2005年08月19日

ガンコウラン

ガンコウラン Empetrum nigrum var. japonicum


ガンコウランは、日本では北海道、本州中部以北の高山に分布し、亜高山帯〜高山帯のハイマツ林の縁や雪田周辺の砂礫地などに生育する常緑矮性低木です。茎はよく枝分かれして地面をはうようにマット状に広がって、よく群生しています。茎はやや斜めに伸び、高さは10cm〜20cmほどです。

名前に「ラン」とつきますが、ラン科の植物ではなく、ガンコウラン科ガンコウラン属の木本です。同じ属の植物は、ヨーロッパや北アメリカなどに分布する「セイヨウガンコウラン (Empetrum nigrum var. nigrum)」と、もう1種が南アメリカに分布しているのだとか。日本ではガンコウラン1種のみ生育しています。属の学名「Empetrum」は、ギリシャの古名から来ているそうで、「岩の中」という意味があります。きっと、岩場の間に生えるとかそういうことなのではないかと。また、種小名の「nigrum」には、「黒色の」という意味があります。

葉は密に互生し、長さ5mm前後、幅1mmほどの線形です。分厚くて縁は裏面に向かって巻き込んでいます。表面には光沢があります。葉だけ見ると、ツツジ科の「ミネズオウ (Loiseleuria procumbens)」や「ツガザクラ (Phyllodoce nipponica)」などに似ているところもあります。

ガンコウラン Empetrum nigrum var. japonicum


花期は5月〜6月。雄花と雌花が別の個体につく「雌雄異株」。花は前年度にのびた枝の葉の脇(葉腋)に1つずつつきます。直径4mm〜5mm程度の小さな花です。花弁とガク片は3つずつ。雄花の雄しべは3つ。というように「3」が基本となった3数性。3つの雄しべは長くて、葯、花糸ともに濃く暗い紅色。雌花の中央には6つ〜9つに裂けて扇のように広がった雌しべの柱頭があります。柱頭は濃い紫色。子房は上位で、6〜9室からなっています。

果実は球形の「核果」で、直径は8mmくらい、熟すと黒紫色になります。高山植物の中では花期が早めで、ほかの多くの高山植物の花が最盛期となり、夏山登山のピークにもなるころにはだいたい熟した果実が見られます。8月下旬ともなれば、よくよく見ないと花の残りも気づかないし、果実もちょっとまばら。高山に暮らす動物たちの食料になったのでしょうね、きっと。

【和名】ガンコウラン [岩高蘭]
【学名】Empetrum nigrum var. japonicum
【科名】ガンコウラン科 EMPETRACEAE
【撮影日】2005/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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2005年08月15日

ミヤマキンバイ

ミヤマキンバイ Potentilla matsumurae


ミヤマキンバイは、千島やサハリン、日本では北海道、本州中部以北に分布し、高山帯の草地や砂礫地に生育する多年草です。草丈は数cm〜20cm。バラ科キジムシロ属(Potentilla)の植物で、ミヤマキンバイは同属の中では走出枝は出さないタイプ。茎や葉柄が赤みを帯びることが多いです。秋には紅葉して美しいものです。

葉はふつうは、3つの小葉からなる3出複葉です。両面とも緑色で白色にならず、表面にはテカテカとした光沢があります。よく似た種の「ウラジロキンバイ (Potentilla nivea)」の場合は葉の裏に白い綿毛が密生して真っ白です。1つ1つの小葉は倒卵形で、1.5cm〜4cm。小葉の上部の縁にはギザギザと大きめの「鋸歯」が入ります。葉の裏や縁には褐色の長い毛があります。特に光をあびると銀色に光って、小さくても目立つのです。

この鋸歯の入り方や小葉の毛の状態にはいろいろと変異があって、「ユウバリキンバイ (Potentilla matsumurae var. yuparensis)」や「アポイキンバイ (Potentilla matsumurae var. apoiensis)」などは、一部の蛇紋岩地などに特有の種内分類群として取り扱われています。

根生葉には長い葉柄があって、根もとから何枚もそう生します。この根生葉のほかに茎葉も1枚〜2枚ありますが、根生葉に比べると小さなもので、葉柄はほとんどないようなものです。根生葉の小葉の鋸歯、その先に注目すると、先端が少し赤くなっています。ここには「腺」があるようです。

ミヤマキンバイ Potentilla matsumurae


花期は7月〜8月。茎の上部に数個花をつけます。花は黄色の5弁花で、直径は1.5cm〜2cm。花弁は幅の広い倒卵形で、先が少しへこんでいます。雄しべは20本ほど。ガク片にも長い毛が生えています。この仲間にはガク片と互生する「副ガク片」という部分があります。ミヤマキンバイでは、その副ガク片はガク片と同じ長さで、やや幅が広めです。

【和名】ミヤマキンバイ [深山金梅]
【別名】オクミヤマキンバイ
【学名】Potentilla matsumurae
【科名】バラ科 ROSACEAE
【撮影日】2004/08/27
【撮影地】長野県長谷村

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2005年08月05日

エビヅル

エビヅル Vitis ficifoliaエビヅル Vitis ficifolia


エビヅルは、本州、四国、九州に分布し、山野にふつうに見られる落葉つる性の木本です。ブドウ科ブドウ属の植物で、よく似た「ヤマブドウ (Vitis coignetiae)」より葉も花序も小さく、全体に小型です。しばしば若い枝や葉柄は赤みを帯びていて、白い毛が密生しています。

巻きひげが葉と対生してつき、他の植物などにからみつきます。葉はふつう3つ〜5つに裂けます。裂けかたは浅かったり葉身の半分近くまで裂けたりです。基部は深い心形。縁のギザギザ(鋸歯)は浅めでちょっと粗く入ります。長さは5cm〜15cm。ヤマブドウだと8cm〜25cm。ヤマブドウの葉の裏の毛はやや少なめですが、エビヅルの葉の裏面には白色か淡い赤褐色の綿毛が密生しています。表面はやや光沢があって質は厚めです。

