、やっかいなことに、葉が丸くて対生しているんです。その状態は「マルバマンネングサ」ととてもよく似ています。冬の時期は小さいロゼット状か、少しだけ茎が伸びたくらいの状態なので、葉の質や生育地などを手がかりにします。コモチマンネングサの方がより葉の質は薄めで、マルバマンネングサの方は葉がより分厚くより丸くより密集した感じに見え、主に山地の岩や石垣の間などに生えます。

迷うようなときはよりたくさんの個体を探すとよいかもしれません。周囲を見ると中には節間が伸び葉の付け根が細くなりつつあるような、これから細長くなりそうな素質を見せている個体が見られることもあって、コモチマンネングサだろうと予測できることもあります。

【和名】コモチマンネングサ [子持ち万年草]
【学名】Sedum bulbiferum
【科名】ベンケイソウ科 CRASSULACEAE
【撮影日】2005/01/12
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月28日

スイセンノウ

スイセンノウ Lychnis coronaria
2005/01/27 冬の芝生の脇

晩秋のころから春の暖かくなるまでの時期、野山で越年草や多年草の小さな芽生えや大きなロゼット葉を見ることができます。でもそれは、野山の草たちに限ったことではありません。園芸植物でも同じことで、地上に芽を出して越冬している多年草もたくさんあります。写真のスイセンノウ(Lychnis coronaria)もその1つで、その姿は、「ハハコグサ」のロゼットをかなり分厚く巨大にしてよりケバケバにしたような感じです。と書いたもののあんまり似ていませんね。。。

スイセンノウは南アフリカ原産で、園芸的な取り扱いは、秋まき一年草(越年草)、または宿根草となっています。耐寒性はあるようですが、数年たった株の場合、寒い地域では冬の間、地上部は出ているのでしょうか。種子は春まきもできますが、開花は翌年になるようです。

花期は5月〜9月、最もふつうなのは赤紫色だと思いますが、他にも白、赤、ピンク色があります。花の直径は2cm〜3cmくらいで、枝の先につきます。花弁は5枚です。特に、赤紫のタイプは、白い葉や茎とのコントラストがとても鮮やかなものです。草丈は50cm〜70cmほど。花が終わり、果実がすっかり熟して茶色になったころ、茎をゆするとカシャカシャと音がします。筒を逆さにして掌の上で軽くたたくようにすると、中から細かい種子がたくさん出てきます。

ナデシコ科センノウ属の植物で、同属の植物は北半球の温帯から寒帯に30種ほどが知られていて、そのうちの数種が日本に自生しています。例えば、「フシグロセンノウ(Lychnis miqueliana)」、「マツモトセンノウ(Lychnis sieboldii)」、「センジュガンピ(Lychnis gracillima)」などです。センノウ属の花は子房がガクや花弁より上につく「子房上位」の花で、ガクはくっついて(合着して)筒状になります。花柱は5つあって果実は5つに分かれます。というように、「5」というのが基本となっていて、図鑑などでは「花は5数性」などと書いてあります。

また、ここでは、「センノウ属 (Lychnis)」としましたが、「シレネ属 (Silene)」に分類され、学名は「Silene coronaria」とされることも。

スイセンノウ Lychnis coronaria
2005/04/30 春の河原

乾燥には強く、意外と都市部の月極駐車場の脇などでもよく咲いています。原産地では岩場などの乾燥気味の場所に多いようです。一度生えると、こぼれダネからふえることも多いです。どちらかといえば、手をかけすぎて水のやりすぎで根ぐされして枯れることがあります。

全体が白い毛で覆われていてビロードのような感触があることから、フランネルという布のようだということで、「フランネルソウ」とも呼ばれます。子ども時代を過ごした家の裏庭には一時期、スイセンノウがありました。特に関連はないのだと思いますが、この花が咲くころ、近くを「アカビロードコガネ」がよく飛んでいました。小さいけど触るとキシキシいって、オレンジ色の独特の光沢のあるコガネムシ。まだ幼なかったわたしは、大人たちがビロードといっているのが、虫のことなんだか花のことなんだか、その後何年もの間ゴチャゴチャになっていましたけど、名前としては虫の方でしたね。

