2005年07月17日

ウィオラ・ソロリア

ウィオラ・ソロリア Viola sororia


ウィオラ・ソロリアは、北アメリカ原産東部原産の多年草です。日本の風土にはよく合っているようで、丈夫で花つきも良好。根茎はショウガのように太くなる性質があるので、十分な土壌が必要かと思ったりしますが、コンクリートとアスファルトのわずかな隙間にも、どっこい息づいていました。

葉も花も全体に大きく、見栄えのするスミレなので、庭で見るのはよいのですが、人家近くの雑木林の縁なんかで野生化したものを見ると、違和感を感じてしまうのは、それが外来種だという先入観があるからでしょうか。本当、勝手なものですね。

タチツボスミレなどに比べると、葉は花時期からやや大きめの円心形、先はとがって、基部の方は丸く巻き込む状態です。表面には光沢があって、葉脈もよく目立ちます。地上茎はのばさず、花茎は根もとから出すようで、葉の間から花をのぞかせるような咲き方です。つまり、花茎と葉柄を含めた葉の高さがあまりかわらないということでしょう。

ウィオラ・ソロリア Viola sororiaウィオラ・ソロリア Viola sororia


よく野生化している「ウィオラ・ソロリア」には、主に花色が濃い紫色のタイプと、白色で中心付近が紫色を帯びるタイプがありますが、前者は「Viola papilionacea」、後者を「Viola priceana」とされていたそうですが、現在では両者とも「Viola sororia」とされているようです。白色で中央が紫のタイプの学名は、「Viola sororia 'Priceana'」となっていることからすると、こちらは別種ではなく、ソロリアの園芸品種の1つだったということなのでしょう。プリケアナの花はちょっと「シロコスミレ」に似ているところもあるかな。さらに、ソロリアの園芸品種には、白色('Snow Princess')、しぼり、そばかす模様('Freckles')など、いろいろあります。

花期は3月〜5月。花の基本的なつくりは、日本のスミレと同じです。上の2枚の花弁は「上弁」、下の2枚は「側弁」、一番下にあるのが「唇弁」です。上弁や側弁が大きく丸く張出すような状態で、唇弁はやや小さめのことが多いのではないでしょうか。花の中心付近を見ると、側弁の基部には白い毛がたくさん生えていて、よく目立ちます。後に突き出す「距」は太くて短いものです。

7月半ばを過ぎ、もう梅雨も明けようとしている関東。開放花はもう見られませんが、花を開かずに果実ができる「閉鎖花」はさかんにつけているようです。丸くふくらんだ果実もときどき見られます。

【一般名】ウィオラ・ソロリア (ビオラ・ソロリア)
【和名】アメリカスミレサイシン
【英名】Common Blue Violet
【学名】Viola sororia
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/07/16、2004/04/16
【撮影地】東京都日野市、八王子市

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Botanic Journal − 植 物 誌 −」さんの記事「春の苔玉
自然に生えた草たちの苔玉がいい感じ。ビオラ・ソロリアの苔玉、アメリカフウロが飛び込んできた苔盆栽などなど。

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2005年05月31日

ヒナスミレ

ヒナスミレ Viola takedana


ヒナスミレは、北海道、本州、四国、九州に分布し、主に太平洋側の山地の林内に生える多年草です。日当たりのあまりよくないようなところでよく見かけます。といっても株はよく見るのですが、花はやや早めなこともあって、なかなか開花中の個体に出会えなかったりもします。

ヒナスミレ Viola takedanaヒナスミレ Viola takedana


草丈は開花中でも10cmに満たないくらいで、葉は地面に平たく横に広がります。葉の長さは5cmくらいで、葉柄があります。葉の形は先の細いハート型で、基部は深く湾入する心形。縁のギザギザ(鋸歯)は、比較的しっかり鋭く入ります。両面ともに毛がたくさん生えています。裏面は紫色を帯びることが多いです。

花期は4月〜5月。直径1.5cm〜2cm。淡い紅紫色。花柄は短めなので、よく地面近くで開花しています。下の1対の花弁は「側弁」といいますが、側弁の内側の基部、つまり花の中心付近は無毛かまたはまばらに毛が生えています。

葉の表面に白い斑が入るタイプを「フイリヒナスミレ (Viola tokubuchiana var. takedana f. variegata)」といいます。

【和名】ヒナスミレ [雛菫]
【学名】Viola tokubuchiana var. takedana
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/05/29、2004/04/21
【撮影地】神奈川県藤野町、東京都八王子市

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2005年05月22日

ニョイスミレ

ニョイスミレ Viola verecunda


ニョイスミレは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の草地や林内、田のあぜなど少し湿り気のあるところにふつうに生える多年草です。国内でも分布域も広いですが、日本以外にも東アジアに広く分布しています。茎は斜めに伸び、草丈は5cm〜20cmくらい。

