2006年01月06日

オヒョウ

オヒョウ Ulmus laciniata


オヒョウは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の少し奥まった谷沿いなどに見られるニレ科ニレ属の落葉高木です。幹はまっすぐのびて、高さは15m〜20mほどになります。樹皮は灰褐色。縦に浅めの裂け目が見られます。この樹皮の繊維は非常に丈夫なものだそうで、アイヌの人たちは、この樹皮を布を織るのに用いていたとか。オヒョウという名前、植物の名前とは思えないような、とっても変わった名前ですが、この「オヒョウ」とういのは、アイヌ語でこの樹皮などの呼び方、「オピョウ」からきているのだそうです。

葉は互生。長さ10cm前後の倒卵形。葉の先端近くが3つから5つくらい、場合によっては7つや9つに裂けて、縁の重鋸歯が目立つ特徴的な葉。一番先端は急に細くなってとがったりします。ただし、必ずしも裂けているとは限らず、裂けていない葉も混じっています。それに裂けているといっても、その裂片らしき部分は鋸歯がちょっと大きくなったような状態のものです。小枝の先端の方につく大きな葉ほど、よく裂けている感じでしょうかね。また、裂けてない葉を見ると、同じニレ属の「ハルニレ」あたりと似ていますが、ちょっとオヒョウのほうがだだっ広い感じですね。

葉の表面は濃いめの緑色。触るとザラザラ。葉柄は長いもので1cm、ふつうはごく短くて数mmです。葉の基部は、時折ちょっとゆがんだところがあって、左右対称でないことも多いです。というより、このニレ科の仲間の葉はだいたい左右非対称ですね。ケヤキやエノキも非対称。オヒョウの場合は付け根が丸っこいこともあって、パッと見には、左右対称のように見えますよね。側脈はだいたいずれていますけれど。その側脈は縁の鋸歯まで到達しますが、途中で枝分かれして、到達していることが多いでしょうかね。

花期は4月〜5月。葉の展開よりも早めに開花します。花がつくのは、前年度にのびた枝の葉腋の部分。赤みがかった淡い黄緑色の花が束になってつきます。花は両性花です。果実は平べったい楕円形の翼果。長さは1.5cmほど。梅雨のころ熟します。

【和名】オヒョウ
【学名】Ulmus laciniata
【科名】ニレ科 ULMACEAE
【撮影日】2005/05/29
【撮影地】神奈川県藤野町

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2005年12月31日

カシワ

カシワ Quercus dentata


カシワ。この葉は「柏餅」を包む葉としておなじみですね。北海道、本州、四国、九州に分布するブナ科コナラ属(Quercus)の落葉高木です。山地や丘陵地に生育しています。高さは15mほどになり、枝をグンッとのばして、ちょっと荒っぽいような力強い感じの樹形です。樹皮は濃いめの灰褐色〜黒褐色で、縦の割れ目が目立ちます。

葉は互生。枝先に集まってつきます。葉は長さ10cm〜30cmの倒卵形で、先はとがらず丸っこくなっています。縁の鋸歯も大きくて先は丸く、ギザギザという感じではありませんね。ちなみに、学名の種小名「dentata」には、「歯牙状の」という意味があります。

幅もなかなか広くて、一番幅のあるところだと8cm〜15cmくらいはあるでしょうか。とにかく独特の葉なので、すぐカシワの木だと気づきます。同じブナ科コナラ属の「ミズナラ」の葉は、似ているところもありますが、鋸歯の先がもっとシャープです。シャープな鋸歯はカシワ以外のコナラ属の特徴でもあります。

葉の毛は、若葉のころなら短いものがそれなりに見られますが、しばらく経つと少なくなってきます。表面は濃いめの緑色。裏面は表よりは色が薄く、白っぽい緑色。中央の葉脈はしっかり入り、8対〜12対の側脈もよく目立ちます。

カシワというのは、「炊く(かしぐ)葉」、つまり食べ物を蒸すときに利用する葉とういう意味なのだとか。ホオノキなんかも同じように、大きな葉っぱは食べ物を蒸すのに利用されてきたんですよね。カシワの葉はホオノキほどの大きさではないですが、ご飯を盛るのにも使われたそうで、ブナ科では最大級の葉ですね。

カシワ Quercus dentata


花期は5月〜6月。雄花は垂れ下がる雄花序につき、雌花は葉の脇(葉腋)につきます。雌花は新しくのびた枝の上部に5個ほどで、雄花序はそれより下の方から垂れ下がります。長さ10cmほどです。

果実は「堅果」で、いわゆる「どんぐり」の1つです。といってもちょっと形は変わっている方です。長さは1.5cmくらいの横幅の大きなもの。どんぐりの帽子の部分は、「殻斗(かくと)」といいますが、カシワの殻斗は、ふつうどんぐりといって思い浮かべるものとはちょっと違っていて、細長い鱗片状の総苞片がたくさんってボサボサしています。

植林地の縁に生えていたカシワの木。もうあたりの落葉樹の多くが葉を落とした中、カシワの木には茶色になってもなお、なかなか完全に落葉せず、しばらくは枝に残っているものも多い。こういうふうにいつまでも落葉しないのは、「離層」という部分の形成があまりしっかりとしたものではないからだそうです。冬芽は褐色でぶっとく、細かい毛がたくさん生えています。

【和名】カシワ [柏、槲]
【学名】Quercus dentata
【科名】ブナ科 FAGACEAE
【撮影日】2005/12/11
【撮影地】東京都八王子市

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2005年12月02日

タブノキ

タブノキ Machilus thunbergii


タブノキは、本州、四国、九州に分布するクスノキ科タブノキ属の常緑高木です。山地というよりは、ふつうは海岸沿いの林に多く生育しています。また、しばしば公園などにも植栽されています。幹はだいたいまっすぐに伸びて、高さは15m〜20mにもなります。幹もかなり太くなり、1m前後、巨木になると2mにもなる堂々とした樹木。うっそうとした日本の照葉樹林の代表的な樹種です。樹皮は灰褐色。ほとんど滑らかですが、やはり古木になれば割れ目が見られます。クスノキ科ですので枝葉には特有のにおいがあります。