名前は、この葉の裏面に毛が密生した様子をエビの色に見立てたとか。また、果実が熟すと黒くなりますが、その色に似た色を「葡萄(えび)色」というのだそうです。そして、エビというのが「ブドウ」の古い呼び名だったとか。

エビヅル Vitis ficifoliaエビヅル Vitis ficifolia


花期は6月〜8月。葉と対生して円錐形の花序が出て、黄緑色の小さな花をたくさんつけます。花序の長さは6cm〜12cm、花序の柄にはしばしば短い巻きひげが見られます。雄花と雌花が別の個体につく「雌雄異株」で、雄花も雌花も黄緑色。5つの花弁があり先端がくっついていて、ふつう開花するとすぐにくっついたまま落ちてしまいます。地味な花序をよく見ると、雄しべが5本あって黄色い「葯」が目立ちます。ガクは杯形。ここでは雌花といっていますが、雌花にも雄しべが5本あって、中央には雌しべが1本。「両性花」といった方がよいのかも。

果実は球形の「液果」で、直径5mm〜6mm。秋に黒紫色に熟した果実は、甘酸っぱくて食べられます。でも、筆者が試したのはちょっと酸っぱめでした。

【和名】エビヅル [海老蔓、蝦蔓]
【別名】エビカズラ
【学名】Vitis ficifolia
【科名】ブドウ科 VITACEAE
【撮影日】2005/07/08、2005/08/03
【撮影地】東京都日野市

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2005年08月04日

シバ

シバ Zoysia japonica


シバは、日本全土に分布し、山野の日当たりのよい草地などにふつうに見られる多年草です。イネ科シバ属の植物。庭などによく用いられるのは、同じ属では「コウシュンシバ (Zoysia matrella)」や「コウライシバ (Zoysia pacifica)」などです。また、「シバ」という名前は、「細葉」、あるいは「繁葉」という意味からきているといわれています。

茎は地面を長〜くはって、よく分枝もします。そして地上茎の節から「ひげ根」を下ろし葉が上にはそう生します。葉は線形で先はとがっていて、基部の方には毛があります。長さは2cm〜10cm、幅は3mm〜4mm。

シバ Zoysia japonicaシバ Zoysia japonica


花期は5月〜6月。花茎は節からまっすぐのびます。花茎の長さは10cm〜20cmくらいで、そのうち上部の花穂の部分は3cm〜5cmで、円柱形というか紡錘形というか棒みたいな状態です。花穂にはたくさんの「小穂(しょうすい)」というイネ科の花序がつきます。小穂は濃い赤褐色で、花穂は黒っぽく見えます。1つ1つの小穂の長さは3mm程度の小さなもので、花穂に密着しています。

1つの小穂には1つの小花があって、それが「苞頴(ほうえい)」に包まれています。イネ科では苞頴が2つあるのがふつうですが、シバでは下の「第1苞頴」が退化しているので、小花は「第2苞頴」に包まれています。花穂を見たときに、光沢のある革質のものが、その「第2苞頴」という部分です。雌しべが雄しべより先に成熟して、苞頴の外にのびてきます。雄しべが成熟するころには雌しべの先はその役目を終えてしおれてきます。

シバ Zoysia japonicaシバ Zoysia japonica


地面をほふくする茎は、乾燥してかたくなった地面でも、コンクリートの上でもお構いなしにのびていきます。さすがにコンクリート上にはひげ根は出ても中にのばすことはできないでしょうね。でも、隙間に土壌があったら可能かもしれませんね。

【和名】シバ [芝]
【別名】ノシバ[野芝]
【学名】Zoysia japonica
【科名】イネ科 POACEAE
【撮影日】2005/07/25、2004/05/01
【撮影地】東京都日野市、八王子市

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Zoysia japonica
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2005年07月27日

ノカンゾウ

ノカンゾウ Hemerocallis fulva var. disticha
2005/02/22 若い芽

ノカンゾウは、本州、四国、九州、沖縄に分布し、低地の草地や田のあぜ、溝の縁や湿地などのやや湿り気の多い場所に生える多年草です。ユリ科ワスレグサ属の植物で、同じ属には「ヤブカンゾウ」、「ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)」、「ユウスゲ」などがあります。特に近い環境に生えるヤブカンゾウはボッテリとした八重咲きですが、ノカンゾウは一重でシャープな印象。真正面から見るとヒトデみたいな感じ。

葉は細長い広線形で、長さは40cm〜70cm、幅は1.5cmくらい。付け根の方では2列になって、互いに抱き合うような形になっています。若い葉は主脈の部分で2つ折り、大きく生長した葉でも主脈が少しへこんでいます。長くなるとだらんと垂れます。葉に毛はありません。若い葉は食用になります。

ノカンゾウ Hemerocallis fulva var. disticha
2005/07/27 花期の葉

花期は7月〜8月。花茎はまっすぐに伸び、高さは70cm〜90cmほどで、上部の花序に数個〜10個くらいの花を次々開きます。ふつう上部では2つに分かれて、Y字型になります。そして上部には小さな「苞」があります。

花は直径7cm。花被片は6つあります。付け根の方は筒状にくっついて、その花筒の長さは3cm前後。5mmくらいの短い花柄を持ちます。花色は橙赤色〜赤褐色。1つ1つの花被片の中心部には黄色っぽいすじ状の模様が1本入ります。雄しべは6本、雌しべは1本で雄しべより長く突き出します。

ノカンゾウ Hemerocallis fulva var. disticha
2005/06/24
ノカンゾウ Hemerocallis fulva var. disticha
2005/07/27
花の終わった花序