葉は先のとがった心形〜腎形。長さや幅は2cmほど。はじめは葉の基部はクルリと巻いたような状態になっていますが、しだいに展開してきます。その基部は深く湾入した形、つまり心形になっています。その心形になった部分の幅がより広く開いて、葉の幅が狭く口のとがったパックマンのようになったタイプを「アギスミレ (Viola verecunda var. semilunaris)」といいます。アギスミレは主に東日本の湿地などに見られるものですが、ニョイスミレと明らかに区別できないようなこともあります。

また、本州中部以北の高山帯には、「ミヤマツボスミレ (Viola verecunda nar. fibrillosa)」というニョイスミレの高山型が見られます。このタイプは葉が円形で先がとがらず、茎が地表をはいます。

ニョイスミレ Viola verecundaニョイスミレ Viola verecunda


花期は4月〜6月。低地のスミレの中では遅い方。花柄は立ち上がった茎の途中から出ます。花は白色。直径1cmくらいで、国内のスミレではかなり小さめ。上の1対の花弁(上弁)は2枚の間が開き気味で、後ろによく反り返ります。一番下の花弁(唇弁)には、紫色の筋模様がしっかり入り、下の1対の花弁(側弁)にも少し紫の筋があります。また、側弁の内側の花の中心付近には、短い毛がたくさん生えています。

唇弁から後ろに突き出た「距」は、白色か少し緑色がかった白色です。ニョイスミレの距は、短く2mm〜3mmくらいです。花の中央から伸びている雌しべの花柱は、先が横に張り出してカマキリの頭のような形になっています。

ニョイスミレという名前は、葉の形を僧侶の持つ仏具の如意に見立てたものだそうです。

【和名】ニョイスミレ [如意菫]
【別名】ツボスミレ[坪菫]
【学名】Viola verecunda
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/05/04
【撮影地】東京都八王子市

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2005年05月13日

スミレ

スミレ Viola mandshurica
2005/04/26

スミレは、まさに「スミレ」という名前のスミレです。北海道、本州、四国、九州に分布し、都市部の道路脇や田畑の周辺、海岸付近〜高原まで、日当たりのよいところに多く見られる多年草です。アスファルト脇で見られる植物の定番でもあります。とても身近なスミレですが、日本の固有種ではなく、日本以外にも中国や朝鮮半島、ウスリーなどに分布しています。

草丈は7cm〜15cm。葉はヘラ形で斜め上向きに開くので、「ヒメスミレ」よりは葉が立ち上がります。葉の葉柄をのぞいた「葉身」の部分の長さは、5cmちょっとくらいです。葉柄の部分にははっきりとした翼があるのが重要ポイント。その翼でヒメスミレとは見分けられます。葉の毛はあったりなかったりです。

表面は濃い目の緑色。裏面は多くの場合、白っぽく薄い緑色。縁のギザギザ(鋸歯)はありますが、やや不明瞭な感じ。ところどころ少しポコポコとへこんでいるくらいです。花が終わるころにはかなり大きな青々とした葉になります。葉柄も長さ10cmをこえることもあります。

スミレ Viola mandshurica
2005/04/26

花期は3月〜5月。花は濃い紫色。直径2cmくらい。非常に花付きは良好で、花時期になると市街地の道路脇なんかで、群生して路肩に紫色のラインができます。つい車道側から撮影したくなる季節。とっても危険です。

濃い紫の花の中央部に注目すると、白い毛がモシャモシャと生えているのがわかります。それは、5枚ある花弁のうちの下2枚の花弁、つまり、「側弁」の内側のつけ根にあるものです。洗車機のモップのように両側から生えています。一番下にある「唇弁」の後ろには「距」というシッポのようなものが突き出しています。スミレの距は濃い紫色のことが多いです。

花を横から見ると黄緑色のガク片が目立ちます。そのガク片の付け根の方、より花柄に近い部分が少し盛り上がったような形状になっています。これは「ガクの付属体」といわれる部分で、しばしばスミレ属の種を見分けるポイントになります。スミレの場合は、付属体にはほとんど切れ込みがなくツルッとしています。

スミレ Viola mandshuricaスミレ Viola mandshurica
2005/04/26

ガク片は5枚、雄しべは5本、雌しべは1本です。側弁の毛の多少、花弁の形、花弁や距の色の濃淡など変異がいろいろと見られます。広く分布して個体の数も多い種類にはよくあることですね。

スミレ Viola mandshurica
2005/05/12

5月も半ばになれば、こちら関東の丘陵地では、ひとしきり咲ききって青々とした葉に混じって、開放花によってできたと思われる果実が見られます。熟した果実は3つに裂けて中の茶色っぽい種子が見えます。種子にはアリが好む「エライオソーム」があるので、アリによって運ばれます。このころには、花を開かずに結実する「閉鎖花」もつけているはずです。