葉は互生。枝先に集まるようにしてたくさん葉がつきます。葉は長さ8cm〜15cmほどの長楕円形で、先が細く短めに突き出しています。突き出した部分は、とがるというよりちょっと丸っこくて鈍頭です。どちらかというと、上の方が幅広く、基部の方が細くなった感じで、卵をひっくり返した倒卵形に近い形。縁にギザギザ(鋸歯)はなく全縁です。葉柄は長さ1cm〜2.5cmくらい。質は厚く、表面は濃い緑色で光沢があります。裏面は白っぽいです。毛はありません。

タブノキ Machilus thunbergii


花期は4月〜5月。枝先の芽から黄緑色の花をつけた円錐花序と、しばしば赤みを帯びた葉がのびてきます。

果実は球形で、熟すのは夏。最初は緑色ですが、やがて赤色になった後熟すと黒くなります。果実は鳥に食べられて、それによって種子が分散されますが、そうやって運ばれた種子は地につくと直ちに発芽するのだそうです。果実の時期になっても、6つのガク片(花被片)が果実の後ろ側によく残っています。柄の部分が赤くなるのがちょっと異様な感じも。

枝先の芽は楕円形で太く、よく目立ちます。遠めには、どことなくツバキやサザンカの蕾をずっと小さくしたような雰囲気もあるかな。芽鱗の縁には褐色の毛があります。冬越し前はまだ緑色ですが、この芽は越冬中に次第に赤くなってきます。冬芽の観察といえば、何となく落葉樹の方に目がいきますが、タブノキは芽が大きな特徴でもあるので、要チェック!

クスノキ科にはクロモジやアブラチャン、ダンコウバイなどのように、秋には黄葉して葉を落として越冬するいわゆる「落葉樹」もあれば、クスノキやヤブニッケイ、シロダモのように、濃くつやのある葉をつけたまま越冬するいわゆる「常緑樹」もあります。常緑樹といわれるものはその言葉の印象から、まったく落葉しないようなイメージがありますが、ちゃんと?落葉します。落葉樹に比べて1つの葉の寿命が長くて一年以上なので、葉がまったくなくなる時期がないだけですね。クスノキなんかは落葉する葉は紅葉していたりします。

そういえば、樹皮が鹿の子模様のカゴノキも、名前の変わったバリバリノキなんていうのもクスノキ科ですね。

【和名】タブノキ [椨の木]
【別名】イヌグス [犬樟]
【学名】Machilus thunbergii
【科名】クスノキ科 LAURACEAE
【撮影日】2005/11/27
【撮影地】東京都新宿区

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2005年11月29日

ハナノキ

ハナノキ Acer pycnanthum


ハナノキは、長野県、愛知県、岐阜県などの限られた地域に分布する落葉高木です。高さは20m〜30mにも達し、直径もかなり太く1mくらいにもなります。カエデ科カエデ属ですが、ハナノキは、葉が3つに裂ける種です。ふつうカエデといって思いつくのは、葉の縁が5つに裂けて手のひら形になるものですけれど、これはちょっと趣が違っています。樹皮は縦に深く裂けます。

葉は対生。幅の広い卵形で、縁は3つに浅めに裂けます。裂け方には変異が多くて、同じ株の中でもほとんど裂けていないこともあります。そして、それぞれの裂片の縁には先端に向かってギザギザする鋸歯があります。その鋸歯はちょっと粗めです。葉身の部分の長さや葉柄の長さにはやや長短あります。葉身は長さ3cm〜8cm、幅2cm〜10cm。葉柄は1.5cm〜7cmくらいです。葉脈は葉の付け根の部分から3本出ます。

表面は濃い緑色。裏面は粉をふいたように、少し白っぽくなります。秋には橙色〜赤、または黄色になって、とても美しいです。

ハナノキ Acer pycnanthumハナノキ Acer pycnanthum


花期は4月。葉が展開するのに先立って、たくさんの紅色の花をつけます。雄花と雌花が別の株につく雌雄異株。特に雄花のは大きくて集まって咲くので、より濃い紅色が目立ちます。花には、長さ3mmほどの花弁とガク片が、それぞれ5つずつあります。といっても、ふつうに思い描くような花びらという感じではないです。雄花には長い雄しべが5本。雌花の方にも雄しべが見られますが、短いものです。そのかわり、2つに裂けた花柱が突き出ます。

雌花の方の花柄は、次第にのびて、果実はその長い柄の先にぶら下がります。果実は「翼果」で、プロペラの長さは2cmくらい。丸っこい冬芽は「イタヤカエデ」をより派手にした感じです。

ハナノキ。春に咲く紅色の花が美しいことからきているといいます。春に美しい花を咲かせる樹木もたくさんありますけれど、運よく?この樹木だけがこの名前をもらっています。ただし、ハナノキって、「シキミ」の別名でもあるらしいですね。それに、名前の由来は他にもあって、若葉のころ全体が桃色に見えるところから、きているともいいます。

【和名】ハナノキ [花木]
【別名】ハナカエデ [花楓]
【学名】Acer pycnanthum
【科名】カエデ科 ACERACEAE
【撮影日】2005/11/27
【撮影地】東京都新宿区

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2005年11月25日

ダンコウバイ

ダンコウバイ Lindera obtusiloba


ダンコウバイは、本州太平洋側では関東以西、日本海側では新潟以西、四国、九州に分布し、山地や丘陵地のやや乾燥した場所に生育する落葉低木です。樹皮はやや白っぽい灰褐色で、だいたい滑らか。高さは2m〜5mほど、ふつうは3mくらいです。クスノキ科クロモジ属の植物で、枝などには芳香があります。

葉は互生。幅の広い卵形で、長さは10cmくらい。葉は先が浅く3つに裂けます。この葉の形が独特で、先の割れたスプーン形。裂けた裂片の先はとがらず丸っこいです。全体に丸みのある葉身で、目に優しい感じ。似たような形の葉はそうないので、この形をチェックすれば、ダンコウバイにたどり着けると思います。ただし枝の付け根のあたりにある小さめの葉などは3つに裂けていないこともあります。ちなみに学名の種小名「obtusiloba」には、「鈍頭で浅裂の」という意味があります。

幅の広めの葉ですが、つき方が整っていてさわやかな印象。表面は鮮明な感じの緑色。裏面はやや白っぽく付け根のあたりや葉脈の部分は毛が見られます。若い時期なら触るとフサフサするくらいに軟毛が多いですが、次第に脱落してしまいます。葉柄は1cm〜3cmほど。

