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ウィオラ・ソロリアは、北アメリカ原産東部原産の多年草です。日本の風土にはよく合っているようで、丈夫で花つきも良好。根茎はショウガのように太くなる性質があるので、十分な土壌が必要かと思ったりしますが、コンクリートとアスファルトのわずかな隙間にも、どっこい息づいていました。
葉も花も全体に大きく、見栄えのするスミレなので、庭で見るのはよいのですが、人家近くの雑木林の縁なんかで野生化したものを見ると、違和感を感じてしまうのは、それが外来種だという先入観があるからでしょうか。本当、勝手なものですね。
タチツボスミレなどに比べると、葉は花時期からやや大きめの円心形、先はとがって、基部の方は丸く巻き込む状態です。表面には光沢があって、葉脈もよく目立ちます。地上茎はのばさず、花茎は根もとから出すようで、葉の間から花をのぞかせるような咲き方です。つまり、花茎と葉柄を含めた葉の高さがあまりかわらないということでしょう。
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よく野生化している「ウィオラ・ソロリア」には、主に花色が濃い紫色のタイプと、白色で中心付近が紫色を帯びるタイプがありますが、前者は「Viola papilionacea」、後者を「Viola priceana」とされていたそうですが、現在では両者とも「Viola sororia」とされているようです。白色で中央が紫のタイプの学名は、「Viola sororia 'Priceana'」となっていることからすると、こちらは別種ではなく、ソロリアの園芸品種の1つだったということなのでしょう。プリケアナの花はちょっと「シロコスミレ」に似ているところもあるかな。さらに、ソロリアの園芸品種には、白色('Snow Princess')、しぼり、そばかす模様('Freckles')など、いろいろあります。
花期は3月〜5月。花の基本的なつくりは、日本のスミレと同じです。上の2枚の花弁は「上弁」、下の2枚は「側弁」、一番下にあるのが「唇弁」です。上弁や側弁が大きく丸く張出すような状態で、唇弁はやや小さめのことが多いのではないでしょうか。花の中心付近を見ると、側弁の基部には白い毛がたくさん生えていて、よく目立ちます。後に突き出す「距」は太くて短いものです。
7月半ばを過ぎ、もう梅雨も明けようとしている関東。開放花はもう見られませんが、花を開かずに果実ができる「閉鎖花」はさかんにつけているようです。丸くふくらんだ果実もときどき見られます。
【一般名】ウィオラ・ソロリア (ビオラ・ソロリア)
【和名】アメリカスミレサイシン
【英名】Common Blue Violet
【学名】Viola sororia
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/07/16、2004/04/16
【撮影地】東京都日野市、八王子市
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「Botanic Journal − 植 物 誌 −」さんの記事「春の苔玉」
自然に生えた草たちの苔玉がいい感じ。ビオラ・ソロリアの苔玉、アメリカフウロが飛び込んできた苔盆栽などなど。
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