【和名】スミレ [菫]
【学名】Viola mandshurica
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/04/26、2005/05/12
【撮影地】東京都日野市

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2005年05月11日

エイザンスミレ

エイザンスミレ Viola eizanensis


エイザンスミレは、本州、四国、九州に分布し、主に太平洋側の山地の林内に見られる多年草です。多くのスミレがハート形やほこ形をしている中で、深く裂けた葉は特異な存在に見えます。日本に見られる切れ込みのある葉をもつものは、エイザンスミレのほかに、「ヒゴスミレ (Viola chaerophylloides f. sieboldiana)」、「ナンザンスミレ (Viola chaerophylloides)」などです。

草丈は5cm〜15cm。スミレの中では大型。やや暗めの林内から、林道脇の崩れた斜面など他の背の高い植物がないようなところなら、比較的幅広く環境に生育しているようにみえます。名前は、比叡山に多いということからきているそうですが、ふつうに見られるのは、関東周辺です。また、葉がほとんど切れ込まず単葉になったものやそれに近いような状態になった「ヒトツバエゾスミレ (Viola eizanensis var. simplicifolia)」と呼ばれるタイプもあります。

エイザンスミレ Viola eizanensis


葉は深く3つに裂けるのが基本です。裂片がさらに切れ込んで、ヒゴスミレのように見えるときもありますが、付け根のあたりをよく見ると3つに裂けているので、5つに裂けるヒゴスミレと見分けられます。花後の葉はさらに大きくなって、長さ15cmくらいにはなります。柄も長くなって、その姿は、ふつうにイメージするスミレとはかけ離れています。

花期は4月〜5月。直径2cm〜2.5cmほど、色は淡い紅紫色〜ほぼ白色。花弁はやや細く縁が波打った状態になることが多いです。一番上の写真のものも花弁がシャッキリしてませんでした。スギの落ち葉の間から出てきたような状態だったので、なおさらです。かなりたくさん開花しているようなのですが、花柄もグニョグニョに曲がって、何だかよくわからなくなっていました。こんなのでは説得力がないですが、一応、下2枚の花弁(側弁)の内側は有毛です。

エイザンスミレ Viola eizanensis


スミレ属の植物を庭に植えていると、「ツマグロヒョウモン」という蝶がやってくる。幼虫はだいたいどんなスミレ属でも食べてしまう。しかし、いろんなスミレの中でもそれなりによく食べるものとあまり食べないものがあるようだ。エイザンスミレもムシャムシャと食べられてしまうのだが、ヒゴスミレはあまり食べられなかった。ツマグロヒョウモンの幼虫は葉の縁につかまって、ガッガッガッと食べていく。ヒゴスミレは葉の切れ込みが細かく深くて、食べにくいのでしょうね。成分や毛の量なんかが違ったりするのかもしれませんが。ツマグロヒョウモンにどれほどの選好性があるものやら。植食性昆虫の世界も奥深そう。

【和名】エイザンスミレ [叡山菫]
【別名】エゾスミレ
【学名】Viola eizanensis
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/05/04
【撮影地】東京都八王子市

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2005年05月06日

マルバスミレ

マルバスミレ Viola keiskei


マルバスミレは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野のに当たりのよい草地や林縁などに生える多年草です。

「マルバスミレ」という名前は、もともとは、「ケマルバスミレ」の変種扱いで、茎や葉に毛のないタイプに対してつけられた名前だったそうですが、毛のないタイプは非常に少ないことから、茎や葉の毛の有無には関係なく「マルバスミレ」と呼ばれるようになっているようです。ちょっと古めの図鑑だと「ケマルバスミレ」も載っていて、筆者は毛のあるものは「ケマルバ」と覚えたものだから、今でも見かけると「ケマルバスミレ」といってしまいます。

葉は地面近くで展開しますが、花が咲くころは花茎が伸びるので、草丈は5cm〜10cmくらいです。葉は長さ2cm〜4cmの丸みのあるハート形。縁のギザギザ(鋸歯)にも丸みがあります。茎や葉には粗い毛がたくさん生えています。花後には葉の大きさや草丈もかなり大きくなって、他のスミレ同様、ビックリさせられます。

マルバスミレ Viola keiskeiマルバスミレ Viola keiskei


花期は4月〜5月。直径2cm程度の白色のスミレ。淡い紅紫色を帯びることもあります。葉も丸みがありますが、花弁も丸く豊かな感じ。5枚の花弁のうち、上の2枚は「上弁」、下の2枚は「側弁」です。その側弁の内側、花の中心付近をチェックします。側弁の毛は、スミレの仲間を見分けるときのチェックポイントの1つ。マルバスミレの場合は、側弁に毛があるタイプと毛のないタイプがあって、今回の写真の場合は、側弁の毛はありません。特に、有毛のタイプは、「ヒゲケマルバスミレ (Viola keiskei f. barbata)」といいます。