ダンコウバイ Lindera obtusilobaダンコウバイ Lindera obtusiloba


花期は3月〜4月。葉の展開に先がけて開花します。アブラチャンやサンシュユ、マンサクなどとともに黄色い花をつける早春の代表的な花の1つ。葉腋につける散形花序にはほとんど柄がなくて、枝から小花柄が数本伸びて先に黄色の花をつける感じになります。その数個が咲くとそれが黄色の球形の塊に見えて、遠めには黄色のポンポンが枝にたくさんついているみたいになります。

果実は直径8mmくらいの球形で、秋に熟すと赤〜黒色になります。葉は秋には黄葉して美しいものです。冬芽には「花芽」と「葉芽」があって形が違っています。葉芽のほうは先のとがった長卵形、花芽のほうは丸っこいものです。両方とも「芽鱗」に包まれた「鱗芽」ですが、葉芽の方が枚数が多く4枚くらい、花芽のほうは2枚〜3枚です。

【和名】ダンコウバイ [檀香梅]
【別名】ウコンバナ [鬱金花]
【学名】Lindera obtusiloba
【科名】クスノキ科 LAURACEAE
【撮影日】2005/11/20
【撮影地】東京都八王子市

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2005年11月24日

カナウツギ

カナウツギ Stephanandra tanakae


カナウツギは、バラ科コゴメウツギ属(Stephanandra)の落葉低木です。高さは1m〜2mほどで山地の林縁部などに生育しています。分布域は、ほぼ東日本に限られていて、本州の太平洋側の関東〜中部、日本海側では新潟や秋田などに見られるといいます。特に富士山周辺、箱根、丹沢などの地域には多く生育していることから、「フォッサマグナ要素」の植物として、取り上げられていることも多いです。同属の「コゴメウツギ (Stephanandra incisa)」の方は、北海道〜九州まで広く分布し、山地や丘陵地の林内、林縁などに多く見られます。

葉は互生。幅の広めの卵形で、先は細長くなってとがります。ふつうは浅めに3つ〜5つに裂けていて、縁は粗めのギザギザ(鋸歯)があります。鋸歯は「重鋸歯」となることもあります。枝がちょっとジグザグになるのも特徴です。

カナウツギ Stephanandra tanakaeカナウツギ Stephanandra tanakae


花期は5月〜6月。その年にのびた枝の先から花序をのばして小さな花を多数つけます。花序の長さは5cm〜10cmくらい。1つ1つの花の直径は5mm程度。花弁は5つ、色は黄白色です。雄しべの数は20本くらい、雌しべは1本。ガク片は5つで先はとがります。

花序の様子は、コゴメウツギによく似ていますが、カナウツギは葉が大きくて枝や葉柄の赤みがかなり目立ちます。ちなみにコゴメウツギの「コゴメ」は漢字で書くと「小米」。小さくて白い花がたくさんついている様子を、小米になぞらえたものです。「ウツギ」とついていますが、ふつうのウツギはユキノシタ科またはアジサイ科に分類されます。コゴメウツギやカナウツギはバラ科です。

果実は楕円形の「袋果」。冬芽は長さ2mm〜3mmくらいの卵形で、淡い赤褐色の「鱗芽」です。

【和名】カナウツギ
【学名】Stephanandra tanakae
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2005/11/20
【撮影地】東京都八王子市

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2005年11月17日

エノキ

エノキ Celtis sinensisエノキ Celtis sinensis


エノキは、本州、四国、九州に分布し、山野に結構ふつうに生育するニレ科エノキ属の落葉高木です。高さは15mほど、幹の直径は1m以上にまでなります。大きくなった木を遠めに見ると、比較的下のほうからよく枝分かれして、横にも大きく広がって、こんもりと丸く豊かな感じの樹形。同じニレ科の「アキニレ」や「ケヤキ」に似ているところがあります。樹皮はアキニレの場合は、不規則によくはがれるし、ケヤキも大きくなればはがれますが、エノキの樹皮ははがれません。色は灰黒色で、ツブツブの模様があって滑らかではないです。

エノキ Celtis sinensis


葉は互生。葉の形は幅の広めの卵状楕円形で、ちょっとひし形っぽいです。長さは4cm〜10cm、幅は2.5cm〜5cmくらい。縁のギザギザ(鋸歯)が、葉の上半分にだけあるのがポイント。そして、しばしば鋸歯は先にほんのちょっとだけになったり、全縁になったりします。この点はケヤキなどとは大きく違っています。

また、葉の付け根の部分に注目すると、3本のはっきりとした葉脈が出ているのが目立ちます。その付け根から出ているものも含めて、側脈は3対〜4対です。表面には少し光沢があります。裏面はやや色が薄く、脈上に毛があります。表面にも脈上に少し毛が見られます。

花期は4月〜5月。その年にのびた若い枝に小さな花がつきます。花は淡い黄緑色で、枝のより上の部分には両性花がつき、より下部には雄花がつきます。果実はやや縦長の球形、直径は8mmほど。秋に熟すとオレンジ色〜赤褐色になります。

葉は秋には黄色に色づいて、やがて落葉します。冬芽は小さな三角形で枝にはりついたような感じ。濃い褐色の毛のある数枚の「芽鱗」に包まれています。「葉痕」は枝からちょっと張り出して、上向きになっています。

【和名】エノキ [榎]
【学名】Celtis sinensis
【科名】ニレ科 ULMACEAE
【撮影日】2005/11/11、2005/11/17
【撮影地】東京都日野市

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2005年11月14日

オトコヨウゾメ

オトコヨウゾメ Viburnum phlebotrichum


オトコヨウゾメは、本州、四国、九州に分布し、山地や丘陵地のやや日当たりのよい林縁部などに生えるスイカズラ科ガマズミ属の落葉低木です。高さは大きくても2mくらいでしょうか。枝は薄い灰色。「ヨウゾメ」というのは、「ガマズミ (Viburnum dilatatum)」の地方名だそうですが、ガマズミに比べると、オトコヨウゾメの方が、葉や花序も小さくて木全体の姿もずっと繊細です。

葉は長さ4cm〜9cmほどの卵形。表面はほとんど無毛。側脈が平行に走っているところは、なるほどガマズミの仲間だなと感じます。縁には粗めのはっきりとしたギザギザ(鋸歯)があって、葉柄は5mmくらい。葉の形は同じガマズミ属の「コバノガマズミ (Viburnum erosum)」によく似ていますが、オトコヨウゾメの方が葉柄が長めです。また、ガマズミやコバノガマズミの葉は、毛が多くて、触るとフサフサします。