【和名】スイセンノウ [酔仙翁]
【別名】フランネルソウ、リクニス
【英名】Mullein pink
【学名】Lychnis coronaria (Silene coronaria)
【科名】ナデシコ科 CARYOPHYLLACEAE
【撮影日】2005/01/27、2005/04/30
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月21日

ハルザキヤマガラシ

ハルザキヤマガラシ Barbarea vulgaris


ハルザキヤマガラシは、ヨーロッパ原産の多年草で、日本へは明治の終わりごろ渡来したといわれています。そのほか、現在は北アフリカや北アメリカなどの温帯を中心に広く分布しているそうです。種子と地下茎によって繁殖し、しばしば河川や用水路の脇、道ばたなどで大群落となることがあります。夏から秋にかけて芽を出し、根生葉を地面に広げて越冬します。

根生葉は羽状複葉で、柄があります。葉の一番先端の頂小葉は丸く大きくなります。葉の表面は濃い緑色で光沢があり、分厚い感じがします。茎葉は互生し羽状に裂けていますが、柄がなく基部は耳のような形(耳状)になって茎を抱いています。根もとで分枝して株になり、高さは30cm〜60cmほど。

花は5月ごろです。茎先に鮮やかな黄色の花を多数つけます。アブラナ科らしく十字形で直径は7mm程度、果実は線形で2cm〜5cmほどです。いわゆるアブラナ類(Brassica)に似ていますが、草丈が低めで下部からの分枝が多いので、全体的に丈が詰まったような印象です。ハルザキヤマガラシはヤマガラシ属(Barbarea)に分類されています。

ハルザキヤマガラシがふつうよく見られる場所は、造成工事などでできた裸地で、そこにいち早く侵入し一時期群落となった後は、他の植物の侵入によってほとんどの場合数が減少します。しかし、ある程度管理され土壌の安定した場所では、多年草として生活し安定した群落となります。また、土壌が耕される畑地などでは、毎年種子から発芽し越年草としての生活を送ることで、異なる環境に適応しさらに定着しているようです。

【和名】ハルザキヤマガラシ [春咲き山芥子]
【別名】フユガラシ、セイヨウヤマガラシ [西洋山芥子]
【英名】yellow rocket
【学名】Barbarea vulgaris
【科名】アブラナ科 CRUCIFERAE
【撮影日】2005/01/12
【撮影地】東京都日野市

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ギシギシ

ギシギシ Rumex japonicus


ギシギシは、日本全土に分布し、道ばたの草地や田畑のあぜなどに生える多年草です。草丈は50cm〜1mほどになります。葉は長さ10cm〜25cmほどの長楕円形で、つけ根の部分はやや丸みがあって心形か円形になります。厚みのある葉は縁が波打っています。写真は根生葉ですが、長さは20cm、幅は8cmほどです。スイバとは葉だけの時期でも見分けることができると思いますが、ギシギシ類はよく似ているので、ちょっと難しい場合もあります。今回は根生葉の全体的な形や基部の形や大きさ、葉脈の色、葉柄の長さなどから、「ギシギシ」としていますが、しっかりと種類を同定するにはやはり花時期や果実期に行った方が確実です。

ギシギシ Rumex japonicus


地上に広げた越冬中の根生葉は、全体的に勢いがなくシワシワで、赤茶色に変色しています。新年になってすぐのころはまだ、赤くなっているぐらいで、質も分厚い感じの根生葉をよく見ましたが、こちら関東では現在、写真のような状態です。

花は5月〜8月に茎の上部で分かれた枝の節々に輪生してついています。パッと見た姿がボテッとした感じなので、なかなか花の細部を見ることがないかもしれませんが、ガク(花皮片)が6枚あって、そのうちの3枚が果実期になると大きく翼のようになって果実を包みます。この翼の形、縁の突起の状態、中央のこぶなどがギシギシ類の見分け方のポイントとなっています。

【和名】ギシギシ [羊蹄]
【学名】Rumex japonicus
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2005/01/20
【撮影地】東京都日野市