花の中央部に突き出しているのは雌しべの花柱ですが、その先端はカマキリの頭のような形になっています。下の1枚の花弁は「唇弁」ですが、紫色の筋が入っています。側弁にもいくらか筋が入りますが、かなり控えめです。そして、唇弁の後ろにはシッポのような「距」が出ていますが、マルバスミレの距は太めで先のほうがちょっとふくらんでいます。花柄やガク片にも毛があることが多く、結構目立ちます。さらに、ガクに注目すると、上部にはみ出しているような部分があります。これは、ガク片の付属体で、ギザギザと切れ込みが入っています。

【和名】マルバスミレ [丸葉菫]
【別名】ケマルバスミレ
【学名】Viola keiskei
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/05/04
【撮影地】東京都八王子市

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2005年04月20日

コスミレ

コスミレ Viola japonica
2004/04/13

コスミレは、北海道、本州、四国、九州に分布し、人里周辺の日当たりのよい草地や田畑の周りなどに多く生える多年草です。草丈は5cm〜10cm程度、それほど背丈は高い方ではないですが、花や花後の葉は大きめで、「小さい」という印象は特にありません。同じように人里近くに生育する「ノジスミレ」や「アリアケスミレ」よりも生育範囲が広く、低地〜山地のやや標高の高いところに生育するようです。

コスミレ Viola japonica
2004/04/13

葉は長く丸みのある三角形〜卵形。花時期の葉は2cm〜4cmくらいですが、花が咲き進むにつれ葉は大きくなり、長さは5cm以上にもなります。葉は濃いめの緑色で、やや白っぽくくすんだような色です。裏面はときどき紫色を帯びています。「タチツボスミレ」のような立ち上がる地上茎はありません。

花期は3月〜5月。やや早くから咲いています。日当たりのよい場所では、特にたくさんの花を咲かせることが多く、花も大柄なので、にぎやかな印象です。花の直径は1.5cm〜2cm。色は、淡い紫色で少しかすれたような感じです。ただし、花の色には変化が多いようで、濃淡があり、白色のこともあるそうです。また、5枚の花弁のうち下にある1対を「側弁(そくべん)」といいますが、コスミレの場合、側弁の毛もあるものとないものがあります。ちなみに、こちら関東の丘陵地で見たものは、わずかに側弁の毛があるものと無毛のものがありました。東日本では無毛、西日本では有毛のことが多いとか。

コスミレ Viola japonica
2004/04/01
コスミレ Viola japonica
2004/04/13


なかなか実体がつかみづらいコスミレですが、わかりやすい特徴としては、特に咲き進むと花弁は細長く見え、側弁がつけ根からしっかりと開いて、中の花柱などがよく見えること、上の1対の花弁(上弁)ウサギの耳のように長く、間のやや狭いV字形で、よく主張しているように見えることでしょうか。ただし、花弁は丸っこく太いこともあるので、そういうふくよかなコスミレをはじめに見た場合は、とても好印象になると思います。細長いタイプの方だと、なんだかおおざっぱな感じです。そのほかのチェックポイントとしては、中心から突き出ている花柱の先が少しふくらむこと、唇弁の後ろに突き出たシッポのような「距」は、やや太くてやや長めなことです。

【和名】コスミレ [小菫]
【学名】Viola japonica
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2004/04/01、2004/04/13
【撮影地】東京都町田市、日野市

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2005年04月19日

アリアケスミレ

アリアケスミレ Viola betonicifolia var. albescens


アリアケスミレは、北海道、本州、四国、九州に分布し、道路脇や人里近くの日当たりのよい草地や、田畑のあぜなどに生える多年草です。九州南部〜沖縄には、「リュウキュウシロスミレ (Viola betonicifolia var. oblongo-sagittata)」が分布しています。

花期は4月〜5月。やや遅めに開花が始まります。花の直径は1.5cm〜2cmくらい。もう少し大きめのこともあります。花の色は白色に紫の筋がたくさん入るというパターンが多いですが、ほぼ白色のこともあれば、筋が多くてややかすれたような紫色に見えるようなものもあって、いろいろと変異があります。名前は、このように変化に富む花の色を明け方ころの空にたとえてつけられたそうです。

似たように白い花を咲かせる「シロスミレ (Viola patrinii)」は、やや標高の高い草原に生育し、特に「上弁」という上の1対の花弁は、かなり後ろに反り返ります。アリアケスミレの上弁はシロスミレほど激しく反り返らず、葉は水平方向に出るものが多く、葉の長さに比べて葉柄の部分が短いです。

アリアケスミレ Viola betonicifolia var. albescensアリアケスミレ Viola betonicifolia var. albescens