オトコヨウゾメ Viburnum phlebotrichumオトコヨウゾメ Viburnum phlebotrichum


花期は5月〜6月。枝先から小さめの散房花序がでて、小さな花を数個つけます。ガマズミよりはずっと控えめな花序です。雄しべもそんなに目立ちません。花冠はほとんど白色で、直径5mm〜9mmほど、先は5つの裂片にわかれていて、その分かれた裂片が平たく開きます。

果実は「核果」で、秋には赤く熟します。そして果実が十分に熟すころには、果序が垂れ下がってきます。コバノガマズミも同じように垂れ下がる感じですね。でもちょっと、果実の形が違っています。オトコヨウゾメの核果は長さ8mmほどの楕円形ですが、コバノガマズミは球形に近いです。

写真の果実は、もう水分が飛んでしまってシワシワになっています。こういう果実を見ると冬の訪れを感じます。枝先や葉腋にはすでに冬芽の準備もできています。冬芽は濃い紫褐色。ガマズミのような星状毛はなく、無毛でちょっと光沢があります。一番外側の1対の「芽鱗」が小さいのはガマズミ、コバノガマズミ、ミヤマガマズミとも共通です。

【和名】オトコヨウゾメ
【学名】Viburnum phlebotrichum
【科名】スイカズラ科 CAPRIFOLIACEAE
【撮影日】2005/11/13
【撮影地】東京都あきるの市

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2005年11月08日

イタヤカエデ

イタヤカエデ Acer pictumイタヤカエデ Acer pictum


イタヤカエデは、北海道、本州、四国、九州に分布し、低山〜ブナ帯に生えるカエデ科カエデ属(Acer)の落葉高木です。カエデの中でも特に大きな木になるカエデで、高さは15m〜20mに達します。樹皮は灰褐色。老木になると縦の裂け目が目立つようになります。樹形は整っていて、葉はたくさん重なってよく茂ります。その様子を板で葺いた屋根に見立てて、「イタヤカエデ (板屋楓)」というそうです。樹液には糖分が多く含まれていて、サトウカエデのように、メープルシロップをつくることも。

葉は対生。葉は3つ〜9つ、多くは5つ〜7つに分かれて、裂片の先は細長く尾状にとがっています。カエデ類をチェックするとき、葉裏の付け根のあたりの毛がポイントの1つですが、イタヤカエデは生えていることが多いです。そしてこの部分以外はだいたい無毛。葉柄は長くて5cm〜10cm以上にもなります。

葉の縁はちょっと波うつので、一見、細かなギザギザがあるようにも見えますが、鋸歯(ギザギザ)はなく全縁です。葉の大きさや切れ込みの深さ、葉の色や毛の状態にはいろいろと変異が多くて、一口にイタヤカエデといっても、多くの種内分類群が認められ、ある程度地域によっても違うタイプが見られたりします。たとえば、かなり葉の切れ込みの深い「エンコウカエデ」、裏面に毛が多く切れ込みの浅い「オニイタヤ」、裏面脈上に毛のある「アカイタヤ」、「エゾイタヤ」など、他にも多数あります。

これらの種内分類群も葉の縁に鋸歯がないということが、同属の他種と明らかに違う点なので、多くの種内変異を含めて「イタヤカエデ」と広く捉えておいても、とりあえずはよいのかもしれません。また、幼木の場合、切れ込みが深くなる場合も多いので、なかなか難しいところです。

イタヤカエデ Acer pictum


花期は4月〜5月。葉の展開に先駆けて開花しはじめます。花序は散房花序、その年にのびた枝の先につきます。1つ1つの花の直径は5mm程度のもので黄緑色。春の景色によく似合う色合いです。雄花と両性花が同じ株につく雌雄同株。

果実は「翼果」で、長さは2cmくらい、熟すと茶色になります。開く角度が小さいものから直角に開くものまで変異に富みます。それで、しばしば、翼果の開く角度によっても細かく分けられています。

秋の紅葉は赤ではなく、黄色。美しく鮮やかな黄葉です。写真のものはもう茶色くなっていて、足元にはたくさんの落葉。枝先にはもう冬芽も見えていました。

【和名】イタヤカエデ [板屋楓]
【学名】Acer pictum (広義のイタヤカエデ)
【科名】カエデ科 ACERACEAE
【撮影日】2005/11/06
【撮影地】東京都檜原村

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2005年10月27日

マルバヤハズソウ

マルバヤハズソウ Kummerowia stipulacea


マルバヤハズソウは、本州、四国、九州に分布し、道端の草地などに生育する一年草です。マメ科ヤハズソウ属に分類され、同じ仲間の「ヤハズソウ (Kummerowia striata)」とそっくりですが、枝分かれのしやすさ、葉の形やつき方、茎の毛の生える向き、豆果の形などが違っています。

茎は赤みを帯びて、たくさん毛が生えていますが、この毛が上向きについているところがポイントです。ヤハズソウの場合は下向き、茎に伏せたように生えています。茎は細いですが、よく枝分かれして、結構しっかりしています。草丈は15cm〜30cmほどです。

葉は互生。倒卵形の3つの小葉が1セットになったもので、枝の先ほど集まってつく傾向があります。葉の先はごく細くとがっていますが、その部分が下向きに曲がっているので、上から見れば先がへこんでいるように見えます。ヤハズソウと同じように、斜めに走る側脈がきれいに並んでいます。やっぱり、同じように引っ張れば矢はず形ににちぎれます。小葉の縁や裏面の中央の葉脈上には毛があります。

マルバヤハズソウ Kummerowia stipulaceaマルバヤハズソウ Kummerowia stipulacea


花期は8月〜10月。花は葉の脇(葉腋)にだいたい1つか2つ、パラパラとつきます。淡い紅紫色のマメ科の「蝶形花」。一番目立つ「旗弁」は淡い紅紫色。そして旗弁の付け根と、花の底の部分にある「竜骨弁(舟弁)」の先はちょっと濃いめの紅紫色。他の部分は白っぽい。

昆虫が訪れる前の花は、雄しべや雌しべが竜骨弁の中に包まれていますが、そこに昆虫が訪れたりして刺激が加わると、雄しべや雌しべが竜骨弁から出たままになります。この小さな花、何の昆虫が訪問するのでしょう。でも、このマルバヤハズソウも、たとえ昆虫が訪れなくても結実する仕組みをちゃんと持っているようです。蕾のまま開かずに結実する「閉鎖花」もつけますし。