朝開いて夕方しぼむ一日花。属の学名「Hemerocallis」には、「hemera(一日)+callos(美)」という意味があります。ふつうはほとんど結実しないので、果実にはなかなかお目にかかれません。

【和名】ノカンゾウ [野萱草]
【学名】Hemerocallis fulva var. disticha
【科名】ユリ科 LILIACEAE
【撮影日】2005/07/27、2005/06/24、2005/02/22
【撮影地】東京都日野市

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2005年07月05日

ヒロハノレンリソウ

ヒロハノレンリソウ Lathyrus latifolius


ヒロハノレンリソウは、ヨーロッパ原産のつる性の多年草です。世界中で広く観賞用に栽培されています。また、それが野生化したものも多く見られるといいます。日本でも大正時代に観賞用に導入された後、現在でもよく栽培されています。そして、同様に、栽培されていたものが逃げ出して野生化していることもあります。

花も見どころですが、この植物の大きな特徴は、茎や葉ではないでしょうか。茎は平べったくて、両側に幅の広めの「翼」があります。これを見るととても強靭な印象を受けます。全体に毛はありません。よく分枝して巻きひげで絡みつくので、人の手を離れた場所では、もうグチャグチャです。高さは絡みつくのもがあれば、人の背丈を越えて2m〜3mになっていることもあります。

葉は2枚の「小葉」からなる「2出複葉」。そして、その2出複葉の先端部からは「巻きひげ」がでます。葉柄の部分にも「翼」があります。小葉の長さは5cm〜10cm程度の長楕円形。基部には、一対の「托葉」が茎をはさむような状態でついています。

ヒロハノレンリソウは、シュッコンスイートピーとも呼ばれる、マメ科レンリソウ属(Lathyrus)の植物です。同じ属の日本の在来種には、「イタチササゲ」や「レンリソウ」などがあります。また、伊吹山で見られる「キバナノレンリソウ」も同じ属の植物で、こちらも先端に巻きひげのある2出複葉で、一対の托葉が発達しています。

ヒロハノレンリソウ Lathyrus latifoliusヒロハノレンリソウ Lathyrus latifolius


花期は6月〜7月。花序は葉の脇(葉腋)からまっすぐに上に出ます。花序の長さは10cm〜30cm。穂状に花がつきます。花はとても見栄えのするマメ科らしい「蝶形花」。直径は3cmくらい。花色は紅紫色〜白色まで多様なのだそうですが、今回の場所で見られたものは、紅紫色。

蝶の羽のように見える部分は、一番外側に位置する花弁で1枚あり、「旗弁」と呼ばれます。花の中央で前方に突き出した部分では、左右から2枚、下から2枚の花弁が集まっています。左右の2枚は「翼弁」、下側のものは「竜骨弁(または舟弁)」です。ヒロハノレンリソウの場合、「旗弁」が大きくて丸い形でよく目立つので、洋ランの「デンファレ」的な雰囲気もあります。

【和名】ヒロハノレンリソウ [広葉の連理草]
【別名】シュッコンスイートピー
【学名】Lathyrus latifolius
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE (FABACEAE)
【撮影日】2005/07/05
【撮影地】東京都日野市

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→「ネコな日々」さんの記事「ヒロハノレンリソウ
花、茎、葉、巻きひげのようすがよくわかります。

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2005年07月04日

トサミズキ

トサミズキ Corylopsis spicata


トサミズキは、四国高知県の一部、蛇紋岩地や石灰岩地に生育する落葉低木です。春を告げる花の1つとして人気が高く、庭木や盆栽としてよく植えられています。高さは3m前後。樹形は株立ち状、写真の個体では細かい枝があまり出ていなくてよくわかりませんが、ふつうは枝はジグザグ状にまがります。樹皮は灰褐色で滑らかなもの。

葉は互生。卵を逆さにしたような幅の広い卵形。先端は少しとがる感じがあります。付け根の方はやや浅めに湾入した心形。葉の長さは5cm〜10cmくらいです。マンサク科の植物だけあって、葉脈が深く刻まれてよく目立ちます。質は分厚くて時期がたつにつれて、しっかりした感じになってきます。縁の鋸歯は波を打つような状態で、鋭いものではないのですが、先端はごく小さな突起状で縁からプツプツ突き出しているような感じです。さらに葉柄や裏面には毛が多く、それが光に照らされると白くて美しかったりします。

トサミズキ Corylopsis spicata


開花しているときには、よく似た「ヒュウガミズキ (Corylopsis pauciflora)」とは1つの花序につく花数の多いことと「ガク片」や「花軸」に毛が多いなどで区別できます。トサミズキだと1つの花序に7個〜10個、ヒュウガミズキだと1個〜3個です。写真は6月半ばの撮影ですので、花はとっくにありませんでした。しかし、すっかり、広がった葉の緑陰には、まだ熟す前の若い果実が見られます。花弁はなくなっていますが、ガク片はこの時点ではまだ残っています。この時期になっても、花柄だった部分には毛があって、果実も5つできていました。

花期は3月〜4月。葉が展開するよりも先に、穂状花序を下向きに垂らします。色は早春の花らしい淡い黄色。5枚の花弁はヘラ形、5本の雄しべはふつう花弁より短くて、中をのぞくと、先端の紅色の「葯」が目に入ってきます。花柱は2本あります。

果実は直径1cm程度の「さく果」で、毛が多く、熟すと2つに裂けます。中には黒い種子ができます。果実をよくみると、ツンツンと突き出ているものが見えるのですが、それは雌しべの花柱だった部分です。熟すのは秋。

【和名】トサミズキ [土佐水木]
【学名】Corylopsis spicata
【科名】マンサク科 HAMAMELIDACEAE
【撮影日】2005/06/18
【撮影地】東京都日野市