スミレの仲間の花は、左右同じ形をしています。ふつう5つの花弁があって、上の1対を「上弁(じょうべん)」、下の1対を「側弁(そくべん)」、一番下にあるものを「唇弁(しんべん)」といいます。花の中央部に注目すると、アリアケスミレの場合、「スミレ」や「ヒメスミレ」と同じように、側弁の基部にはモシャモシャとたくさん毛が生えています。さらに側弁だけではなく上弁にも毛のある場合もあります。中心から突き出しているのは雌しべの花柱で、先の方には膨らみがあります。唇弁の後ろに突き出ているシッポのような部分は、「距(きょ)」で、アリアケスミレの距は太くて短めです。

草丈は5cm〜15cmくらい。「タチツボスミレ」のような立ち上がる地上茎はありません。葉は細長いほこ形で、長さは4cm〜7cmほど。質は厚めで、表面には光沢があります。葉柄には葉身から流れるようについているひれのような「翼」という部分があります。

【和名】アリアケスミレ [有明菫]
【学名】Viola betonicifolia var. albescens
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/04/19
【撮影地】東京都日野市

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ヒメスミレ

ヒメスミレ Viola confusa ssp. nagasakiensis


ヒメスミレは、本州、四国、九州に分布し、人家近くの道ばたや日当たりのよい場所に生育する多年草です。特に乾燥気味の場所、例えば、道路脇のアスファルトやコンクリート、人家の石垣の隙間などに多く見られます。特に本州に生育しているものは、帰化植物とする説もあるようです。

ヒメスミレの分類学的な取り扱いは、台湾をはじめ東アジアの亜熱帯地域に分布する「タイワンコスミレ (Viola confusa)」の亜種とする説と独立種とする説があります。前者の場合の学名は「Viola confusa ssp. nagasakiensis」、後者の場合は「Viola minor」となっています。また、九州に分布し、葉の縁のギザギザ(鋸歯)が粗いタイプを「ツクシヒメスミレ」とすることもあります。

タチツボスミレのような地上茎はなく、草丈は花柄が伸びた状態で、3cm〜10cmに満たないくらいです。

ヒメスミレ Viola confusa ssp. nagasakiensisヒメスミレ Viola confusa ssp. nagasakiensis


花期は3月〜5月。花の色は濃い紫色、「スミレ (Viola mandshurica)」に似ていますが、大きさはスミレより小さめで細身です。直径は1cm〜1.5cmくらい。花の中央部をのぞいてみると、「側弁(そくべん)」という下の2枚の花弁の基部には、白いブラシのような毛が生えています。この様子は、図鑑などでは「側弁の基部は有毛」などと書いてあります。「タチツボスミレ」の場合は、「側弁の基部は無毛」です。雌しべの花柱の先には膨らみがあります。

ヒメスミレ Viola confusa ssp. nagasakiensisヒメスミレ Viola confusa ssp. nagasakiensis


葉は、長さ2cm〜4cmくらいのやや小さめで、長い三角状の披針形、縁にはやや粗めの鋸歯があります。葉の付け根の部分がグルンッと巻くような、張り出すような状態になることが多く、葉柄にはほとんど「翼がない」というのが大きな特徴です。「スミレ」の場合は葉が細長いヘラ形で葉柄の部分にはふつう翼があります。「ノジスミレ」の場合は、全体に微毛があって白っぽく見えます。

表面は濃いめの緑色で少し光沢がある感じ、裏面はやや紫色を帯びていることがあります。花の咲き始めくらいの時期では、葉は小さめで質もちょっと硬そうですが、次第に大きくなって、花が終わったころにはかなり大きな細長い二等辺三角形になっていることもあります。長さは7cm〜8cmくらいにもなって、その状態は、もはや「ヒメ」という感じではないかもしれません。

【和名】ヒメスミレ [姫菫]
【学名】Viola confusa ssp. nagasakiensis
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/04/19
【撮影地】東京都日野市

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2005年04月18日

ニオイタチツボスミレ

ニオイタチツボスミレ Viola obtusa


ニオイタチツボスミレは、北海道南部、本州、四国、九州に分布し、山野の明るい雑木林や草地などのやや乾燥したところに生える多年草です。花期に花柄が伸びた状態での草丈は、5cm〜15cmくらいです。「タチツボスミレ」と同じように地上茎のあるスミレ(有茎種)で、草丈は花の後もっと高くなることもあります。

主な花期は4月〜5月。地上茎はありますが、ほとんどの花が根もと付近から花柄を伸ばして咲きます。花は直径1.5cmくらい。花弁の色は丸く明るい濃い紅紫色で、タチツボスミレよりも華やかな印象。中央の白い部分が大きくてくっきり。花柄にはふつう細かい毛があります。とても細かい毛なのですが、花柄が紫色を帯びていることが多いので、結構、目立ちます。