果実は平べったい楕円形で、先は丸っこいです。ガクは果実の時期にも残っていて、長さは1.5mm。1つの豆果の中に種子は1つだけできますが、熟しても裂けないマメです。

【和名】マルバヤハズソウ [丸葉矢筈草]
【学名】Kummerowia stipulacea
【科名】マメ科 LEGMINOSAE (FABACEAE)
【撮影日】2005/09/17
【撮影地】東京都日野市

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2005年10月19日

ヤマゼリ

ヤマゼリ Ostericum sieboldii


ヤマゼリは、日本では本州、四国、九州に分布し、山野の林縁などに生育するセリ科ヤマゼリ属(Ostericum)の多年草です。ただし、「多年草」とはいっても、1度花をつけた個体は、果実をつけると枯れてしまいます。このような生活様式を「一回繁殖型」といいます。ちなみに発芽したその年は根生葉のみで過ごすそうです。これは「ヤマゼリ」が特別というわけではなく、ふつう多年草といっている植物の中にも、このタイプの植物はいろいろあると思います。

名前は「山芹」ですが、とくに山地に限らず、標高は低くても見られます。茎は上部のほうでよく枝分かれして、草丈は50cm〜1mくらいになります。葉は2回または3回羽状複葉。1つ1つの小葉は長さ3cm〜5cmくらいの卵形で、縁のギザギザ(鋸歯)は粗めです。

ヤマゼリ Ostericum sieboldiiヤマゼリ Ostericum sieboldii


花期は7月〜10月。枝先から草丈の割には小さめの花序をたくさん出します。花序の形はセリ科の植物によく見られる「複散形花序」です。花は白色の5弁花。花弁の先は内側に向かって小さく折れ曲がっています。ガクは小さくて、先のとがった披針形です。開花前のつぼみの状態がちょっと変わっていて、花弁がクルクルと内側にないたようになっています。雄しべもクルクルの脇に挟まっている感じで、開くとパーンとのびて紫褐色の「葯」が見えます。伸びきった雄しべって結構長いですよね。

果実は長さ4mm程度。ふくらみはありますが、ちょっとつぶれたような卵形〜楕円形。縦に入った「隆起線」がよく目立ちます。

【和名】ヤマゼリ [山芹]
【学名】Ostericum sieboldii
【科名】セリ科 UMBELLIFERAE (APIACEAE)
【撮影日】2005/10/02
【撮影地】東京都八王子市

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2005年10月08日

シュウブンソウ

シュウブンソウ Rhynchospermum verticillatumシュウブンソウ Rhynchospermum verticillatum
折れて少ししおれ気味の枝、天地が逆転しているようだ

シュウブンソウは、本州の関東以西、四国、九州に分布し、山地の林内などに生育する多年草です。キク科ヤブタバコ属に似ている部分がありますが、シュウブンソウ属に分類されています。ふつう開花時には、「根生葉」はなくなっていると思いますが、きっと根生葉を出して越冬するのでしょうね、小さな根生葉が開花個体の株元に見られました。すでに来年度や越冬の準備が進んでいるようです。

茎は初めはまっすぐにのび、高さ50cm〜1mほどになります。そして、その先は横に数本枝をのばします。葉の形などは違いますが、その枝振りというか草姿は、ちょっと「ヤブタバコ」に似ています。ヤブタバコはたくさんの枝を出しますが、シュウブンソウの場合は2本〜4本といったところです。

葉は互生。長さ10cm前後、幅2cmくらいの細長い長楕円形で、先はとがっています。葉先から半分くらいまでの部分の縁にはやや不明瞭な感じですが、ウネウネと波状の鋸歯(ギザギザ)があります。残りの半分には鋸歯はありません。表面は濃い暗めの緑色、両面ともに毛が生えています。

シュウブンソウ Rhynchospermum verticillatumシュウブンソウ Rhynchospermum verticillatum


花期は8月〜10月。横に伸びた枝の葉の脇(葉腋)に、目立たない頭花をほとんど下向きにつけます。一番上の2枚の写真の個体は、横に長く伸びた枝が、折れて葉はしおれかけていました。花が茎よりも上に出ていますが、この茎の場合は折れたことで、上下が逆転してしまっているようでした。

頭花は短い柄の先につき、色は淡い黄緑色です。直径は5mm程度のもの。パッと見には、ふつうだったら花びらに見える「舌状花」がないように感じますが、周辺部分には小さいながらもちゃんと白っぽい舌状花があります。しかも2列に並んでいます。よく似た雰囲気のヤブタバコ属の植物の場合は、この舌状花がなくて「筒状花(管状花)」のみという点が大きく違っています。

シュウブンソウの総苞の部分は、幅が広く長さの短い小さいお椀形、長さは2mm〜3mm。そこに並ぶ「総苞片」は楕円形です。

また、ヤブタバコの仲間の果実は、粘液を出して動物の体などにくっついて運ばれる「ひっつきむし」ですが、シュウブンソウの果実は、ネバネバを出さずふつうはくっつきません。ちなみにシュウブンソウという名前は、秋分の日ごろに花を咲かせるところからきているそうです。ヒガンバナと同じような名前の由来ですが、見た目は実に対照的ですね。

【和名】シュウブンソウ [秋分草]
【学名】Rhynchospermum verticillatum
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/10/02
【撮影地】東京都八王子市

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2005年10月07日

ミヤマタニソバ

ミヤマタニソバ Persicaria debilisミヤマタニソバ Persicaria debilis


ミヤマタニソバは、本州、四国、九州に分布し、山地のやや湿り気の多い場所や林内などに生育する一年草です。草丈は10cm〜30cmくらいにまでなります。丈は低めの割にはよく枝分かれします。茎は赤みを帯びることも多く、節には下向きのトゲがあります。といっても、この写真ではよくわからないのですけど。

葉は互生。茎の下の方につく葉には長い葉柄がありますが、上部の葉ではしだいに短くなります。葉の形は三角形で、長さは2cm〜5cmほど、質は薄めです。ママコノシリヌグイやミゾソバに似ています。その2種と比べると幅が広めで。先が細長くのびて尾状になることが多いです。ママコノシリヌグイの三角形はより二等辺三角形っぽいですが、ミヤマタニソバの方はより正三角形に近い感じがします。