■よく似た種類の簡単な区別点

ギシギシエゾノギシギシアレチギシギシ
根生葉長楕円形
基部は心形か円形
縁は大きく波打つ
卵形〜長楕円形
基部は心形
縁は細かく波打つ
葉脈が赤くなる
長楕円形〜披針形
基部は円形か浅い心形
縁は細かく波打つ
葉脈が赤くなる
内花皮片の翼翼は広い卵形
縁に細かい鋸歯
中央はこぶ状
翼は卵形
縁に針状の突起
中央のこぶが目立つ
翼は長い卵形
縁に鋸歯はない
中央のこぶが目立つ

*ギシギシノ仲間は葉の基部が心形か円形で、スイバは矢じり形になります。

■当ブログ内関連記事→スイバ

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2005年01月15日

スイバ

スイバ Rumex acetosa


スイバは、国内では北海道、本州、四国、九州に分布し、世界的に見ても北半球の温帯に広く分布している多年草です。田のあぜや人里近くの草地でふつうに見られ、特に草刈が行き届いた草地では群生しています。スイバという名前は、茎葉にシュウ酸を含んでいてすっぱいことからきていて、特に若い芽は甘酸っぱく「スカンポ」とも呼ばれます。

草丈は30cm〜1m近くまでなります。花は5月〜8月ごろまで見られますが、4月〜5月ごろはまだそれほど草丈の高い野草はないので目立ちます。遠くから眺めていると茎の先の花序が緑っぽい株と赤っぽい株があるのがわかります。これは雌雄異株で雄花と雌花の赤くなる度合いの違いによっています。

雌花はふさのようになった柱頭や3枚ある子房をつつむもの(内花被片)が赤く、さらに果実ができてくると翼状に大きくなって赤みを帯びているのでよく目立ちます。雄花には花被片6枚と雄しべ6個がありますが、赤みが少なくほとんど黄緑色で地味です。

同じ属の植物に「ギシギシ (Rumex japonicus)」がありますが、スイバとギシギシの違いはすぐわかると思います。ただ、ギシギシの方には「エゾノギシギシ (Rumex obtusifolius)」、「アレチギシギシ (Rumex conglomeratus)」などもありますので、まず、ギシギシ類とスイバが見分けられるようになってから、ギシギシ類を細かく覚えていくとよいと思います。

花のある時期だとまず姿を見ますが、スイバはスーッと立っていて、ギシギシの方は背丈も高く太くて大柄でボッテリしています。花はどちらも花序に輪生してつきますが、ギシギシの方がぎっしりと密につく感じです。また、ギシギシの内花被片の縁にはギザギザがあるので、これもチェックポイントとして重要です。アレチギシギシの場合は花序が細いですが花序の出る角度や花の大きさもまったく違いますので、スイバと間違えることはないでしょう。

もう1つわかりやすいポイントは葉です。ギシギシ類の葉は分厚く縁が波打つ傾向が強くて、色が濃く表面には光沢があります。スイバは質が薄く上部の葉は小さくあまり光沢はありません。秋から冬の時期、積雪がなければスイバの根生葉が観察できます。

スイバ Rumex acetosa


スイバは、おもに種子は秋に発芽し、すでにある個体は地下茎から根生葉を出して越冬します。根生葉は長楕円形で、基部は矢じり形になっています。越冬中の根生葉は真っ赤に染まっていることが多いですね。写真は2004年12月半ばですので、赤くなりつつもまだしゃんとしていましたが、現在は真っ赤になってちょっとしおれ気味です。

【和名】スイバ [酸い葉]
【別名】スカンポ
【学名】Rumex acetosa
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2004/12/16
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月12日

キランソウ

キランソウ Ajuga decumbens


キランソウは、本州、四国、九州に分布し山野や人家近くの道ばたなどにふつうに生える多年草です。変わった名前ですが、「キ」は紫の古語、「ラン」は藍色という意味で、花の色からキランソウという名前になったのだといいますが、名前の由来や漢字の表記には諸説あるようで、漢字では「金瘡小草」、「金襴草」などとされています。また、放射状に地面にへばりつくよう広がるので「ジゴクノカマノフタ」というこれまたすごい別名まであります。種子でも増えますが、走出枝を伸ばしてすぐ隣に新たな株がどんどんできていくので、そのあたり一帯に群生していることもしばしばです。