ニオイタチツボスミレ Viola obtusaニオイタチツボスミレ Viola obtusa


一番下の花弁の「唇弁」から伸びているシッポのようなものは、「距」といって、長さ6mm〜7mmくらい、太くて紫色を帯びることが多く、ブニョッと上に向いています。スミレの仲間の名前を調べるときのチェックポイントを一応、確認。花の中央部あたりに注目して、下の1対の花弁、「側弁」の内側を見ると、「スミレ」や「コミヤマスミレ」のような毛はありません。中央に突き出している雌しべの花柱の先は、あまり膨らんでいません。

花には芳香がありますが、筆者の鼻はあまりにおいに敏感ではないもので、たまに、ホホッと思うこともあるくらいで、大抵は花に鼻をくっつけないとよくわかりません。時間帯や花の状態、天候なんかにもよるのかな。。。

花弁の開き方や明るく鮮やかな花色、色の入り方、距の太さや角度など、細く毛のある長い花柄。一度その姿を全体的にとらえることができれば、遠くから見てもタチツボスミレとの違いは案外はっきりしています。雑種ができている場合や地域によっては、そうともいえないこともありますけども。

ニオイタチツボスミレ Viola obtusaニオイタチツボスミレ Viola obtusa


葉は長短のある卵形で、先はあまりとがらないので、全体的に丸みのある葉です。花の咲き始めの時期には長さ1.5cmくらいですが、花後には3cmくらいまでなります。葉柄の付け根のあたりにある「托葉」という葉の付属物は、櫛の歯状に切れ込んでいます。地上茎は花期にはあまり目立たないですが、あるにはあって、そのうち、それなりに立ち上がってきます。

ちなみに、学名の種小名「obtusa」は、「鈍形の」という意味です。葉の先や鋸歯のことなのか、花弁のことなのかは、それともまったく別の部分に注目してつけられたのかはよくわかりませんが。。。

【和名】ニオイタチツボスミレ [匂立坪菫]
【学名】Viola obtusa
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/04/15
【撮影地】東京都日野市

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コミヤマスミレ

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2005年04月13日

コミヤマスミレ

コミヤマスミレ Viola maximowicziana


コミヤマスミレは、本州、四国、九州の太平洋側に分布し、山地の林内に生育する多年草です。やや暗めで、湿り気の多い林床に生えています。草丈は、花茎が伸びた状態で、10cmに満たないくらいです。

葉は長さ2cm〜4cmの卵形で、つけ根の部分はちょっとグルッと湾入した心形です。もうちょっと簡単にいうと、細身のハート形です。しかも、縁にギザギザ(鋸歯)のあって毛の生えた細長いハート形。表面の色は、濃いめの緑色で、紫褐色を帯びていたり、斑が入って白っぽい模様があることも多いです。紫褐色を帯びる程度や斑の入る程度も様々ですが、表面に毛が多いことは共通。

花期は、春咲くスミレでは遅い方。4月の下旬ごろからの開花です。花は直径1cmくらい。白色の花弁は細くて、5枚の花弁のうち2枚の「上弁」、2枚の「側弁」ともに、タチツボスミレなどに比べると横方向に開く傾向があります。そのため、花は横長な印象になります。花の内側に注目すると、一番下の「唇弁」には赤紫色の筋模様があって、側弁の付け根のあたりには毛が生えています。唇弁から後ろに突き出るシッポのような「距」は、太くてちょっと短めです。

コミヤマスミレ Viola maximowiczianaコミヤマスミレ Viola maximowicziana


花が白くて小さめで花期が遅めのスミレには、ほかにも「ニョイスミレ」や「フモトスミレ」などいくつか種類がありますが、それらと比べてもコミヤマスミレの重要な見どころの1つはその「ガク片」です。

ガク片は花の外側のつけ根にあって、粗い毛が目立ちます。ガク片がペタッーとはりついたようになっている種が多い中、コミヤマスミレの場合はガク片が反り返るところが大きな特徴です。正面から開きかけの花を見ていると、小さな羽根をつけけいるかのようで、そのままどこかへ舞って飛んでいってしまいそうな、そんなガク片です。

【和名】コミヤマスミレ [小深山菫]
【学名】Viola maximowicziana
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2004/04/21
【撮影地】東京都八王子市

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2005年04月12日

ナガバノスミレサイシン

ナガバノスミレサイシン Viola bisseti


ナガバノスミレサイシンは、本州、四国、九州の太平洋側の丘陵地や山地の林内に生える多年草です。草丈は10cm内外。また、四国や九州に分布して葉に斑が入るタイプを「フイリナガバノスミレサイシン (Viola bisseti var. kiusiana)」といいます。

葉は細長〜い長卵形で、長さ3cm〜8cm、先は細くとがります。日本海側の多雪地に生える「スミレサイシン (Viola vaginata)」よりも細長い葉です。花の咲いている時期には、あまり開かずに元のほうが巻いた状態になっていることが多いです。花が終わったころには、葉がかなり大きくなることもあって、カンアオイ類かと思ってしまうほどです。