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2005年06月29日

バイカウツギ

バイカウツギ Philadelphus satsumi


バイカウツギは、本州、四国、九州に分布し、山地に生える落葉低木です。高さは2m程度で、二又状になってよく枝分かれします。樹形は株立ち状。樹皮は灰褐色で、縦にボロボロとはがれます。若い枝は赤褐色で白っぽい毛がわずかにあります。

ウツギという名前がついて、同じころ同じように白い花を咲かせる「ウツギ」、「ヒメウツギ」、「マルバウツギ」と科は同じですが、属は違います。ウツギなどはウツギ属(Deutzia)ですが、バイカウツギはバイカウツギ属(Philadelphus)です。

葉は対生。少し幅が広めの卵形。先は細長くとがります。長さは5cm〜10cm。裏面はちょっと白っぽい。縁のギザギザ(鋸歯)は低いものですが、先が突起のようになっていて、葉の縁からツンツン突き出ています。鋸歯も独特ですが、葉脈の入り方も特徴的。葉の中央を走る主脈のほかに、それをはさんで左右に1本〜2本の長い脈があります。葉柄は5mmくらいの比較的短いもの。

バイカウツギ Philadelphus satsumi


花期は6月。枝先に数個つきます。直径3cmくらいの白色の4弁花。ウツギ属だと花弁は5枚です。バイカウツギは4弁花ですが、「梅」に似ているということから「梅花空木」という名前がついているそうです。花時期に葉もあるし、似ているという感じはあまりしないのですが、ウツギなどに比べると花が大きくてやや平開気味に咲くからでしょうかね。

【和名】バイカウツギ [梅花空木]
【別名】サツマウツギ
【学名】Philadelphus satsumi
【科名】ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE (アジサイ科 HYDRANGEACEAE)
【撮影日】2005/05/29、2004/07/04
【撮影地】神奈川県藤野町、山梨県牧丘町

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2005年06月27日

マツカゼソウ

マツカゼソウ Boenninghausenia albiflora var. japonica


マツカゼソウは、本州、四国、九州に分布し、山地の林内、林縁などに生育する多年草です。しばしば林内で群生します。ミカン科マツカゼソウ属の草本で、葉には「油点」を持ち、独特のにおいがします。草丈は50cm〜80cm。名前は、一説によると、その姿がやさしくさわやかで、趣のあるところから「松風草」とつけられているとか。他にも諸説あるようですが。

葉は3回3出羽状複葉。1つ1つの小さな葉(小葉)は、卵を逆さにしたような形(倒卵形)、長さは1cmほど。ただし、小葉の大きさはいろいろだったりします。だいたいは、付け根の小葉からてっぺんの小葉(頂小葉)へと順に大きくなっていく感じで、頂小葉が一番大きい。小葉は葉の先端に向かって広がるようにつき、質は薄く柔らかいので、ふわ〜っと羽を広げたような印象になります。鋸歯はありませんが、先端が少しだけくぼんでいます。

まったく別の植物ですが、雰囲気はキンポウゲ科の「カラマツソウ」の仲間に似ているかもしれません。でも、葉の質や小葉のつき方、色合いなどマツカゼソウ特有の雰囲気を持っているので、一度、その葉を覚えると、葉だけでもそれとわかりやすいと思います。小葉の付け根は黄緑色っぽく、先の方は青っぽい緑色。葉の裏は白っぽく、油点がポツポツとあります。

葉や茎はふつう無毛。若い枝や若葉に毛があるタイプは、「ケマツカゼソウ (Boenninghausenia albiflora var. albiflora)」といって、中国〜ヒマラヤに分布するとされています。

花期は8月〜10月。枝先の「集散花序」に小さな花を多数パラパラとつけます。花は白色の4弁花。花弁は長い楕円形で、長さ4mmくらい。雄しべは7本〜8本あって、先端の「葯」は黄色、花弁より長く突き出しています。雌しべの形がとても変わっていて、子房には柄があります。子房は緑色で、さらにその先端には細長くて白い花柱がのびています。花が終わりに近づくとより目立つようになります。

果実は長さ3mm程度の4つに分かれた果実、「4分果」です。形は卵形、表面にはツブツブがあります。種子は1つの分果に数個できます。

【和名】マツカゼソウ [松風草]
【学名】Boenninghausenia albiflora var. japonica
【科名】ミカン科 RUTACEAE
【撮影日】2005/06/12
【撮影地】神奈川県津久井町

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オオバアサガラ

オオバアサガラ Pterostyrax hispida


オオバアサガラは、本州、四国、九州に分布し、山地の沢沿いに生育する落葉低木です。エゴノキ科アサガラ属の植物で、高さは10m前後までなります。枝は薄い茶色で柔らかく、材質ももろくて簡単に折れてしまいます。そのため耐久性の必要なものには用いられないとか。しかし、皮をはぐと美しいところから、飾りものなどに利用されています。名前は、皮をむいて乾かしたアサの茎、「麻殻」にたとえてつけられたそうです。

葉は互生。幅の広い楕円形〜よく均整の取れた形です。長さは10cm内外。先端は細長くのびます。縁には低くて細かいギザギザ(鋸歯)があります。花の咲くころの葉は、表面は若々しい緑色で、光沢があり、遠めにも艶やかに光っています。裏面は白っぽく、脈上には長めの毛がたくさん生えています。網目のように細かく入った葉脈は葉の裏面に隆起してよく目だっています。

オオバアサガラ Pterostyrax hispida


花期は6月。枝先から出て垂れ下がる花序にたくさんの白い花をつけます。長さ7mm程度の花冠は5つに深く裂けます。その裂片は細長く線形で雄しべや雌しべより少し短めです。雄しべは10本。雌しべは1本、雄しべよりも雌しべの方がほんの少しだけ長くなっています。ガクはやや細長い釣鐘型で、先の方は5つに浅めに裂けます。