花の咲く時期でも、上方にどんどん伸びるわけではなく地面にはりついていますが、冬の間もロゼット葉を出して過ごしています。暖かい時期に比べると勢いはなく葉も紫褐色で地面や落ち葉と同化しています。より地面に近いところにある越冬中のロゼット葉は、花が咲くころに出てくる上部の茎葉より大きめです。

葉の先端や縁の鋸歯(ギザギザ)はとがらず、うねうねとした葉はとらえどころのないような形をしていますが、全体に縮れた毛がたくさん生え表面はでこぼこしていて、意外と特徴的な葉ともいえます。それで花がなくてもだいたいそれだとわかりやすいです。越冬中は全体的に紫褐色になっていますが、暖かい時期の葉は濃い緑色で、縁や主脈がおもに紫色に染まっています。

花期は3月〜5月。葉の脇(葉腋)に濃い紫色の唇形花をつけます。唇形花はシソ科の植物などに見られる基本的な花の形ですが、キランソウ属の植物の場合、上唇は目立たず、下唇(舌のように見える方)が大きくなる特徴があります。

【和名】キランソウ [金瘡小草]
【別名】ジゴクノカマノフタ [地獄の釜の蓋]
【学名】Ajuga decumbens
【科名】シソ科 LABIATAE
【撮影日】2005/01/12
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月05日

ミチタネツケバナ

ミチタネツケバナ Cardamine hirsuta


ミチタネツケバナは、ヨーロッパからアジアに分布する越年草です。本種の日本での帰化が報告されたのは1992年のことで、当時は東北周辺や日本海側の地域で確認されていたそうですが、その後、関東などの太平洋側でも確認され、今ではもうどこでもふつうになったといいます。

しかし、「ミチタネツケバナ」…この植物の名前をはじめて聞いたときのことは忘れられません。それまでは、そこらにある「タネツケバナ」はふつうの「タネツケバナ (Cardamine flexuosa)」だと思っていましたから、特に気にもとめていませんでした。そのころ新帰化植物ということで、何やら特別なもののような気がしてぞくぞくしたのを覚えています。文献を見て本物は一体どんなものなんだろうとずっと想像していました。漢字の表記は「道」や「路」となっていますが、そのときの衝撃からすると「未知」というイメージでした。今では雑草の定番みたいになっていますけどね。

まあ、一度それとわかると結構違いが見えてくるもので、タネツケバナとミチタネツケバナの形態や花時期、生育環境はかなり異なっています。まず大きさですが、おおざっぱに言うとタネツケバナは草丈が15cm〜30cmぐらいと大きく、ミチタネツケバナは5cm〜15cmと小さいです。花はミチタネツケバナの方が早く咲き始め、春まだ寒いうちから6月ごろまでは花が見られます。タネツケバナの方は4月ごろ暖かくなってから咲き始めます。関東の人家の周辺でも、ミチタネツケバナは早春にいち早く咲き始め、春先のものは特に背丈も葉もしまっていて、草丈は5cmあるかないかぐらいのものをよく見ます。咲き始めは茎がごく短く咲き進むにつれて伸びてきます。茎葉はあることはありますが小さくまばらです。

ミチタネツケバナのロゼット葉は羽状複葉できれいに丸く地面に広がって、これが花の咲く時期にもしっかり見られます。これに対して、タネツケバナの方は花時期になるとロゼット葉が少なくなり果実ができるころにはほとんど残っていません。さらに羽状複葉のてっぺんの葉(頂小葉)やほかの小葉の形も異なっています。ミチタネツケバナの小葉は幅の広い楕円形〜広卵形で丸っこい感じですが、タネツケバナの方は細長い楕円形です。

ミチタネツケバナは乾燥気味の道路脇や芝生の中、ブロック塀の隙間などに多く見られますが、タネツケバナはやや湿り気のある田のあぜや水辺に生えます。このように両者の主な生育環境には違いがありますが、ただ非常に接近して生育していることもあり油断はできないですね。