花期は3月〜4月。花は淡い紫色〜白色で、直径2cmくらい。スミレサイシンよりもやや薄い色のことが多いです。日本のスミレの中では大きめの花です。距は太くて短い。外から見える距は一番下の花びら(唇弁)から出ていますが、この距の中にはもう1つ距があって、それは雄しべから出ています。

スミレには5枚の花弁があって、上の2枚は「上弁」、下の2枚は「側弁」、そして一番下にあるのが「唇弁」です。スミレの種類を見分けるポイントの1つとして、しばしば、側弁の内側の基部、ちょうど花の中心付近になんですが、そこに毛が生えているかどうかというのをチェックします。ナガバノスミレサイシンやスミレサイシンの側弁は無毛です。花が桃紫色の「アケボノスミレ (Viola rossi)」の場合は、側弁に毛が生えていることもあります。

花の中心部には淡い黄色の花柱があって、花柱の先の方はカマキリの頭のような形に横に膨らんでいます。花柱の先に少しだけ突き出ている、細長いくちばしのような部分は柱頭です。花柱や柱頭の形もスミレの仲間を観察するときのポイントの1つです。

ナガバノスミレサイシン Viola bisseti


2005年はスミレ類の開花も少しゆっくりめ。4月初め、関東の低山で花盛りだったのは、「アオイスミレ」でした。ふつうは、アオイスミレはもっと早春に咲いて、4月にはもうほとんど終わっているんですが。ナガバノスミレサイシンは、ようやく蕾を伸ばしてきたところで、上の写真のようにちょっとスレンダーな印象。

【和名】ナガバノスミレサイシン [長葉の菫細辛]
【学名】Viola bisseti
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/04/03
【撮影地】東京都八王子市

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ノジスミレ

ノジスミレ Viola yedoensis


ノジスミレは、本州、四国、九州に分布し、道ばたや人家近くの芝生の中や田畑のまわりなど日当たりのよい場所に生える多年草です。低地にごくふつうに見られるスミレの1つです。高さは10cmに満たないくらい。全体に白い細かい毛が生えているので、よく似た種の「スミレ (Viola mandshurica)」より白っぽい印象になります。

ノジスミレ Viola yedoensis
葉の表
ノジスミレ Viola yedoensis
葉の裏


葉は春先の早い時期に出るものは長さが3cmくらいの短い二等辺三角形という感じですが、花が咲き進んでくるころには、しだいに長さ5cmくらいのへら型の細長い葉が増えてきます。その長い葉も、花が終わりに近づくころには、幅も広く長さも長い三角形や楕円形になってきます。夏葉の状態では、「コスミレ (Viola japonica)」とほとんど区別がつかないことも多いです。「アリアケスミレ (Viola betonicifolia var. albescens)」や「ヒメスミレ (Viola minor)」もあるので夏葉になっていると、なかなか一筋縄ではいかないでしょうね。

ノジスミレ Viola yedoensisノジスミレ Viola yedoensis


花期は3月〜5月。花色は、淡い紫色〜濃い紫色で、青みががっていることが多いです。花弁の長さは1cm〜1.5cmほどですが、花弁は反り返り見た感じの花の直径も1.5cmくらいです。花の後ろにあるシッポのような「距(きょ)」の色は少し濃淡はありますが花とほぼ同色で、スミレの距よりは薄い色になる傾向です。花柄にも細かい毛があります。

スミレの花の花びらに見えるものは5枚ありますが、それぞれ名前がついていて、一番上の2枚の弁を「上弁」、下の2枚を「側弁」、一番下にある1枚を「唇弁」といいます。距は一番下の花びら、つまり唇弁から出ています。

中をのぞくと中心部からは雌しべが1本突き出しているのが見えます。その先端の柱頭は横に膨らんでいます。「タチツボスミレ (Viola grypoceras)」だとこの横の膨らみがありません。さらに花の中央付近をよく見て、側弁の基部に毛があるかどうかをチェックします。ノジスミレの場合、側弁には毛がないのがふつうです。これはスミレと見分けるときの重要ポイント。スミレだと、側弁の基部に毛がたくさん生えています。

開いて間もない時期はそれなりの美しさがありますが、ちょっと日がたつと、形や色があっという間に冴えないものになってしまいます。ややかすれたような色で、花弁の先などは特に傷みやすく、旬の時期の短い花のような気がします。

*スミレとは側弁の毛で見分ける*
スミレに似ていますが、ノジスミレは側弁に毛がないことがほとんどで、スミレより色は薄く青みが強いことが多いので、スミレほどの強烈なインパクトはないかもしれません。また、ノジスミレでは葉柄の翼があまり発達しないことや草丈が低めのことが多い点も要チェック。ただし、花色は濃淡があるし、地域による違いもあって、いずれの種も変異が多いので一概には言えないのですけども。