たわわにぶら下がった白い花房の揺れる様子は、とてもさわやかな印象です。ただし、山中に生え、ちょうど花期が梅雨時に重なるため、同じ科の「エゴノキ (Styrax Japonicus)」や「ハクウンボク (Styrax obassia)」の花ほどは、馴染みがないかもしれないですが、梅雨の晴れ間にはぜひ見ておきたい花の1つ。白い小さなが刷毛がブドウの房のようにぶら下がっているのは見ものです。

果実には10個の隆起した部分があって、長さは7mmくらい、熟すのは秋。西日本に分布するよく似た「アサガラ (Pterostyrax corymbosa)」とは、葉が大きい点ともう1つ果実には長い毛が密生するところなどで区別されます。

【和名】オオバアサガラ [大葉麻殻]
【学名】Pterostyrax hispida
【科名】エゴノキ科 STYRACACEAE
【撮影日】2005/06/12
【撮影地】神奈川県津久井町

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2005年06月16日

アワブキ

アワブキ Meliosma myriantha


アワブキは、本州、四国、九州に分布し、山地に生える落葉高木です。高さは8mくらいにまでなります。樹皮はなめらかですが、ブツブツと隆起した「皮目(ひもく)」が目立ちます。

若い枝には褐色の短毛がたくさん生えています。冬芽もまた、褐色の毛におおわれた「芽鱗」のない「裸芽」です。これは、特に冬だけでなく梅雨の今でも、褐色の毛におおわれた裸芽が見られました。

葉は互生。長さ10cm〜25cmの以外に大きな長い倒卵形〜楕円形。先端はキュッととがります。縁のギザギザ(鋸歯)は、低くて先の方だけがツンツンと突き出したような状態です。表面には毛はなく、裏面には毛が生えています。まったく違う植物ですが、「コナラ」の葉のようにたくさんの「側脈」が走っているのが、よく目立ちます。大きいので、コナラというよりは「ホオノキ」の方に少し似ているかもしれません。

アワブキ Meliosma myriantha


花期は、6月〜7月。枝の先の円錐花序に淡い黄白色の花をたくさん咲かせます。花序の長さは20cmくらい、1つ1つの花は直径2mm〜3mmくらいの小さなもの。花弁は5枚、ガク片も5枚、雄しべも5本。ただし、ふつう5本の雄しべのうち2本が完全で、残りは退化しています。これは、同じアワブキ科アワブキ属の「ミヤマハハソ (Meliosma tenuis)」と同様です。

その花の様子がブクブクと泡だっているように見えることで、その名前なのだと思い込んでおりました。そうではなく、名前は、これを燃やすと切り口から泡が出るところからきているのだそうです。

果実(核果)は、秋には赤く熟します。直径4mmくらいの球形です。

【和名】アワブキ [泡吹]
【学名】Meliosma myriantha
【科名】アワブキ科 SABIACEAE
【撮影日】2005/06/12
【撮影地】神奈川県津久井町

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2005年06月13日

オオイタドリ

オオイタドリ Fallopia sachalinensis


オオイタドリは、北海道、本州中部以北に分布し、山地〜亜高山の日当たりのよい場所に生育する多年草です。「イタドリ」によく似ていますが、かなりの大型です。草丈は人の背丈を越え、中でも大きなものでは2m〜3mにまで達します。とてもダイナミックな草です。あまりの大きさにさく葉標本は作りたくないなぁと。

茎はしばしば赤みをおびています。下の方は毛が少ないですが、上部は毛が密生します。葉も大きくて、長さは20cm〜30cm。長い卵形、付け根の方は少し丸く心形になります。先は少しとがり気味。裏面は粉をふいたように白っぽい。イタドリの場合はやや薄い黄緑色で、白くはないです。下部の葉では毛は少ないですが、裏面の脈状にパラパラ、葉の縁に膜状のギザギザが見られることもあります。

葉柄は長さ2cm4cmくらいで、赤みを帯びることも多いです。葉の付け根のあたりの節にはカサカサと乾燥した鞘があります。同じタデ科でもオオイタドリの鞘の縁には、「イヌタデ」のような毛はありません。

オオイタドリ Fallopia sachalinensis


花期は7月〜9月。雄花と雌花が別の株につく雌雄異株。茎の先や上部の葉の脇からでた円錐花序にたくさん咲きます。花被は白色で5つに裂けます。長さは2mmに満たない程度。雄花の雄しべは8本。雌花の花披は花の後には大きくなります。特に外側の3片には翼ができて、果実(そう果)を包む形になります。中にできたそう果は黒っぽくてツヤツヤしています。

【和名】オオイタドリ [大虎杖]
【学名】Fallopia sachalinensis (Polygonum sachalinense)
【科名】タデ科 POLYGONACEAE
【撮影日】2005/06/12
【撮影地】神奈川県津久井町

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2005年06月11日

カメバヒキオコシ

カメバヒキオコシ Isodon umbrosus var. leucanthus f. kameba


カメバヒキオコシは、本州の東北南部〜中部に分布し、山地の林内などに生育する多年草です。草丈は50cm〜80cmくらい。茎には短毛があります。

葉は対生。長さ5cmくらいの葉柄がありますが、ヒレがあって、葉身から翼のように流れたような状態です。葉の長さは5cm〜10cm、幅も同じくらいの卵形なのですが、先が3つに裂けておもしろい形になります。3つの裂片のうち中央の裂片が細長く尾状に伸びます。この形を亀のシッポに見立てて、「カメバ」と名前についています。葉の形は「カメ」というよりは「カブトガニ」みたいな感じもしますけど。