果実はアブラナ科らしい形をしていて、長さ2cm程度の細長い円柱形で棒のようなものが上向きにつきます。そのまま立ち枯れていき、これがなかなかの草姿なんですよね。

【和名】ミチタネツケバナ [路種漬花、道種漬花]
【学名】Cardamine hirsuta
【科名】アブラナ科 CRUCIFERAE
【撮影日】2004/12/08
【撮影地】東京都日野市

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2005年01月03日

ウラジロチチコグサ

ウラジロチチコグサ Gnaphalium spicatum


ウラジロチチコグサは、南アメリカ原産の多年草です。北アメリカ、オーストラリア、ユーラシア、アフリカなど世界中に広く帰化しているといい、日本への帰化が知られるようになったは1970年代ごろのことだそうです。

「チチコグサ (Gnaphalium japunicum)」に比べると全体にかなり大きくギトギトした印象です。花序の部分も長く花数も多い。ロゼット葉は長楕円形で茎につく部分も柄のように細くはならず幅が広く、地面にべったりくっついているようです。茎は直立することも多いですが、特に春先に伸び始める茎は地面をはうようにして伸びることが多いようです。さらに短い走出枝(ランナーまたはストロンともいいます)を伸ばして新しい株ができるので、近い位置に何株も群がって生えていることがよくあります。

草丈は30cmぐらいのものをよく見ますが、大きいものでは70cmぐらいまでなります。花期は5月〜9月、頭花は茎の上部に集まってつきます。頭花のまわりの総苞片の部分は、黄緑色でやや光沢があって、先端からでる小花は褐色や紫色を帯びています。

葉の表面は鮮やかな緑色で光沢があり、あまり毛はありませんが、裏面は綿毛に覆われていて真っ白です。伸びてきた茎につく茎葉の縁はビロビロと波打つ感じになり、茎にも綿毛が密生しています。都市部の道路脇などに生えている姿はいかにも帰化植物。葉も花もある状態でふつうの「チチコグサ」と間違える心配はないなさそうです。

【和名】ウラジロチチコグサ [裏白父子草]
【学名】Gnaphalium spicatum
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2004/12/30
【撮影地】東京都日野市

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2004年12月31日

チチコグサ

チチコグサ Gnaphalium japonicum


チチコグサは、日本全土に分布し山野の道ばた、公園や人家周辺の芝生の中などにふつうに見られますが、特に都市部では「ウラジロチチコグサ (Gnaphalium spicatum)」や「チチコグサモドキ (Gnaphalium pensylvanicum)」などチチコグサと同属で大きめの帰化植物の方が目立ちます。名前は「ハハコグサ (母子草 Gnaphalium affine)」に対してつけられたものです。黄色い花をつけるハハコグサよりも地味な花で全体的に小さく華奢な感じもありますが、ハハコグサがボワボワして柔らかそうに見えるのに対して、葉などは細長くて硬くしまっているように見えます。

茎は15cm〜25cm程度で細長く、地際ではやや地面をはう感じになります。長く伸びる茎にも少し葉がありますが、ロゼット葉より小さく線形です。全体に綿毛がたくさん生えていて白っぽく見え、特に茎や葉の裏面には密生しています。

多年草で冬は写真のようなロゼット葉で過ごします。花期は5月〜10月と長めですが、一番目につくのはやはり春から初夏のころでしょうね。ロゼット葉は花時期にも見られ、脇から数本の茎を伸ばしてそのてっぺんに花(頭花)をつけます。頭花はたくさんの総苞が集まってできていますが、長さ5mm程度の総苞はさらにたくさんの小花からできています。小花や総苞のまわりの鱗片状のもの(総苞片)が茶褐色なのでとても地味な印象となります。

チチコグサの仲間全般にいえるのですが、花が終わって種子ができてちょっと茶色がかった冠毛(綿毛)がモワモワ出てくるとちょっと汚れた感じになり、あまりきれいな状態とはいえません。チチコグサの場合、頭花の下には細長くて綿毛が密生した苞葉が放射状につくので、花が瑞々しくまだ冠毛が見えない時期に想像力をふくらませると、ウスユキソウの仲間にも似ているところがあります。あっ、いえ、まあちょっとほめすぎましたかね。