*コスミレとは側弁の開き具合いで見分ける*
時として葉の形や花色が「コスミレ」に似ていることもあります。両者とも側弁の毛はないので、毛の有無は決め手になりませんが、コスミレの方がノジスミレよりはちょっと大きめで、側弁が根もとの方からよく開いているので、のぞきこまなくても花柱の先がよく見えます。ノジスミレだとコスミレほど開いていないので、見えにくいときもあります。

【和名】ノジスミレ [野路菫]
【学名】Viola yedoensis
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2005/04/06
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事
タチツボスミレ

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スミレの観察は、ポイントをつかめば次第に見分けられるようになると思います。でも、少しなれると今度はいくつかあるチェックポイントを見るのを忘れて、あっ、しまった、托葉を見てなかったとか、側弁を見てなかったなんてことをしょっちゅうやらかしております。

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2004年12月10日

タチツボスミレ

タチツボスミレ Viola grypoceras


タチツボスミレは、国内では北海道〜沖縄まで分布し、海岸に近い場所や人家周辺〜亜高山まで幅広く生育しています。日本で最もふつうに見られるスミレのひとつです。

スミレの仲間では多年生の種の場合、ふつうに花が開く「開放花」と開かない「閉鎖花」という2つのタイプの花をつけます。開放花はふつう春に開き、閉鎖花は開放花が咲き終わった後も葉の脇(葉腋)から次々と出てきます。閉鎖花は開かないので、同じ花の中で受粉が行われ結実します。真冬の時期を除けば、年中種子がつくられているんですね。

ところで、写真ですが、これは12月上旬、関東の丘陵地で写したものです。写っているのは開放花です。この場所はひと月ほど前に草刈が行われ、目だった背の高い草はまったくなくなっています。日の光を受けることができるようになった背の低い草たちが、11月の温かさという条件も重なって、あちこちで花を開いていました。昼間は春のような陽気ですが、午前中はまだ葉や花に露が残ります。写真の花は夜の冷え込みなどで早々に花弁が傷んでしまったようですが、周囲の個体は次々と花を咲かせていました。まるで春の里山のようです。

スミレは種類が多く、花弁がなくなると種類を特定しにくい感じがしますが、花の後ろ側に出る「距(きょ)」や花の中から突き出している柱頭の状態、花弁の内側(特に「側弁」)にブラシのような毛があるかどうか、「托葉(たくよう)」という付属物の様子、葉の形や質感などからわかる場合があります。名前を調べるときは花だけではなく、いろいろ観察して総合的に見て判断するということですね。

ちなみに、タチツボスミレの托葉はくしの歯状に切れ込んで、ギザギザしています。

【和名】タチツボスミレ [立坪菫]
【学名】Viola grypoceras
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2004/12/08
【撮影地】東京都日野市

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→「たぶん(^^ゞ タチツボスミレ
蕾の状態と、ちゃんと咲いている花の様子がわかります。ほかにも毎日たくさんのお花の情報がアップされていて、いつも楽しいブログです。ぜひ訪問してみてください。

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2004年12月01日

オオバタチツボスミレ

オオバタチツボスミレ Viola kamtschadalorum


オオバタチツボスミレは、国内では本州中部以北と北海道に分布し、湿原や湿り気のある林内に生育スミレです。草丈は20cm〜30cmぐらいになるので日本の野生のスミレとしてはかなり大型だといえます。立ち上がる地上茎があります。名前は「タチツボスミレ」とつきますが、タチツボスミレより、「ニョイスミレ」の方に近縁とされています。

よく似た種類でアリューシャンやアラスカなどに生える「Viola langsdorfii」という種類がありますが、「オオタチツボスミレ」と国内の「タカネタチツボスミレ」を含めた分類は、いろいろと見解があって定まっていないようです。

花も大きめで直径2cm〜3cmです。色は紫紅色で、濃い紫の筋が入っているのが目立ちます。葉の形は丸いハート型〜細長くとがったような三角状のハート型で、先端がとがっています。

写真の個体は階段状になった木道の脇で、登山中に踏んでしまいそうな位置にありました。草丈は15cm程度です。中央では、実が3つに裂けて中の小さい種子が見えています。一般にスミレは、通常の花(開放花)以外に「閉鎖花」をつけて長い期間にわたって種子を作っています。閉鎖花というのは、ふつう花弁がなくガクは閉じたままの状態で、その中にある雄しべと雌しべの間で受粉が行われる花のことです。写真のものが閉鎖花によってできたものなのか、通常の花によってできたものなのかは未確認ですけれど。

【和名】オオバタチツボスミレ [大葉立坪菫]
【学名】Viola kamtschadalorum
【科名】スミレ科 VIOLACEAE
【撮影日】2004/08/12
【撮影地】福島県南会津郡檜枝岐村

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