縁にギザギザはなく全縁ですが、短毛が生えています。両面ともに細かい毛があって、表面にはたいてい「八」の字型の黒っぽい斑紋がぼんやりと入っています。また、「葉鞘」の縁の部分は緑色になってちょっとはりだしていることもあります。といっても、ママコノシリヌグイほどは目立ちません。

ミヤマタニソバ Persicaria debilis


花期は8月〜10月。茎の上部の葉の脇から短い二又状の柄をのばして、小さな花が数個つきます。花柄は細いですが、そこにもトゲがあります。色はほぼ白色ですが、先が淡い紅色、基部が白色です。花被(ガク)は長さ3mm程度で、ふつうは5つに裂けています。

ママコノシリヌグイやミゾソバ、アキノウナギツカミのようにコンペイトウ状にはならず、2つ3つ、ポツポツと葉の上にのっている感じ。

【和名】ミヤマタニソバ [深山谷蕎麦]
【学名】Persicaria debilis (Polygonum debile
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2005/10/02、2004/09/16
【撮影地】東京都八王子市、山梨県山中湖村

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2005年10月06日

アキノウナギツカミ

アキノウナギツカミ Persicaria sagittata var. sibirica


アキノウナギツカミは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野のやや湿り気のある場所に生育する一年草です。草丈は50cm〜1mほどになります。「アキノウナギツカミ」という何ともインパクトのある名前は、茎にたくさんトゲがあって、ヌルヌルの「ウナギ」でもつかめそうだということからきているそうです。

タデ科イヌタデ属またはタデ属に分類され、小さな花が集まって「コンペイトウ」のように見える花の1つ。他には「ミゾソバ」や「ママコノシリヌグイ」があります。そしてどれも茎には下向きのトゲが生えています。よく似ているので、わかりやすい同定のポイントは葉の形ではないでしょうか。

アキノウナギツカミは茎をはさんだ細長い葉、ミゾソバは輪郭に丸みのある牛の顔みたいな形、ママコノシリヌグイは輪郭がまっすぐな感じの三角形。とまあ、3種類しかないならこんな感じでいいかもですが、この仲間、他にも「ヤノネグサ」とか「〜ウナギツカミ」とかいろいろあるので、ことはそう単純ではないのですよね。それはそうとして、まずは最もふつうに見られるこの3種をおさえるとよいと思います。

アキノウナギツカミの葉は互生、長い披針形で先はとがり、つけ根は矢じりのような形になって、茎を挟み込むような状態でついています。長さは5cm〜10cmほどです。葉の付け根の「托葉鞘」は、1cmほどの筒形です。

花期は7月〜10月。ヒョロリと伸びた茎の先に10個ほど小さな花がかたまってつきます。花被(ガク)は淡い紅紫色で、5つに裂けています。付け根の方はちょっと白っぽい。こういう点もミゾソバやママコノシリヌグイとよく似ていますね。

花が終わったあとの果実の時期にも花被が残って「そう果」を包み込んでいます。花被の色はより開花しているときよりも濃くなる感じ。

【和名】アキノウナギツカミ [秋の鰻攫]
【学名】Persicaria sagittata var. sibirica
(Polygonum sieboldii)
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2004/09/23
【撮影地】山梨県牧丘町

■パッと見の全体像→アキノウナギツカミ(JPG画像のみ別窓、43KB)

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2005年10月01日

ヤブマオ

ヤブマオ Boehmeria longispica


ヤブマオは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の草地や林縁部などにふつうに見られる多年草です。茎は枝分かれせず、草丈は1m〜1.2mほどにもなります。大きめの草本です。

ヤブマオは、イラクサ科カラムシ属の植物ですが、この仲間、結構種類が多くて、それによく似ています。葉の大きなタイプだと、ヤブマオ、クサマオ(カラムシ)、メヤブマオが代表的だと思いますが、中でもヤブマオは葉が分厚くてより豪壮な感じになります。ただし、ヤブマオと一口にいっても、変異が多くて、いくつか種内分類群もあるほか、種は別でも「〜ヤブマオ」という名前のものもたくさんあったりします。筆者にとってはまだ見たことのない種も多いですが、今回はもっともふつうに見られる「ヤブマオ」についてです。

ヤブマオ Boehmeria longispica


葉は対生。長さ10cm〜15cm、幅の広い卵形〜卵状の楕円形です。先の方は尾状にとがっています。こんなふうに言葉で書いているとそんなに大きな感じもしませんが、実物はかなり立派な葉だなぁという印象です。わたしの掌より大きいものも。葉柄も長めで葉はほとんど水平に広がり、茎から前後左右にはりだして、実際の草丈以上に大きく豪快に見えます。斜面に生えているものなどは、横たわってきてすごい状態です。

縁のギザギザ(鋸歯)は、鋭くてはっきりと入ります。葉先にいくほど粗めの鋸歯になります。まら、葉先の方が重鋸歯になることも。質は厚めでちょっと硬い感じがします。表面はちょっとザラザラ、葉脈が目立ちシワシワした感じです。葉柄は赤みを帯びることもあります。よく似た「オニヤブマオ (ニオウヤブマオ Boehmeria holosericea)」は、縁の鋸歯が「重鋸歯」になることがなく、葉の裏面にビロード状に毛が密生します。

今回の写真の場合は、葉の縁の鋸歯は「単鋸歯」でしたが、ギザギザはシャープで、葉の裏の毛がビロード状ではなく、短毛が生えている状態だったので、「ヤブマオ」としています。

ヤブマオ Boehmeria longispicaヤブマオ Boehmeria longispica


花期は8月〜10月。雄花序と雌花序が同じ株につく、「雌雄同株」で、だいたい茎の上部に雌花序、下部に雄花序がつきます。雌花は球状に集まって、いがぐりのような塊になります。それが穂状にたくさんついています。華やかさはないし地味なものですが、花の最盛期には穂が白くて、結構きれいなものです。また、学名の「longispica」は、「長い+穂状花序」という意味です。

【和名】ヤブマオ [藪苧麻]
【学名】Boehmeria longispica
(Boehmeria japonica var. longispica)
【科名】イラクサ科 URTICACEAE
【撮影日】2005/09/19
【撮影地】東京都日野市

■当ブログ内関連記事
メヤブマオ
クサマオ
→クサマオ(No.2)