また、「ヒキオコシ」の方は、同じ仲間の別種「ヒキオコシ (Isodon japonicus)」からきていて、これは、葉が苦く病から引き起こすほどの力があるということに由来するそうです。

葉の表面には毛があり、特に葉脈上には多く生えています。特に若い時期には毛が目立って、葉のつけ根付近などは白っぽく見えます。尾状になる形は独特なので、わかりやすいのですが、茎の上部の葉では尾状になっていないことがあります。それに、形だけならイラクサ科の「アカソ」あたりにもちょと似ています。

カメバヒキオコシ Isodon umbrosus var. leucanthus f. kameba


花期は、9月〜10月。枝先の花序に花をたくさんつけます。花は青紫色の「唇形花」です。花冠の長さは1cm程度です。ガクも上下2つに分かれる「2唇形」、上唇はさらに3つに裂けます。シソ科に多い特徴ですが、ガクは花の後少し大きくなりよく目立つようになります。

学名は、諸説あるようで、図鑑によっても様々。「Plectranthus kameba」、「Isodon kameba」、「Rabdosia umbrosa var. leucantha f. kameba」、「Isodon umbrosus var. leucanthus f. kameba」などです。

【和名】カメバヒキオコシ [亀葉引起こし]
【学名】Isodon umbrosus var. leucanthus f. kameba
【科名】シソ科 LABIATAE
【撮影日】2005/06/05
【撮影地】山梨県塩山市

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2005年06月10日

リョウブ

リョウブ Clethra barbinervis
2005/06/05 山梨県

リョウブは、日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地や丘陵地の雑木林、日当たりのよい尾根などに多く生える落葉高木です。高さは3m〜10m。茎はだいたいまっすぐのびますが、萌芽性に富んでいるので、下部の方から株立ち状になっていることもあります。樹皮がはがれて斑模様になり、その様子は「サルスベリ」や「ナツツバキ」、「ヒメシャラ」などに似ています。

葉は互生。枝の先の方にかたまってつきます。長さ10cm前後の先のとがった倒披針形で、より先端に近い部分で幅が一番広くなっていることが多いです。縁のギザギザ(鋸歯)は細かくて、しっかり入って目立ちます。鋸歯の先は少し細く伸びる感じ。また、しばしば、葉柄や主脈が赤みを帯びていることがあります。表面は濃いめの緑色になってきますが、裏面は白っぽく脈状には毛がたくさん生えています。

リョウブ Clethra barbinervis
2005/05/08 東京都

花期は7月〜9月。枝先の総状花序にたくさん小さな花を咲かせます。円錐形になった花序は、咲き進むにつれて垂れ下がってきます。花軸の部分には毛が密生。花は白色で、直径5mm程度。花冠は先が深く5つに裂けます。雄しべは10本で内側に5本、外側に5本配置されています。雌しべは1本で花柱の先は2つに裂けています。

果実(さく果)は上向きにつき、直径5mmくらいのほぼ球形で、毛がたくさん生えています。熟すと褐色になり、中にはたくさんの種子が入っています。

【和名】リョウブ [令法]
【学名】Clethra barbinervis
【科名】リョウブ科 CLETHRACEAE
【撮影日】2005/05/08、2005/06/05
【撮影地】東京都あきる野市、山梨県塩山市

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2005年06月08日

アケボノソウ

アケボノソウ Swertia bimaculata


アケボノソウは、日本では北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の湿地の近くや湿り気の多い林内などに生える二年草です。最初の一年目は根生葉の状態で過ごした後、二年目になって茎を伸ばして開花します。ふつう、根生葉は花が咲くころにはなくなってしまいます。今回の写真の個体は、丈は20cmくらいですが、すでに根生葉はありませんでした。株元に見えるのは、「タニタデ」の小さい株です。

リンドウ科センブリ属の植物で、草丈は50cm〜80mくらい。葉は対生。上に伸びた茎につく茎葉には、葉柄はほとんどありません。茎葉は長さ3cm〜10cmくらいの卵形で、平行して走る3本の葉脈(3行脈)が目立ちます。

花期は9月〜10月。茎の上部で枝分かれして、上向きに白色の花を咲かせます。花の直径は2cm程度。花冠は深くほとんどつけ根まで5つに裂けるので、花びらが5枚あるように見えます。雄しべは4本〜5本。先の葯は黒紫色。白の裂片にはいろいろと模様があってにぎやかです。

まず、花冠の裂片の先のほうには黒紫色の小さな斑点がついています。そして、それより少し内側の部分には、黄緑色の点が2つあります。この2つの点は「蜜腺」で、そこから蜜が出ています。蜜腺溝は黒紫色の斑点よりも大きめの点に見えます。なんとも変わった場所に蜜腺があるものですね。ちなみに、名前の「アケボノソウ (曙草)」は、花冠裂片の黒紫色の斑点模様を夜明けの空に見立てたものだそうです。

アリやコバエのような小さくて体重の軽い訪花昆虫なら、蜜だけ吸って行ってしまいそうな位置にある蜜腺。この花の受粉に有効な訪花昆虫は何でしょう。

【和名】アケボノソウ [曙草]
【学名】Swertia bimaculata
【科名】リンドウ科 GENTIANACEAE
【撮影日】2005/06/05
【撮影地】山梨県塩山市

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2005年06月06日

イケマ

イケマ Cynanchum caudatum


イケマは、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の林縁部などに生えるつる性の多年草です。他の低木などにからまって伸びます。「イケマ」というのは、変わった名前ですが、アイヌ語なんだとか。意味は「太い根」だそうです。諸説あるようですが、利尿剤として用いられていたともいう太い根茎からきているともいいます。