【和名】チチコグサ [父子草]
【学名】Gnaphalium japonicum
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2004/12/30
【撮影地】東京都日野市

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ハハコグサ
チチコグサモドキ

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2004年12月25日

オニタビラコ

オニタビラコ Youngia japonica


オニタビラコは、日本全土に分布し、道ばたや荒れ地などにふつうに見られる一年草、または越年草です。標準的な花期は5月〜10月。暖かい地方では年中開花しているようですが、真夏の暑い時期には少し開花を休むらしく、秋になって再び勢いを取り戻してたくさん開花していることもあります。写真は12月の関東で写したものですが、写っている個体のすぐ近くでは、花を咲かせ種子を飛ばしている株もありました。生育環境にもよると思いますが、春に出る花茎が太めなのに対して、秋の花茎はやや細めでヒョロリと長い感じですね。

根生葉はやや葉の先が丸くなることが多く、春に茎が生長してやや上部につく葉の先はとがる傾向があります。春の葉も紫褐色がかることがよくありますが、それにも増して冬の根生葉は写真のように全体が紫褐色を帯びていることが多いようです。毛は葉全体に多いのですが、特にロゼットの中央あたりでは白くて細かい毛が目立っています。軟らかそうで、一見弱そうな印象もありますが、都市部の人工的な塀や石垣の隙間などでもよく生育するたくましさがあります。隙間に生える植物の定番です。

花の色は黄色で、1つの花(頭花:とうか)は直径8mm程度の小さいものですが、20cm〜1m近くまで伸びる花茎の先にたくさんつけるので、最盛期にはそれなりに目につくと思います。

【和名】オニタビラコ [鬼田平子]
【学名】Youngia japonica
【科名】キク科 COMPOSITAE
【撮影日】2004/12/24
【撮影地】東京都日野市

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2004年12月21日

メマツヨイグサ

メマツヨイグサ Oenothera biennis


メマツヨイグサは、北アメリカ原産の帰化植物で、日本には明治の終わりごろ渡来したといわれています。現在は、日本各地の道ばたや荒れ地に見られるほか、世界的に見てもヨーロッパ、アジア、オーストラリアなど広く帰化しているそうです。図鑑などでは二年草あるいは越年草となっていることがほとんどです。

メマツヨイグサの生活史についてはよくわからないのですが、同じ仲間のオオマツヨイグサ(Oenothera erythrosepala)の場合、栄養分の豊かな土地ならロゼット葉で冬を越し翌年の秋に開花結実して枯れ、栄養分の少ないやせた土地では開花結実するまで数年かかるのだそうです。

マツヨイグサの仲間は他にも数種が日本に帰化していて、最初のころに入ってきたのは、「マツヨイグサ(Oenothera stricta)」と「オオマツヨイグサ」だといいます。これらが、河川周辺で群落を作っていたところに、後から「メマツヨイグサ」が入ってきて勢力を拡大していったといいます。帰化植物同士でも勢力争いがあるものなのですね。このことから、勝手に想像すると、メマツヨイグサはやせた土地でもどんどん生育し開花結実までスピーディーにこなして、あっという間に子孫を増やして分布を広げていったのではないかという気がします。

写真は、メマツヨイグサの根生葉です。とてもきれいに葉っぱが並んでいます。マツヨイグサの仲間でメマツヨイグサと根生葉が似ているのは、オオマツヨイグサですが、オオマツヨイグサの場合は葉の先が丸くなる感じで、メマツヨイグサの方はスッーととんがる感じになります。

[注]花弁の間に隙間があるタイプを「アレチマツヨイグサ(Oenothera parviflora)」として区別する場合がありますが、ここでは区別していません。

【和名】メマツヨイグサ [雌待宵草]
【学名】Oenothera biennis
【科名】アカバナ科 ONAGRACEAE
【撮影日】2004/12/08
【撮影地】東京都日野市

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ユウゲショウ

posted by hanaboro at 18:48| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ロゼット図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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