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2005年09月14日

キオン

キオン Senecio nemorensis


キオンは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地帯〜高山帯の草地に生育する多年草です。日本以外でも東アジア〜ヨーロッパにかけて広く分布しています。キク科キオン属の植物で、キオン属は学名で書くと「Senecio」、つまり「セネキオ(属)」です。同属の植物には、例えば「シロタエギク (Senecio bicolor subsp. cineraria)」のように園芸植物として知られているものもあります。

草丈は30cm〜1mほど。茎や葉の付け根には細かい毛があって、しばしば紫色を帯びています。高山帯のものはガッシリしまった感じですが、山地帯のものは丈がのびて、同じものには見えなかったりします。

葉は互生。長さ5cm〜15cmほどの披針形で、先はとがっています。花時期の葉の質はちょっと硬そう。縁にはやや浅めの鋸歯(ギザギザ)があります。鋸歯の先はとがってごく小さな突起状、パッと見にはとても細かいギザギザです。葉柄ははっきりした感じではなくて、葉の基部では葉身が流れるように細くなってつながっています。茎の上部ほど葉柄らしき部分は短くなり、無柄になります。高山帯の場合は、茎を抱きこむような状態になることもあります。

同じ属の「ハンゴンソウ」とはよく似ていますが、キオンはハンゴンソウに比べると、全体に小さく華奢です。葉の形も違っています。ハンゴンソウの葉は羽状に3つ〜7つに深く切れ込んで、草丈も人の背丈を越えてしまうほどにもなる、豪快な植物です。

キオン Senecio nemorensisキオン Senecio nemorensis


花期は8月〜9月。茎の上部で枝分かれして、たくさんの頭花を上向きにつけます。花序の形は散房状。頭花は直径2cm、1つ1つの頭花につく「花びら(舌状花)」は5枚〜6枚程度で、周辺部に1列並んでつきます。中央の筒状花(管状花)は10個ほどあって、こちらは両性花です。舌状花は雌花。舌状花、筒状花ともに黄色。「総苞」は淡い緑色、細長い線形の「総苞片」が1列にならんで、基部には数枚の線形の「苞」がなんとも頼りなくついています。花後にできる果実は「そう果」で、くすんだ白色の「冠毛(綿毛)」があります。

キオンは漢字で書くと「黄苑」で、紫の花が咲く「シオン(紫苑 Aster tataricus)」に対しての名前だそうです。鮮やかな黄色の花がたくさん群がるように咲くところからついたんですね。また、学名の「Senecio」は、「senex (老人)」にという意味のラテン語に由来し、同属の種の多くに白っぽい毛や冠毛があるところからきているそうです。そして種小名の「nemorensis」には「森に生ずる」という意味があります。高山帯の場合は森ってわけではないですけどね。

筆者は、なかなか山に行くことができなくて、今回は久々に山地帯まで行くことができたのですが、目的地につくと同時に、雨が降り出してしまいました。とても写真撮影どころではなく、冷たい雨に打たれて、あっという間に体調がおかしくなって、ただ来た道を車で引き返し、その間ずっと腹痛に苦しんで。。。雨と寒さのせい?それともお菓子の種なし乾燥梅がいけなかったのだろうか。

【和名】キオン [黄苑]
【別名】ヒゴオミナエシ
【学名】Senecio nemorensis
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/09/11
【撮影地】山梨県塩山市

■Trackback
→「松本市の最近の・・・」さんの記事「キオン(黄苑)」
美しく咲くキオンの花が見られます。

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2005年09月05日

ママコノシリヌグイ

ママコノシリヌグイ Persicaria senticosa


ママコノシリヌグイは、日本全土に分布し、山野の道ばたや林縁部などのやや湿り気の多いところに生育する一年草です。草丈は1mほど。タデ科タデ属(Polygonum)、またはイヌタデ属(Persicaria)に分類されています。また、花や葉の形など、「ソバ」に似ているところもあるので、「トゲソバ」の別名もあります。

茎や葉にトゲがあって、これがあるのに気づかずに草むらに入ると、ガリッと切り傷を作ってしまいます。茎のトゲは下向きですから要注意。茎はトゲがあることによって、よく他のものに寄りかかってのびています。よく枝分かれもするので、この植物の生育地は何がどうなっているのかわかんないような草やぶになります。名前の由来はこのトゲによるものですが、なかなかこんな名前は思いつかないですよね。実際にそのように利用したわけではないでしょうけど。使う方も痛そうだし。ちなみに、学名の種小名「senticosa」には、「トゲの密生した」という意味があります。

ママコノシリヌグイ Persicaria senticosaママコノシリヌグイ Persicaria senticosa


葉は互生。長さ5cm前後の三角形。先はとがっています。よく似た種の「アキノウナギツカミ」の場合は、葉の形はつけ根がやじり形になった細長い披針形です。葉の質は薄く、緑色で、しばしば赤みを帯びています。茎や葉柄も赤みを帯びることが多く、葉柄や葉の裏面の脈上にもトゲがあります。

タデ科の植物には、「托葉」が鞘状になった「托葉鞘(鞘状托葉)」という葉の付け根の付属物があります。托葉鞘は茎を抱き込むようについていますが、ママコノシリヌグイの場合は、上部は緑色の葉状で、腎円形をしています。その部分は幅は1cmくらい、葉の付け根にある丸っこいものがそれです。アキノウナギツカミの場合は托葉鞘が葉状にならず、「イヌタデ」などと似たような筒状、かなり長い筒です。

花期は5月〜10月。枝先に10個前後集まってつき、「金平糖」のような状態になります。花序の下の部分にも何か生えているのですが、それはトゲではなく、「腺毛」です。花被は5つ、先の方は紅紫色、下の方は白色です。1つ1つの裂片は楕円形で、長さは3mm〜5mm程度。「イシミカワ」だと花被片は淡い緑色で、ごくわずかにしか花が開きませんが、ママコノシリヌグイはそれなりに花被が開きます。花被は花が終わった後、閉じて果実を包み込みます。果実は「そう果」で長さは3mm。黒色で丸みのある3稜形です。

【和名】ママコノシリヌグイ [継子の尻拭い]
【別名】トゲソバ
【学名】Persicaria senticosa (Polygonum senticosum)
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2005/08/17
【撮影地】東京都日野市

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2005年09月03日

ルコウソウ

ルコウソウ Ipomoea quamoclit


ルコウソウは、熱帯アメリカ原産のつる性の一年草です。以前はヒルガオ科ルコウソウ属(Quamoclit)に分類されていましたが、現在はサツマイモ属(イポメア属 Ipomoea)に分類されています。日本に入ってきたのは江戸時代初期のことで、現在でも観賞用に栽培されるほか、時おり人家周辺で逃げ出しています。茎はよく枝分かれして、他の草などに巻きつきます。長さは4m〜5mにもなります。