葉は対生、長さは5cm〜15cm。しっかりとした厚みのある卵形の葉です。先はとがって、基部は深い心形になります。表面には光沢があり。茎を切ると乳液が出ます。

花期は7月〜8月。花は葉腋からのびる花柄の先の「散形花序」につきます。花柄の長さは10cmほど、葉柄よりも長めなので、花序が葉よりも突き出してよく目立ちます。花序はその長い花柄につきますが、1つ1つの花はさらに小花柄につきます。小花柄の長さは1cm〜2cmくらい。

ガガイモ科の植物で、花は「副花冠」という部分がよく発達しています。白くて花びらのように目立っているのが、「副花冠」で、大きく5つに裂けています。その裂片はさらに内外に2つずつに分かれています。内側の裂片が花の中心に向かって折れ曲がるような、中央にあるずい柱を支えるようなかたちで丸まります。副花冠の外側の裂片は花の上に向かって立ち上がります。ずい柱は雄しべが5つかたまったもので、雌しべはずい柱に包まれています。

花冠の方は副花冠よりも外側にあって5つに深くさけています。その裂けた花冠裂片は淡い黄緑色で花の下の方に向かってかなり反り返ります。副花冠は立ち上がり、花冠裂片は細かい毛におおわれて厚みがあって、花には立体感があります。蕾のときから丸々としています。

花が終わると細長い披心形の果実ができます。果実は「袋果」で、長さは10cmくらい。熟すと裂け、中の種子には白い光沢のある綿毛(冠毛)があって、風に飛ばされます。種子は平べったくて長さは5mmくらいです。

イケマ Cynanchum caudatum


今回、見つけた場所は、林道脇だったのですが、芽の先がみんな摘まれていました。草刈によるものとはちょっと様子が違っていました。新芽は、おひたしなどにしていただくと美味しい山菜。もしや。。。しかし、根は有毒なので、注意が必要。

真夏のころには、そこら中に蔓を伸ばして絡まっています。まだ1mにも満たない梅雨入り前の姿にも、これからの繁茂を予想させるような力が感じられる。真夏のつる性植物はどうして暑苦しく見えてしまうのか。でも、この「イケマ」、花火のように丸く白い花は清々しい。

【和名】イケマ
【学名】Cynanchum caudatum
【科名】ガガイモ科 ASCLEPIADACEAE
【撮影日】2005/06/05
【撮影地】山梨県塩山市

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2005年05月23日

キバナアキギリ

キバナアキギリ Salvia nipponica


キバナアキギリは、本州、四国、九州に分布し、山地や丘陵地の林内、林縁に生える多年草です。草丈は30cm前後。全体に毛が多いのですが、茎や葉柄にはかなり白くて長めの毛が目立ちます。葉は対生。三角状のほこ形で、長さは5cm〜10cmほど。付け根の方は横に張り出します。

名前は、秋に開花して、「キリ」に似たような形の花をつけるところからきているそうです。多種多様な種を含むサルビア(Salvia)の仲間で、基本的な花の形は園芸種のいわゆる「サルビア」と似ています。

ある程度大きく生長した個体になるまでは開花せず、林縁部などで光が十分に得られる場所では早い時期から開花が始まりますが、林内のやや暗い場所では遅めの開花になります。種子で繁殖するほか、特に日当たりのよくない場所では、倒れた茎が地面についた部分の節から根がおりて、そこから新しい個体ができるという栄養繁殖を行っています。

キバナアキギリ Salvia nipponica


花期は8月〜10月。茎の先の花序に数個ずつ段々に花をつけます。花は長さ3cmくらいの「唇形花」。花(花冠)は、淡い黄色です。上唇の先からは1本細長い糸状のものが伸びていますが、それは、雌しべの花柱です。

雄しべは全部で4つですが、そのうち2つは退化して小さく不完全なもので、花をのぞいたときに中央部に見えます。薄い紫色のものがその不完全な雄しべの葯です。完全な雄しべの葯は上唇にはりつくようになっています。弓なりになって不完全な雄しべとつながっています。その弓のように細長くて「花糸」のような部分は「葯壁」といって、このような構造がアキギリ属(Salvia)の特徴の1つ。

花を訪れたマルハナバチなどの昆虫が花の中に入ったとき、退化した方の葯に触れると、完全な方の葯が下に下がってきて虫の背中に花粉がつく仕組みになっています。

【和名】キバナアキギリ [黄花秋桐]
【学名】Salvia nipponica
【科名】シソ科 LABIATAE
【撮影日】2005/05/04
【撮影地】東京都八王子市

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2005年05月22日

ツルカノコソウ

ツルカノコソウ Valeriana flaccidissima
2005/04/03 春に出てきた若い葉

ツルカノコソウは、本州、四国、九州に分布し、山地や丘陵地の林内のやや湿り気のある場所に生育する多年草です。茎や葉は水分を多く含んだような感じで、柔らかい印象です。オミナエシやオトコエシと同じオミナエシ科の植物です。草丈は30cmくらい。

葉は対生。羽状に全裂します。越冬中の葉や「ランナー」につく葉は、小さく卵形です。縁のギザギザ(鋸歯)はウネウネとした波状で不明瞭、ほとんど全縁にみえます。

ツルカノコソウ Valeriana flaccidissima
2005/05/04 走出枝

花茎が伸びて開花するころには、直立した茎の根もとから、細長いつる状の茎を地面に伸ばします。このように匍匐する地上茎を「走出枝」または、「ランナー」といいます。よく似た形態で、途中の節々から根を下ろす場合は「ストロン」といいます。ツルカノコソウの場合、途中からは根を下ろさず、ランナーの先から根を下ろして、そこでロゼット状に葉を広げて越冬します。開花した茎の方は、結実後には枯れてしまいます。オトコエシも同じような生活史です。