葉は互生。輪郭は長楕円形ですが、中肋の部分まで深く羽状に切れ込んで、裂片は糸状。羽毛のような魚の骨のような状態です。葉柄はほとんどありません。Quamoclit属としたときの種小名「pennata」は「羽状の」という意味です。朱色の花をつける「マルバルコウ (Ipomoea coccinea)」の葉は先のとがったハート形。ルコウソウとマルバルコウの交配によってできた「モミジルコウ(ハゴロモルコウソウ Ipomoea x sloteri)」は、ギザギザと掌状に切れ込んだ葉です。

花期は8月〜10月。葉の脇(葉腋)からヒョロリと細長い花序を出して、先に1つか2つ花をつけます。花冠は「高杯形」で、下部は細長い筒状で、上部は5つに裂け、直径2cm〜3cmくらいの星型に開きます。色は濃い紅色、白色、桃色。マルバルコウの場合は花冠の先は五角形に見えます。雄しべは5本、雌しべは1本。花冠より外に突き出ます。

【和名】ルコウソウ [褸紅草]
【学名】Ipomoea quamoclit (Quamoclit pennata)
【科名】ヒルガオ科 CONVOLVULACEAE
【撮影日】2005/08/17
【撮影地】東京都日野市

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マルバルコウ
モミジルコウ

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2005年08月29日

トキンソウ

トキンソウ Centipeda minima
畑地ではよく見られる

トキンソウは、日本全土に分布し、畑や道ばた、庭などにふつうに生育する一年草です。日なたにもありますが、日陰にも多く見られます。日本以外にも、朝鮮半島、中国、インドやオーストラリアにいたるまで温帯〜熱帯に広く分布し、北米に帰化しているといいます。キク科トキンソウ属の植物ですが、これが本当にキク科の植物なのかと、疑ってしまいたくなるほど地味で目立たない小型の植物です。茎はよく枝分れして、多くの場合、四方八方に地面をはって伸びます。茎の長さはだいたい20cmくらいになりますが、地面に接したところから根を下ろします。

葉は互生。幅の細い楕円形〜さじ状のくさび形。長さは7mm〜2cm、幅は5mm前後と小さなものです。葉の先の方には3つ〜5つのギザギザ(鋸歯)があります。小さいわりには質は厚め、やや多肉質です。

トキンソウ Centipeda minima
アスファルトの隙間にも

花期は7月〜10月。葉の脇(葉腋)に直径3mm〜4mmの球形の「頭花」をつけます。頭花はたくさんの「小花」が集まってできた集合花です。その小花のうち、ふつう花びらに見えているのは「舌状花」ですが、トキンソウの頭花には舌状花がありません。すべて「筒状花(管状花)」殻できています。

開花が近くなってきた蕾を見ると、赤紫色をしています。この部分の筒状花は「両性花」で、10個前後あります。両性花の花冠は4つに裂けます。その両性花の周辺には、より小さくて緑色の「雌花」がたくさんつきます。

両性花、雌花ともに結実します。果実(そう果)は、とても小さくて長さは1mmちょっと。「トキンソウ」という名前は、成熟した頭花を押すと黄色の「そう果」が出てくるので、「金を吐く草」ということからきているのだそうです。

【和名】トキンソウ [吐金草]
【別名】タネヒリグサ、ハナヒリグサ
【学名】Centipeda minima
【科名】キク科 COMPOSITAE (ASTERACEAE)
【撮影日】2005/08/29
【撮影地】東京都日野市

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2005年08月26日

ノウゼンカズラ

ノウゼンカズラ Campsis grandiflora


ノウゼンカズラは、中国原産の落葉つる性の低木です。中国では古くから薬草として用いられてきたそうで、日本に入ってきたのは平安時代のことで、以来観賞用に栽培されてきました。中国名で「凌霄花」。霄というのは「空」という意味で、天空を凌ぐほどに高くのびるために「凌霄」と名付けられたのだとか。日本ではこれを「りょうしょう」または、「のしょう」と読んでいたものが、「ノウゼン」に変化したとも言われています。

茎は長く伸び「気根(吸着根)」を出して他の植物や人工物などに吸着して、高く伸びていきます。高さは2m〜5mくらい。場合によっては10m近いことも。

ノウゼンカズラ Campsis grandifloraノウゼンカズラ Campsis grandiflora


ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属。同じ属の植物は、世界に650種ほど知られていて、他に北米原産の「アメリカノウゼンカズラ(Campsis radicans)」などがあり、ノウゼンカズラとの交雑種も栽培されています。アメリカノウゼンカズラは、ノウゼンカズラとよく似ていますが、全体的に小型です。花序は短く、花は小さくて裂片はあまり平開せず、より花筒の部分が長くなっています。花の色はノウゼンカズラより濃いめのことが多く、濃橙色や黄色などです。

ちなみに、アメリカノウゼンカズラの種小名「radicans」には、「根を生ずる」という意味があり、ノウゼンカズラの種小名「grandiflora」には、「大きい花の」という意味があります。

葉は対生。3対〜6対の小葉からなる「奇数羽状複葉」です。1つ1つの小葉は長卵形、先は細長くとがって縁には粗めのギザギザ(鋸歯)があります。無毛で表面にはやや光沢があります。

ノウゼンカズラ Campsis grandiflora


花期は6月〜9月。枝先の円錐花序にたくさんの花を咲かせます。花は花序に対生してつき、花冠は直径6cm〜7cmほどのラッパ形。色は橙黄色。先は5つに裂けて、平たく開きます。裂片は丸く大きい。ガクも5つに裂けます。ガク裂片の先はシャープでとがっています。

豊富に蜜を出すらしく、たくさんのアリが群がっていることがあります。もう本当、気持ちの悪くなるくらいです。どんな様子なのか、下記リンクから写真が見られます。見ても大丈夫な方だけクリックしてください。

アリまみれのノウゼンカズラ(JPG画像のみ別窓、36KB)

【和名】ノウゼンカズラ [凌霄花]
【英名】trumpet creeper
【学名】Campsis grandiflora
【科名】ノウゼンカズラ科 BIGNONIACEAE
【撮影日】2005/08/17
【撮影地】東京都日野市

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