ツルカノコソウ Valeriana flaccidissima
2004/05/30 果実

花期は4月〜5月。花は散房花序にたくさんつきます。1つ1つに花は、直径2mm〜3mm程度のごく小さい漏斗型です。ほとんど白色で、よく見ると少しだけ赤みを帯びていることがあります。雄しべは3本と雌しべは花冠より短くて、「カノコソウ」のように外に突き出ません。

雌しべの子房は3つの部屋(3室)に分かれていますが、そのうちの1つだけが果実になります。果実(そう果)は細長い楕円形で、ちょっと先端の方が細くなっています。長さは2mmくらい。
キク科の植物のような羽状の白い綿毛(冠毛)があります。

【和名】ツルカノコソウ [蔓鹿の子草]
【別名】ヤマカノコソウ
【学名】Valeriana flaccidissima
【科名】オミナエシ科 VALERIANACEAE
【撮影日】2005/05/04、2005/04/03、2004/05/30
【撮影地】東京都八王子市

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2005年05月21日

ナンテンハギ

ナンテンハギ Vicia unijuga


ナンテンハギは、北海道、本州、四国、九州の山野に生える多年草です。草丈は30cm〜90cmほど。茎や葉には細かい毛がたくさん生えていて、茎は角ばっています。「カラスノエンドウ」や「カスマグサ」などと同じマメ科ソラマメ属(Vicia)の植物ですが、カラスノエンドウなどの葉には小葉が多数あって羽状複葉になっているのに対して、ナンテンハギの小葉は2枚だけの「2出複葉」。または、巻きひげが発達しないので見かけ上は「偶数羽状複葉」となっています。属名の「Vicia」は巻きつくという意味からきていますが、ナンテンハギには巻きひげはほとんどありません。

小葉はやや幅の狭い卵形で、先の方はシャープな感じ。長さは5cm、幅は3cm程度。若いうちは縁がちょっと波打つことがあるので、細かいギザギザ(鋸歯)もあるように見えるのですが、ちょっと不明瞭、ほぼ全縁。鋸歯があるように見えるのは非常に細かい毛が周辺部に生えているせいだと思います。葉の付け根には、ヒレのようなものがついていて、茎を抱きこむような状態になっています。

ナンテンハギ Vicia unijuga


名前はメギ科の「ナンテン(南天)」の葉に似ているところから、「ナンテンハギ」といいますが、小葉が2枚一組になってつくので、「フタバハギ(二葉萩)」とも呼ばれます。さらに、特に飛騨地方では、若葉は「アズキナ」といって、山菜として利用されます。筆者はまだ試したことがないのですが、くせがなくとても上品なお味なのだそうです。

花期は6月〜10月。葉の脇(葉腋)から長めの花柄を出して、その先の方に総状に10個ほど集まってつきます。長さ1.5cmくらいの「蝶形花」で、色は紅紫色。蝶形花というのは、文字通り蝶のような形の花で、基本的には、一番上の1枚を「旗弁」、その内側の2枚を「翼弁」、雄しべや雌しべを包む「竜骨弁(舟弁)」からなっています。竜骨弁は2枚の花弁が合わさっているので、花弁は全部で5枚です。ガク片も5枚あります。「5」という数が基本となった「5数性」です。

花後にできる果実(豆果)は、熟すと長さ3cmほど。種子は5個前後できます。

【和名】ナンテンハギ [南天萩]
【学名】Vicia unijuga
【別名】フタバハギ、アズキナ、タニワタシ
【科名】マメ科 LEGUMINOSAE
【撮影日】2005/05/04
【撮影地】東京都八王子市

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2005年05月17日

ゴウダソウ

ゴウダソウ Lunaria annua
2005/04/28
ゴウダソウ Lunaria annua
2005/07/02


ゴウダソウは、ヨーロッパ原産の越年草です。濃い紅紫色の花は華やかで、実の形がユニークなことから観賞用に栽培されています。それがときどき逃げ出して人家周辺の道ばたなどにポツポツ見られることがあります。日本でよく見られるのは、今のところ、北海道など寒冷な地域が中心です。草丈は40cm〜60cmくらいなのがふつうのようですが、大きいのもでは1mくらい。

ゴウダソウという名前は、明治のころ、フランスから日本に種子を導入した合田清さんという人の名前からきているそうです。また、果実の形から「ギンセンソウ」、「ギンカソウ」とも呼ばれます。「ルナリア」という属名で呼ばれていることも多いです。

ゴウダソウ Lunaria annuaゴウダソウ Lunaria annua


全体に粗い毛がたくさん生えています。根生葉や茎の下の方の葉には長い葉柄があります。株の方は節間が非常につまっていて、まるで輪生しているようです。しかし、葉は互生です。上部にいくにしたがって葉柄は短くなって、無柄になります。途中の葉などは卵形で丸みがあって、基部の方は心形です。長さは5cm内外。縁には粗いギザギザ(鋸歯)があります。

ゴウダソウ Lunaria annuaゴウダソウ Lunaria annua


花期は4月〜5月。茎の上部の花序に紅紫色の4弁花を咲かせます。直径は2cmくらいで、ほんのり香りがあります。

果実は薄っぺらい団扇のような形になります。若い果実はまだ、細長い状態ですが、これが次第に円形〜楕円形になって直径は3cmくらいまでなります。非常に見た目の楽しい果実で、ドライフラワーにしても楽しめます。

今回の写真の場所は、人家に極めて近く個体も1株しかなくて、周囲には他の園芸種も見られました。恐らくまだ人の管理下にあるようで、帰化しているという状態ではないと思います。

【和名】ゴウダソウ [合田草]
【別名】ギンセンソウ[銀扇草]、ギンカソウ[銀貨草]、オオバンソウ、ルナリア
【学名】Lunaria annua
【科名】アブラナ科 BRASSICACEAE (CRUCIFERAE)
【撮影日】2005/04/28、2005/07/02
【撮影地】東京都日野市

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